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セカイが変わっても  作者: マルネ
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召喚と王国⑥

 ダンジョン実習は転移者たちを4人1組にグループ分けして行われた。


 ダンジョンとは魔力だまりが起きると自然発生するらしい。ダンジョンの最奥にはダンジョンコアがあり、これはダンジョンから発生する魔物やギミックによって守られる。ダンジョンコアは破壊するか持ち出すとダンジョンは崩壊する。ただ破壊することは許されていない。ダンジョンコアは国家の管理物であり国に納める必要がある。


 「ケーゴ先生、足引っ張らないでくださいよ。」


 「シンペイ先生が言うから仕方なくチームに入ってもらったこと忘れんなよ。」


 「索敵だけしてればいいですから。」


 「わかっているよ。モンスターを見つけたら君たちに伝えた後、すぐ後退するよ。」


力が露骨にモノをいうこの世界でケーゴの価値は低い。彼らはケーゴに価値を感じていない。だから最も危ない斥候の役目をさせる。チームメイトの中で最も死んでもかまわないからだ。トカゲのしっぽのように。それを理解したうえでケーゴはその役目を行う。力がないなら力以外の価値を示すしかない。逃げるという選択肢はない。王の間で辞退しなかった時から、僕たちは王の僕となることを受け入れたのだ。逃げれば処分しかないだろう。だから力をつけるしかない。


 ダンジョン実習が始まる、ダンジョンは不定期に発生するので今回は1月前に発見された王都郊外のダンジョンが攻略対象だ。ダンジョンは発生してから時間がたてばたつほど難易度は上がっていく。高難易度のものはネームドダンジョンと呼ばれ、それぞれの識別される名前がある。だが今回のダンジョンは発生1か月からわかるように低難易度ダンジョンである。


 ケーゴは他の仲間三人の5メートル前を歩く。そして魔物を発見したら声を出し後退する。魔物を殺さないと魔力は吸収されない。だからケーゴも戦いに参加しようとするが阻まれる。


「弱い奴が前に出るな。どけっ」


 そういった言葉とともに後ろへと蹴られる。魔力が吸収できないので差は開いていく。なんとか隙をみて魔物を倒さなくはいけない。これ以上差が広がらないように。


 ダンジョンはダンジョンコアに侵入者がたどり着かないように迷路になっている。分かれ道ではどちらに行くか決めないといけないのだが、道を選ぶのはケーゴに任された。ケーゴも正解など知らない。だが選ばないといけないので選んで行く。しばらく歩くとそこは崖だった。行き止まりであった。


「行き止まりじゃねえか。使えねえなぁ。先生下調べてきてくださいよ。なんかあるかもしれないし。」


「いや、下って言っても崖だから無理だ。」


「うるせえ、弱い奴は黙っていうこと聞いとけばいいんだよ。」


「あっ」


ケーゴは後ろから蹴られ崖の下に落ちる。落ちる中、思考が加速していく。

 理不尽だ。何もできず死ぬなんて。くそが。くそが。くそがくそがくそがくそが。だがこれが事実だ。為す力がなかっただけだ。悔しいな。


ケーゴは目を閉じる。そして長く長く落ちていった。



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