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その22


「ごめん、今日の私なんか変だ」


「今日の? いつもだろ?」


「酷いな」


「今日のお前とヘラヘラしているお前ってどっちが本当なんだ?」


「私だって落ち込む時くらいあるのよ?いつだってヘラヘラしていられるわけない」


「ふぅん」


「てか鈴菜は?」


「ああ、俺の家に居るよ」


「そう、なら良かった」


「あいつのストーカーって本当にいるのか?」


「いたよ、鈴菜の家に迎えに行った時にね、それから私の家に一緒に行く時に確かに誰かにつけられてた」


「お前らって自業自得だよな、自ら蒔いた種で自分の首を絞めてるもんだし」


「わかってるよ、でもそれは新村君の価値観であって私には私の価値観があるの。 人によってそんなもの違うでしょ? 何が良い事悪い事なんて。 先生や親から教えられた事が正しいなんて誰が決めたの? そもそもそんな事決めたのは誰? その人は本当に正しいの? ただ都合良く世の中動かしたいだけでしょ?」


「おいおい、何いきなり言い出してるんだよ? 」


「じゃあ仮に新村君は誰かを殺したいって心の底から思った事ある?」


「死ねとは何度も思った事はあるけど本当に殺したいとはないな」


「なんで?」


「犯罪だし捕まるし…」


「じゃあその範疇から抜け出して殺しても何もなかったら殺す?」


「いや、わからない……」


「もしそれで人を殺したらそれっていけない事?」


「まぁ……… そうだろうな」


「だよね…… そう言うと思った新村君なら」



なんなんだ? 朝日奈は前に鮎川に切れた時と同じ顔をしておかしな事を淡々と喋っている……

俺が思っていた以上に朝日奈の心の闇は深いのかもしれない。


「そういえばさ、気になってたんだけどどうして俺に構うんだ?」


「意地悪だね、新村君って。 女の私から言わせる気?」


「俺は……」


「聞きたくない! 言わないで!」


それから朝日奈は俺の家に着くまでだんまりの状態になった。


家に着くとまだ俺の親も帰ってきてない。 玄関を開けて部屋に行くと鮎川が朝日奈に飛び付いた。


「もぉ、どこ行ってたのよ?」


「ごめんね、ここら辺よくわかんなくて」


「突然いなくなるんだから! そんなんばっかり柚は」


「だからごめんって。 そろそろ帰ろう?新村君の家にも来れたし、私またみんなに迷惑かけちゃったし」


「うん……」



「気を付けて帰れよ」


「ありがとう」


「はぁ」


「何? どうかした?」


「いつものお前もそうだけど今日のお前も本当に調子狂うな」


「あはは、そうだよね。 私って新村君を困らせるの上手だね」


「褒めてない。 もういいや、帰れ帰れ」


「新村君、探しに来てくれてありがとう。 やっぱりなんだかんだ言っても新村君は優しいね」


そう言い朝日奈と鮎川は帰っていった。




翌週になり朝日奈は学校を休んだ。

朝日奈の机をボーッと見つめる。


「どうしたの? ボケーッとしちゃって。 まさか柚がいないから少し寂しい?」


坂木がそう尋ねてきた。


「いや、あいつの事ますますわかんねぇなって。 土曜にさ、朝日奈と鮎川が俺の家来たんだ」


「え? 鈴菜も? やっぱりまだ一緒にいるんだ」


「何その引っかかるような顔は?」


「ううん、せっかく柚は変な道から抜け出したのにまた引き摺り込むような事はしないで欲しいなぁって」


「今でも十分変だけどな、まぁなんとなく想像つくよ、朝日奈も鮎川と一緒になって似たような事してたんだろ?」


「うん、柚がね、鈴菜がやりたいって言うからそっちの道に引き入れたんだ。でもね、まだいいんだよ。 今の柚なら……」


「鮎川もそう言ってたけどなんなんだよ? 朝日奈は何も喋らないし」


「ちょっとついて来てもらえる?」


そう言い坂木は俺をつれて誰も人気のない場所に移った。



「柚はさ、絶対新村君に言いたくないと思うけどそれだといつまで経っても新村君は柚に不信感しか抱かないでしょ? もう私も正直見てらんないし……」


「うん、あいつには何があったんだ?」


「柚ね、小学生の時自分の親を殺されたの。柚が見ている前で」


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