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セカイが変わっても  作者: マルネ
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召喚と王国⑤

それから入学までの一週間は上村ジョウを除く僕とシンペイを含む生徒たちは王国から派遣された講師によるこの世界に関する講義と身体訓練に使われた。

ケーゴの身体能力は転移してきた誰よりも低かった。誰よりもだ。単純な走力や力の強さ、反応速度まで何もかもでケーゴは女子を含むどの生徒よりも低かった。だがケーゴからすると、彼らの身体能力が異常だった。特にシンペイの身体能力は人間を辞めているとしか言えなかった。この事実は王から力をもらって以来冷たくなった生徒たちの態度をより冷つかせていた。シンペイだけは相変わらず接してくれたことがその敵意を紛らわせてくれていた。


 そして入学の日になり僕たちは一週間過ごした宿舎から王立学園の寮に引っ越すことになった。僕たちは転移者だけのクラスが作られ、そこに入ることになった。王立学園は僕たちの寮があった王城から離れた郊外にあった。王立学園から王城を見ると如何にそれが大きなモノであったかがわかった。講義では王都には登録されているだけで100万人を超えると聞いたのでそれだけの人数を飲み込む都市の一端を見た気がする。教育実習生だったのでケーゴも学生ではあったが、教えていた高校生たちとまた一緒に入学することになるのはおかしな話だと思った。


 入学してからは寮で行っていた講義、訓練が相変わらず行われていった。ケーゴを除く転移者たちの身体能力はダンジョン実習に行く前の現地の生徒たちよりは強く、ダンジョン実習に行った現地の生徒たちよりは弱い程度だった。ただシンペイだけはダンジョン実習に行った最上級生にも引けを劣らなかった。


 ケーゴの身体能力といえば12歳から入学できる王立学園の最下級生と同じ程度であった。ケーゴの状況は最悪だったが悲観はしていなかった。それはダンジョンの魔物を倒すことで魔力を増やすことができるからだ。魔力の吸収量と魔力の総量は個々人によって違う。そして転移者は大抵そのどちらも高い場合が多い。今は弱くても強くなれる可能性があるのだ。だからケーゴはどんなにつらい状況でも耐えることができた。日に日に元生徒たちからの扱いはひどく、シンペイがいないときは特にひどかった。だが力がないケーゴにはどうすることもできなかった。


 そんな日々が過ぎ、ついにダンジョン実習が始まることになった。


 

 

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