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プロローグ

サッカーを題材にしたものを書いてみました。

読んでくださったら嬉しいです。

 サッカーの試合の中で一番注目されるプレーはなんだろう。

 華麗なドリブル? 不意を突くようなパス? 強烈なシュート?

 どれも違う。

 正解は試合終了間近のセットプレーだ。

 セットプレーとはフリーキックやコーナーキックのことだ。

 俺は今、この試合最後のコーナーキックであろうかという代表のキャプテンとしてピッチに立っている。

 日本対スペイン。

 点差は一対一と互角だ。

 これを決めれば確実に勝てる。

 キッカーは伊月だ。

 伊月とは学生時代から仲が良く、最高の相棒と呼べる存在であった。

 伊月の背番号は十番。

 俺の背番号は五番。

 伊月はパサーであり、俺はリベロだった。

 そのポジションは学生時代から変わらなかった。


 「こい!」

 「おう!」


 伊月は絶対に俺をめがけて蹴ってくる。

 それはもう阿吽の呼吸で分かっていた。

 どれだけマークされていても点を決める自信があった。

 予想通り伊月は俺に蹴ってきた。


 「うおー!」


 俺は全力で飛び込み、ボールは見事に頭にジャストミートした。


 『ドンピシャ!』


 俺と伊月は満足気な表情で笑う。

 そのまま競り合いに勝ちゴールネットを揺らした。


 「よっしゃー!」


 俺は嬉しさのあまりガッツポーズをし雄叫びをあげる。


 『キャプテンー!』


 チーム全員が俺に近づき喜ぶ。

 これが決勝点となり試合に勝利することができた。


 「やったな!」

 「おう!」


 俺と伊月は笑いながら肩を組んだ。

 これはまだ遠い遠い未来の話である。





 「あーあ、将来日本代表になってかっこよくアシストしてーな。十番なんか背おってさ」

 「伊月はパスだけだろ。しかも代表の十番なんて夢のまた夢だろ」

 「そのパスだけがうめーからいんだよ!」


 練習の帰り道、俺らはよくそんな会話をしながら帰っている。


 「それより伊月知ってるか? 水嶋風磨ってやつは十七歳でもう代表入りしてんだぜ?」

 「俺らと歳変わんねーじゃん!」

 「凄くね」

 「そういう天才が将来代表の十番を背負ってプレーしてんだろーな。俺らとはまさに天と地の差だな」

 「そうだよなー。やっぱカッケーよな」

 「あぁ」


 俺たちは天才に嫉妬していた。

 それもそうだ。

 俺らはそいつと違って何も持っていない。

 世間から注目を浴びてるわけでもなければ、強豪校でプレーしてるわけでもない。

 日本代表どころかプロになれるのかすら分からないそんなレベルだったのだ。


 「でもさ、もし俺らが代表になったらお前にパスやるからな! 決勝点とかならカッケーよな」


 伊月がワクワクした表情で言った。


 「俺、ディフェンダーだけどな」


 俺が冗談交じりに返した。


 「じゃあなー!」

 「あぁ。また明日学校でな」


 俺と伊月は道が分かれお互い別々の方向に帰ることになった。

 これは平凡だった俺が日本代表のキャプテンにまで登り詰める物語。

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