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その42



「バカだよ、啓ちゃんも……」


「ああ、そうだな」


「ホントに私に殺されたらどうするの?」


「一緒に心中してやってもいいって思っただけだ」


「バカ…」


「信用できないか?」


「ううん、好きって言ってくれたもん私の事」


「ああ、好きだよ」


柚は恥ずかしいのか寝返り背中を俺に向けた。

背中の傷に俺は触れる。


「うん? やっぱ気になる?」


「いや、柚の傷をしっかり見ようと思っただけだよ」


「見ててもいいもんじゃないでしょ?」


「でもこの傷も柚の一部だからな」


「啓ちゃんったら…… 」



そして翌日柚は学校に来た。 まぁ一緒に来たんだが。


「柚、新村君。 手なんか繋いじゃって遂にゴールインしたのね」


「あんだけ柚には手強かった新村君がねぇ」


「うん! 私たちお互い愛し合っちゃった」


「惚気ちゃって、柚すっかり元気じゃん」


「お陰様で。 ね! 啓ちゃん」


「みんな簡単に言ってるけど俺は結構大変だったんだぞ」


「啓……」


その声が聞こえて後ろを振り向くと香里がいた。

香里には最後の最後まで世話になったな。


「香里、ありがとな。 お前の言葉がなかったら踏ん切りつかなかったかもしれない」


「じゃあ言わなきゃよかったかな…… なぁんて! そんな事しても私後味悪いだけだし朝日奈さんと対等に勝負したいって言ったもんね」


「朝日奈さん、私は朝日奈さんに負けちゃったみたいだけど油断してたら啓を持ってくからね!」


「香里ちゃん、ありがとう。 でも啓ちゃんは離すつもりないからね」




それから柚はどんどん前の様な陽気さを取り戻していった。 前とは違うのは心から幸せそうな事だ。 つっかえていたものが取れたような……



「あんたらね? 私の教科書や制服捨てたり破いてたりしたの」


「はぁ? 言い掛かりはよしてよ。 知らない」


「ふぅん、とぼける気なんだ? いいよ? 今までの事は水に流してあげる。 だけど今後ふざけた事したらあんたら全員ただじゃおかないわよ?」


女の主犯の胸ぐらを掴んで柚は凄んだ。

柚の鬼気迫る表情に気圧されたのかその女子は押し黙ってしまった。俺も経験があるからわかる。



「あー、スッキリ!」


「お前のそれは相変わらずだな、俺もお前に迫られたから気持ちはわかるな」


「こんな大変な彼女を持っちゃった啓ちゃんって苦労するね」


「どの口が言うんだよ。 まぁそれもいいさ」



そして放課後になり今日は部室に寄らずに真っ直ぐ帰る。

電車の中でも柚は今までいじめられていた女子に物凄い剣幕で押し切っていたのでもう何も言ってこない。

その時は俺も柚がいじめられていた事に腹が立っていたのでざまあみろと思ってしまった。


だから今は柚はこれでもかと言わんばかりに電車の中で俺にイチャついている。


「啓ちゃん、今日私の家に寄ってね?」


「いいけどなんか用か?」


「もう! 用がなきゃ誘っちゃダメなの?」


「嘘だよ、わかった」




柚も立ち直り俺も柚が好きだとわかった。 これからは良い方向に進むはずだ。


「柚、好きだよ」


「啓ちゃん、私はずーっと好きだったんだからね!」

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