定住と葛藤①
「僕の名前はマドルって言うんだ。よろしくね、ミスラ、セス。ここにいる彼らにも紹介したいんだけど人数も多いからね。今日の夜に皆んなを集めた時に紹介したいと思うんだけどそれでいいかい。」
ミスラは頷く。
「じゃあ皆んなそう言うことだから解散。」
そういうと僕たちを取り囲んでいた大小様々な人間、モンスターは散っていった。
「そうしたら僕の家でもう少し話さないかい?僕に聞きたいこともあるだろうしね。」
「是非よろしくお願いします。」
「じゃあついてきて。」
マドルにそう言われ、ついていくとモスクのような建物にたどり着く。
「マドルさん、これが家ですか?」
「そうだね、一様集会所に僕の家が付いてる感じだけどね。」
そういってマドルは中に入っていく。ミスラたちも後に続く。神殿のような場所を抜けて大きな絨毯の敷いてある部屋に着く。
「なんだか僕は椅子に座るのが好きじゃなくてね。」
そう言ってマドルは絨毯の上に胡座をかく。
「ほら、ミスラとセスも。」
そう言われて僕たちも同じように座る。
「じゃあまずは何から話そうか。」
マドルの言葉を聞いてミスラは言葉を発する。
「そしたら、一つ気になったことをいいですか?」
「どうぞ。」
マドルは促す。
「先程の会話の中でライザム王との握手の件をすごい気にしていたように思ったのですが、それはなぜですか?」
「簡単に言えばライザム王とパスが繋がってしまうからだね。パスが繋がるとライザム王から力を借り受けられる代わりに絶対に逆らえなくなる。逆らえなくなるというかそんな気も起きないっていうのが正しいのかも知らないけどね。そしてそれの何がまずいのかと言うと、ライザム王国、もといライザム王というのは人間至上主義なんだ。王国で人間以外見なかっただろう?そんな王とパスが繋がっていたら僕たちみたいな集団に馴染むなんて不可能だからね。」
やれやれとマドルがおどける。
「そう言うことですか。生徒たちが妙に攻撃的だったのも僕が部外者だったからか。」
「生徒?ミスラは先生だったのですか?」
「いえ、教育実習生でしたね。あ、これって日本だけの制度なのかな。」
「日本?ミスラ、知っていたらでいいんですが勇者は知っていますか?」
「勇者ですか?僕の生徒が勇者だって言われて連れていかれてましたね。」
「そうですか、ついに出てしまいましたか。これは話さなければいけないことが増えそうだ。」