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1話 就職氷河期時代の生き残り

「お前、お前だよ! 何度言ったらわかるんだ」

先ほどから罵声が轟いている。


いつもの事だ。


ただでさえ、お昼時で雑踏しているのに店中に響くぐらい大きな声で怒鳴り

今田尚樹が、肩をドンと押す

「お前の出したラーメン、クレームきてるぞ! いい歳してんだから、そのぐらい出来ろよ」


飲食店のバイトを始めたはいいが、長引く不景気のせいで辞めるに辞められない

年下にアゴで使われる身になって久しい。


自分が調理するラーメンは、ほとんど箸をつけず返却棚に戻してくる客も確かに多い。

業務用スープに、麺、具材を入れるだけなので誰でも出来るはずなのだが

湯切りがダメなのか、ゆで時間なのか・・・・どうでも・・よい


今田に罵声を浴びせれれても仕方がないのかもしれない。



自分の不甲斐なさに落ち込む事は、もう慣れた。

昔からだ


やっと、15時半だ。

早番だったので上がりの時間になった、タイムカードを押して

足早に店を去る。


低くたなびく雲が足早に駆け過ぎていく合間から

輝く斜陽が道を照らす。


とぼとぼと、視線を落として駅に向かう

秋の風が肌に沁みる季節になった



「親がオーナーの知り合いだからって、いつまでいるんだよ!

さっさと居なくなってくんねーかな」

更衣室で鉢合わせした今田が去り際に言っていた


俺だって、好き好んでこんな田舎、地方都市の食堂で・・・・・・

生まれた・・ 時代が悪かったんだ・・・・・・


歩きながら、頭をかきむしる。


何人かがこちらを、怪訝な表情で見ている。

視線を感じたので、いつもは入らない脇道にそれた。


落ち着くために

自販機でコーヒーを買いベンチに腰掛けた。



今までの鬱積で

絶叫したくなるのを我慢して一口飲んだ。苦みが広がる



不甲斐ない自分に、世間に・・・・・・

肩を落とし、また頭を掻きむしる・・・・・・


ブチ・・ブチ・・・・


何か裂ける音が頭の中にこだまする。


テレビの砂嵐の様にざらざらした視界になる。

落ち着かせようと深呼吸し周りをきょろきょろ見渡した。


歩道の片隅、目線の先に青白く輝く小石ほどの何かがあった。

通り過ぎる人々は目もくれない、あんなに目立つのに


手で整えることも忘れ、髪の毛がぐちゃぐちゃのまま立上り

足取りがおぼつかないまま、俺はそれに魅入られたように近づいた。


前かがみになり手を伸ばして拾う。

周りを見渡したが、だれも気にしていない。



ふらふら体を揺らしながら

また、ベンチに腰掛け手元をよく見てみた。


それはほのかに青白く発光し

コインの様に丸い。☆の様な刻印が押されていた。


裏返すと、突然ブルブルと震えだした。


一瞬にして目の前が先ほどよりも強烈に光った。

アーク溶接を目の前5センチで見ている様だ。

そう思った瞬間に、それは強烈に青白く閃光した。


「うぁー 目が、目が」




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