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その8


余計な奴に因縁を自らつけた朝日奈はあいつらが去った後普段の朝日奈に戻っていた。


「ん〜、怖かったねぇ? 新村君」


「よく言うな。 あんなのに俺まで目を付けられたらたまったもんじゃない。 せっかく平和な学校生活送りたいと思ってたのに」


「大丈夫大丈夫! 私がいるじゃない」


まったく会話になってないのだけれど?

むしろお前がいると今はマイナスに向かっている気がしてならない。


そりゃ可愛いけどさ、厄介なのはごめんだ。


「なんか今日で一気に憂鬱になったわ。 朝日奈のせいでな!」


「そっか! じゃあお詫びに遊びに行こう? 次の駅で降りようね」


「はぁ!? 俺帰りたいんだけど?」


「1人でいたって気は晴れないよ? こんな時は遊ぶのが1番!」


「誰のせいだと思ってんだよ!」


「だからお詫びだって」


そして駅に着き俺たちは電車を降りるがそこにはただの田園地帯が広がるばかりだった。


「…………」


「わぁ、お米沢山取れそうだね」


こいつ狙ってやってるのか単なるバカなのかわかんなくなってきた。


「なんでここで降りた?」


「えーと、直感!!」


俺の頬っぺたに人差し指を指してドヤ顔で言っている…… ダメだこいつ…


「こんなとこで何するつもりだ?」


「とりあえず歩こう!」


「お前さっきはくたくたになってたくせに何言ってんだ?」


「もう復活しちゃった。てへッ」


あ、なんか凄いムカつく。 マジでムカつく……


そして朝日奈はどこへ向かうともなく歩きだした。 仕方がないので俺も駅を出て歩いてみる。


やはりどこを見渡しても田んぼ田んぼ田んぼだらけ……


「なぁ朝日奈、これってお前の言う遊びのうちに入ってるのか?」


「もっちろん! 何もなくて清々しいでしょー?」


朝日奈はそう言いズンズン進む。 どこに向かっているんだ?

しばらく進むと野菜の販売所にベンチがあったのでそこに座る。


「なんだかこんな場所にいると心が洗い流されるねぇ」


「俺は今お前との関係を洗い流したいよ……」


「照れちゃって可愛い〜」


朝日奈が俺の肩にグリグリ頭を押し付けてきた。

本当に意味わかんない奴だな。


「明日から変に絡まれないようにあいつらとは別の電車で過ごさなきゃいけないと思うと気が滅入るわ」


「私もあいつら嫌い!隼人なんて私とヤリモクで付き合ってたようなもんだし」


「そんな奴とよく付き合ったな?」


「まぁ若気の至り的なアレだよ」


そして俺が電車の時間を確認しようとスマホを取り出した時朝日奈は素早い動きで俺の手からスマホを奪った。


「何すんだよ!?返せよ!」


そう言い奪い返そうとすると朝日奈がダッシュで逃げた。

本当に面倒かけるよなこいつ!


俺も追いかけ朝日奈にもう少しで手が届く所に来ると朝日奈は突然こちらを向きスマホを自分の服の胸元へ入れた。


「取れるかなぁ? に・い・む・ら君!」


「お前……」


「取れないよねぇ、私が大声上げようものなら… ん?」


朝日奈がキョロキョロ周りを見渡したので俺もハッとした。


「場所ミスったな、ここ多分叫んでも誰も来ないぞ?」


そう、朝日奈が逃げてた場所はさらに人気のない場所だった。

俺がにじり寄りスマホを奪い返そうとすると……


「わ、わぁ〜、ごめんなさい! こりゃ新村君に一本取られたね。 LINE知りたかっただけなの…… だってあの感じだと教えてくれそうになかったし」


「そうだな、とりあえず教えたくはないかな」


「うう…… 意地悪」


涙を浮かばせて朝日奈は言うがこれまで見てきてると芝居にしか見えないぞ?


「はぁ、わかったよ。 面倒だからとっとと登録しろよ」


「やりぃ! 新村君のLINEゲットだぜ!」


サムズアップして俺へ向ける。またイラッときた。

そして鼻歌を歌いながら朝日奈は自分のスマホと俺のスマホを操作した。


「はい、終了〜! お疲れ様でした」


「まったくな……」


そして返されたスマホを見て俺はまた絶句した。嘘だろ?!電車の時間過ぎてる……


「ありゃー、また足止めだね新村君」


「お前ムカつく……」


そして目的を果たした朝日奈は今度はこんなとこつまんないと言い出しうるさかった。








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