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幕間1・ミリアの苦悩
「なぁ、イリス」
「何でございましょう。ミリア様」
「本当にこれで良いのか?」
「はい。憎き勇者リノンが居る世界に
繋がっているのは確認しています」
「じゃが……」
「……言いたいことは分かります」
「愚痴っていいか?」
「どうぞ。ミリア様」
「コイツ、信用してるのかしてないのか
わからん!!」
「ごもっともで」
「あたいは魔王の娘、ミリアじゃぞ!!」
「はい、わかっております」
「金持ちだか何だかわからんが、
図に乗りやがって!!」
「心中、ご察しいたします……」
「で、このまま続ければいいのか?」
「はい。このツトムとやらとの絆を
結べば、イリア様の力で向こうに
行くことが可能です」
「絆……ねぇ」
「はい」
あたいは従者のイリスが言うように、
『異世界交換日記』にペンを落とす。
しぶしぶ溜息をつきながら……。
人間、よくわからんな……。




