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第4話 三人寄れば文殊の知恵

4話目です。

感想など書いていただければありがたいです。

 前回のあらすじ:なんかロリコンコンビが意味不明なこと言い出した。



 フェルミンとリヴァイアちゃんの二人が言うには、このピュアミーは15歳未満はプレイできないようになっているらしい。ちゃんちゃらおかしい話である。

 ピュアミーは、星の力を授かった少女達が魔法少女に変身して仲間とともに敵と戦うという、()()()()()()向けのゲームだ。

 確かに魔法少女モノの中には可愛らしい女の子と陰惨な世界観のギャップを楽しむ大人向けの作品もあるが、ピュアミーはその類の作品ではなく日曜の朝に放送されているアニメのような雰囲気の作りになっている。

 そんな女の子向けのゲームが15歳以上対象だと?こいつら何か勘違いしてるんじゃないか?それとも馬鹿か?


「あー、二人ともたぶん勘違いしてるぞ。ピュアミーはあくまで少女向け、小さい女の子が魔法少女になりきって楽しむゲームだ。そんなゲームを15歳以上がプレイするわけ無いだろ?」


「こいつ全然信じてねえな」


「まあ確かに信じれないのも無理ないかな」


 やれやれといった表情の二人。

 え、本当にR15なの?でも15歳未満が規制されてたら女子小学生が遊べないじゃん。そうなるとこのゲームを買う奴なんて、いい年して魔法少女に憧れてるイタい奴か、私達みたいなロリコンしかいないじゃないか。


「その僕達みたいなロリコンが原因だよ。出会い目的のロリコン達がうようよ居るようなゲームで、純真無垢な女の子を遊ばせてもいいと思うかい?」


「……………………………………………………!」


「理解したようだな」


 ああああああああああああああああああああああああああああ!!

 そういうことだったのか…結局私達ロリコンはどこまで行っても嫌われ者ということなのか。何が自分が犯罪者予備軍とわかっているだ、全然わかってなかったじゃないか!

 そりゃそうだ、私が開発者側だとしても絶対女の子に遊ばせないもん。


「くっ、理解した…!で、でも、確か発売の2週間くらい前まではそんな話になってなかったよな?ネットで普通に盛り上がってた覚えがあるぞ」


「なんでも脅迫めいたメールが運営に届いたらしいよ」


「脅迫?」


 誰だそんなことをした奴は?私が折角運営に感謝のメールを何度も送っていたというのに、それを無下にするようなことしやがって。


「送ったやつが誰かはわかっているのか?絶対に見つけてやる!」


 このゲームを欲した子の親が犯人ならまだいい、もしただの愉快犯だとしたら許しておけない。


「誰かは分かってなかったんじゃないかな。だけどメールの内容は公開されてるんだ。ええっとーこれだ、読み上げるよ。

『拝啓 運営様。この度は、私どものためにこのような神ゲーを作っていただき誠にありがとうございます。私は長年ロリコンをやらせてもっている身ではありますが、恥ずかしながら本物の女児とはお喋りしたことすらございません。しかしながら、あなた方が開発されてるピュアミーティアオンラインでは、そんな喋ることすら叶わなかった女児とパーティを組み、協力プレイをすることができると言うではないですか!これを僥倖と言わずして何と言えばいいのでしょう。私は、このゲームをプレイし、女児と出会い、女児ハーレムパーティの結成に臨みたいと考えています…いい言葉ですね「女児ハーレムパーティ」。魔法少女を夢見るようないたいけな女児に囲まれて、女児くらまんじゅう状態になってしまいますね。事前に軽く調べてみたのですが、このゲームは魔法に力を入れてるとのことで…もしかして、女児との協力魔法とかもあったりするんでしょうか?やはり協力魔法のときは手を合わせたり繋いじゃったりして。3人で手を繋いで魔法を撃ったりなんかしたときにはそれはもう両手に花…いや、両手に蕾と言ったとこですかね。女児との協力プレイに期待が膨らむ限りですが、所詮ゲーム内でのやり取り、私の妄想も健全の域を脱していません。やはり女児というのは、会ってなんぼ、触ってなんぼのモノだと思っています。女児ハーレムパーティを結成した後、ゆくゆくはオフ女児会、最終的にはオフ女児パ○まで行きたいと考えているのですが、PV内に記載されていたゲームコンセプトを見るに、オフ会・オフパ○といったオフイベント等も、運営のサポートが受けられると考えてもよろしいのですね。女児パコといったプレイヤー間でのイベントにも手厚いサポートをしてくれるとは、感謝してもしきれないです。あなた方の好意に応え、このゲームを購入する全ての女児と出会うくらいの熱意でプレイする所存です。』

 改めて読んでみると一層キモさがますねぇ」


「アウトじゃねーかよ、捕まえて警察突き出そうぜ」


 流石の私でも引くわ。本当に誰だよこれ書いたの。


「全くその通りだね。あれ?よく見たら差出人の名前書いてあるじゃん。『一介のロリコンプレイヤー ナナオより』ってこれ君じゃん!?』


 私だった。


「あれ!?私そんなん送ったっけ!?あっ、送った気するわ何か思い出してきた」


 そうだ、発売が待ち遠し過ぎて変なテンションになって書いたんだ。すっかり忘れてたわ。

 まさかピュアミーに女児が居ないのが私のせいだったなんて…ピュアミーを待ち望んでいた皆に悪いことをしてしまった…

 うわー、二人が凄い呆れた目でこっち見てるよ。


「フェルミン、リヴァイアちゃん、すまない!私のせいでこんなことに…」


「いや、引いてるけど責めてねえよ。あんな冗談めいたメール1つで規制掛かるわけ無いだろ、たぶん似たようなメールが大量に届いてて偶々晒されたのがお前のメールだったってだけだ。俺も送ったし」


「フェルミンの言う通りだと思う。僕も送ったし」


 いやお前らも送ったんかい


 でも、自責の念に駆られそうになっていたのが二人の慰めで救われた。もしかして二人は優しい人なのだろうか?まあどれだけ優しくてもロリコンの時点で一発アウトなんだけど。


「というわけで、ロリはこのゲームにはほぼ居ない。その上でお前をパーティに誘いたいんだけど、一緒に来るか?」


 フェルミンから再度誘われたけど、どうしようか。女児と遊べないなら二人と一緒にやるのも悪くないか。

 …………いやちょっと待てよ、女児と遊べないならそもそもピュアミーを続ける意味ないじゃん。


「私はいいや、ピュアミーやめて他のゲームでもやるよ。ここには女児は一人も居ないんだろ?」


 お金は勿体無いけど(七千円くらい)それは仕方ないな。大人がガチでやっても楽しめるって感じのゲームという訳でもないし。


()()いないって言ったろ。居る可能性が0とは言い切れない」


「流石に言い切れるだろ」


「俺もさっきまではそう思っていた。だけどお前が現れた」


 そう言いながらフェルミンは私を指差す。

 私は何かした覚えはないんだけど…


「お前はピュアミーの年齢制限のことを知らなかった。てことは、他にも年齢制限知らない奴がいて、そいつが自分の娘とかにこのゲーム買い与えてる可能性もあるってことだ」


 うーん、理屈はあってるけどだいぶガバガバじゃないか?でも否定はできないしこいつらと一緒にやるのも楽しそうだしまあいいか。


「よしわかった、私もお前らについていくよ」


 晴れて私たちは仲間となった。


「それで、私たちはこれからどうするの?女児は居ないしやることないんじゃないの?」


「まず取り敢えず君の攻略を手伝うよ」


 リヴァイアちゃんが答える。

 よくよく考えたら、さっきチュートリアル終えたばっかで何一つ進んでない状態だ。いくら興味が無いとは言えストーリー全無視で攻略するのも趣がないし、折角だから楽しんでいきたい。


「ただ、一つ作戦があって、一週間後くらいには攻略最前線のレベルになっておきたい」


 リヴァイアちゃんが自信ありげに話し続ける。その表情と、作戦という響きのいい言葉とで、私は期待を抱いてしまう。


「それでその作戦と言うのは?」


「ナナオくん、今何月何日かわかるかい?」


 リヴァイアちゃんがニッと口角を上げて話す。


「たしか4月25日だったはず」


 25日の一週間後に何かあるのか?………て、そうか!ゴールデンウィークの真っ只中じゃん!


「そう!そしてゴールデンウィークの最終日はこどもの日!こどもが親からプレゼントを貰える日だ!プレゼントを与える親の中に、ナナオ君みたいに事情を知らずにピュアミーを買ってしまう人がいてもおかしい話ではないよね」


 な、なるほど!確かにこどもの日のプレゼントとして買ってしまう親がいてもおかしくない。もしかしたら、ロリコンが目立たなくなるほど大量の女児がピュアミーに雪崩込んで来るかもしれない。すごく作戦らしい作戦だ。勝手にどうせガバガバな作戦なのではと疑って悪かった。

 ………まあ肝心の年齢制限を知らない人がいるのかってところが運任せなんだけど。


「いい作戦だと思う。あと一つ気になるんだけど、こどもの日ってプレゼント貰うものなの?私貰ったことないからわかんないんだけど」


「俺も貰ってなかったな」  


「あれ?二人とも貰って無いんだ。そういや僕も貰ったことないや。幼馴染のアイちゃんが毎年こどもの日にプレゼント貰ってたからてっきり世間一般では貰うものなのかと思ってたんだけど…」


 やっぱガバガバじゃねーか  



 ◆

 ナナオ達がパーティーを組んだ同時刻。

 ジメジメとした薄暗い下水道の最奥に、その黒いドラゴンは鎮座していた。

 欲望の魔女〈ハンドメイドシリーズ〉『カナル・ドラゴン』。地面を通して魔法少女の魔力を制限するという類まれなる能力のおかげで、下位層ながら慾望の魔女の〈お気に入り〉の一匹に数えられているグリードである。

 魔法少女の中にカナル・ドラゴンによる魔力の枷を外した者が居ないということは、このドラゴンがどのプレイヤーにもまだ倒されていないことを意味する。

 そして今、初めてドラゴンに邂逅する黒い髪をした魔法少女が一人。


「我の前に姿を見せるとは面白い。その魔力、根こそぎ奪い取ってやろう!」


 カナル・ドラゴンが少女に襲いかかる。が、


「光の剣」


 魔法少女振った光る巨大な剣により一撃で消滅した。


「カナル・ドラゴンを一撃とは、恐れ入ったよ」


 魔法少女の肩に出現した、かつてスマートフォンの容れ物に入っていた妖精が彼女に語りかける


「ん、みんなのおかげだよ」


 魔法少女は()()()()()()()()でそう答えた。


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