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その12


次の日登校すると俺はみんなに驚かれた。 まぁ当然だろう、昨日の件で怪我してしまったからな。


「なぁ啓、誰にやられたんだそれ?」


涼がそう尋ねてきた。


「駅の階段から転んだ」


「それ嘘だってバレバレ」


そうだろうな。 徹にもまったく通じなかったからな。


「え〜、酷い。 ボコボコじゃん、 可愛い顔が……」


坂木や平井も来てしまった。


「昨日の事聞いたよ。 柚珍しく泣いてたからよっぽど心配したんだろうな」


「ふぅん」


「ていうかやるじゃん。 新村君って可愛いだけじゃないんだね! 柚を守ってあげるなんて。 今まで柚が付き合ったことのないタイプだからどうなることかと思ってたけどこれなら大丈夫だね!」


「何が大丈夫なんだよ? 俺ボコボコなんだけど?」


「まぁまぁ、あの柚がまんざらじゃなさそうだし」


「そうそう、本当だったらとっくに新村君ポイしてる頃なのにまだ仲良いんなんて柚のタイプって新村君みたいなのだったんだねぇ」


勝手な事いうなよ? 俺がこんな事に巻き込まれて正直迷惑だ……


そしてその朝日奈はというと。

学校休みやがった。 でもホッとしている、だって平和だから……


そして朝日奈が学校休んで3日目……

俺の傷の腫れも引いてきた頃昼休み。



「柚いるか!?」


上級生らしき生徒が俺たちのクラスに怒鳴り込んできた。 そう、もう俺は察してしまった。


目立たなくしておこうと思い存在感を消す…… なんて事都合よくできないので直ぐにバレた。


こちらに怒り心頭の上級生がやってきた。


「てめぇか? 最近柚と仲が良いって噂の女男は…… こんな奴に柚が」


こんな奴になんて言ってるが俺の台詞だ。 朝日奈ってこんな単細胞な奴ばっかカモにしてんのか?



「先輩、一応断っておきますが俺と朝日奈はなんでもありませんよ?」


「とぼけんなよ? あいつ俺が告ってオッケーしたのにそれ以降俺の事シカトしやがって。 てめぇの仕業だろ」


はぁ? なんでこの前といい俺が巻き込まれなきゃいけないんだよ? あいつマジで疫病神だ……


「ちょっとツラかせよ!」


俺は襟を掴まれ教室から引きずり出されそのまま校舎裏に連れて行かれた。

道行く生徒は俺と先輩に何事かと注目していた。 恥ずかしい。


ああ、これで平和な学校生活ともおさらばだなと俺は悟った。


校舎裏に勢いよく投げ出され俺は地面に蹲る。


そして容赦なく先輩の蹴りが飛んできた。 なんなんだ? こいつらは一体……

朝日奈なんかにコロッと騙されて。 なんて単純な奴らだ。


そして俺は額に先輩の蹴りがヒットしそのまま意識を失った。



気がつくと保健室にいた。

そしてそこには坂木や平井が泣きそう顔をして俺の隣にいた。

徹や涼も来てくれていた。



「目覚めてよかった。 あの後私たち先生に言っといたからあの先輩先生たちに連れてかれたんだよ」


「ここまでしたんだ、よくて停学もしかしたら退学とかもありえるな」


「治ってきたと思ったらまた怪我して…… まったく」


「それは俺のせいじゃないよ」


口も切れてて喋るのが辛い。また親が心配するし今度はなんて言い訳すれば良いんだよクソッ!


「柚にはしっかり言っておくね、でも柚の事嫌いにならないで欲しいの…… 柚は柚で可哀想だから」


はぁ、ここまでされて嫌いにならないで欲しいとか…… 俺あいつのためにあいつが遊んでいた男どもにリベンジ対象にされてんだぞ?


なるべく大事にしたくない俺はそのまま帰る事にした。 まぁ帰らされた、しかも親にも連絡いってるだろう……


こんな事で目立つとこの先またろくな事がないので穏便に済ませたい……


怪我をしてまたすぐに怪我して親には俺がいじめられているとすぐに疑われた。

だけど俺は小中からいじめられていたんだ……


ここまでされた事はないから表沙汰にはならなかったけど。

そして転校した方がいいんじゃないかという話も出た。


確かにまたリセットできる。そうするのが1番簡単だろう。 でもなんだかそれは逃げている気がして俺は断固拒否した。


朝日奈のためなんかじゃない。 俺はここで逃げてはいけない気がした。


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