第6話 中の人
6話目
前回のあらすじ:野良で適当に組んだらそりゃ事故るよね
二時間にも渡る激闘(塩試合)を制した私達は、屋敷内にあったソファーで休憩を取っていた。
それにしてもトウマノヨロイ、強敵だった。全身が鎧でできているので物理攻撃が通りにくく、弱点らしきものも見当たらない。攻撃魔法があれば話は変わってくるのだろうけど。
これからも同じような戦闘が続くと思うと気が滅入るな…やっぱ武器を剣とかにした方がいいかな。
「二人はステッキ以外の武器を使う気はないのか?」
「今のところはないな」
「そうかぁ、こんなに時間かかって嫌にならない?」
「まあでもお前のおかげ倒すのもだいぶ速くなったからな。単純計算して1.5倍だ。」
ちなみにピュアミーにはレベルの概念が無い。基本的に、攻撃力は武器や魔法それぞれの性能のみによって決まるので、装備が同じなら初心者であってもベテランプレイヤーと同等の強さになれる。なので、私もフェルミンとリヴァイアちゃんに火力で遅れを取らずにいられるんだ。
まあ、二人の強さはこんなものではないんだろうけど。
長時間戦闘で疲れたのか、すごく腹が減ってきた。時間を確認すると20時を回っている。ピュアミーを始める前に晩飯食べていた方が良かったなと後悔。
ピュアミーでは、というかこの時代のVRゲームでは、健康のためゲーム中でも空腹や尿意などが感じるようになっている。ハードの方で設定すればインターホンや電話なども知らせてくれる。
キリもいいし一旦ログアウトして晩飯を食べてこよう。確かカップ麺が2個残ってたはずだ、大きいのと小さいのとあったけどどっちを食べようか。
「私ちょっとログアウトするわ。10分くらいで戻ってくる」
「お、大か?小か?」
「大きい方を食べようかな」
「ええ…食べるのか…」
「う~ん、ベタなやり取りだねぇ」
正直私も分かっててヤリに行った。
「ナナオ君が戻ってきたらこっちから探すよ」
「わかった、ありがとう」
メニューを開き、ログアウトを完了する。
「…あいつ、だいぶ若いな。学生か?」
「…声の感じからして少なくとも未成年っぽいね、まあ詮索はやめておこう」
▽
VRゴーグルを外し、『ナナオ』から、元の身体である秋茅七生に戻る。ピュアミーでは女子中学生の姿っだったが現実では17歳、ただのしがない高校生だ。
「ぱっぱと晩飯食って早くゲームに戻るか」
女児と出会うという当初の目的を達成するのは困難になってしまった。だけど、ピュアミーティア・オンラインをプレイすることに高揚感を覚えた自分に驚いたんだよね。多分二人と気が合うからだろう。
それにしても、フェルミンもリヴァイアちゃんも頼れる人って感じがしたけど、いったい何歳ぐらいなんだろうか?ロリコンの先輩として、いろいろ学べると良いな。
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