ありふれた、溢れまくった異世界転生
初投稿作です、何分文才に乏しいもので、語彙も表現力も全然ないですが、是非楽しんでもらえたら嬉しいです。
アドバイスなども是非ください!
渋谷のビル街の一角にある、とあるホテルの一室、
オールバックにした白髪混じりの髪に、おそらく良い印象を与えないであろう三白眼、片手にワイングラスを持つその男は、
ふと目をやった先の吸いかけの葉巻に手を伸ばし、一息つけると窓の外を見た。
大きなビルのそびえ立つ大都市の、小さな物語はそこから始まる。
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「ちょっと!なんで起こしてくんなかったの!?」
甲高い大声が耳に響き、怪訝そうな顔をして手に持っていた飲みかけのコーヒーをテーブルに戻す。
「マナ、声が大きい。朝っぱらから勘弁してくれよ」
今にも泣き出しそうなふくれっ面でこちらを睨む"妹"に声をかける。
「今日は友達と遊びに行くから、昼までに起こしてってお願いしてたじゃん...」
「目覚ましはずっと鳴ってただろ」
「いや、だけどっ...」
だけど、分かってたなら起こしてくれてもいいじゃん。
そう聞こえるのはずっと一緒に育ってきた肉親だからだろうか。
「準備は...」
「え?...」
「準備は出来てんのか。」
何かを察したのかみるみる明るい顔になる。
「ちょっとまってて!すぐ準備する!」
「...ったく、早くしろよ?」
車で送って行ってやるよ、せめてそう言い終わるまで待ってて欲しかった。
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「ありがとっお兄ちゃん」
「あ、あの、私までわざわざ、その、あ、ありがとうございました」
「はいよ、気にしないでくれ、うちのバカが待たせても悪いしな」
「ちょっ!!バカはないでしょー!」
少し会話をしたあとに妹とその友人を目的地まで見送った。
外は小雨が降ってるって言うのに、元気なもんだな、
そんな事を考えながら帰路につく。
もう400m先に自宅が見えかかった時突然背後から殴られたような衝撃を感じ、
急激に眠気に襲われた。
"俺"は死んだ。
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目を覚ますと広い草原にいた、目の前には大きな川に橋が架かっているが
人の姿は見えない。
「俺は...どうなった...死んだ?」
目の前の川が三途の川に見え、そう確信しかけた時、誰かの声が聞こえた。
「人の声!!...ここに誰かいる。」
川とは真反対の方向に目をやると声の主と思しき人が見えた。
田舎のバス停程の小さな屋根付きのベンチで、雨が降っている訳でも無いのに慌てた様子で何かを拭っている。
「あ...あのぉ。」
近づきつつ、相手に警戒され無いよう、努めて優しく声をかける。
「あーもうっ!こんな時に雨なんて最悪なのん!」
「あのぉ〜」
こちらに気付いていない様子で独り言をつぶやく彼女に、もう一度声をかける。
「ん...?みゃあっ!!?」
「驚かせてすみません..聞きたいことがあって...」
そう、ここはどこで、自分はどこにいるのか、生きているのか、死んでいるのか、聞きたいことは山ほどある。
「先程から、なぜハンカチを?今はいい天気なのに。」
相手からの返答を待つより先にずっと不思議に思ってた事を聞いてみる。
「ハンカチ...?あれ?ホントなのん!なんでだろう...」
相当な天然らしいこの人は、よく見てみるととても美人だ、
短めのショートカットにクリっとしたタレ目、体は小さく華奢だが、痩せすぎという訳でも無い、まるで小人か妖精のようなふわっとした感じだ。
「んみゃあっ!私に聞きたいことってなにかな?」
「あの...ここがどこかも分からなくて...せめてここが何市なのかだけでもわかれば...」
「んー..よくわかんないのん...
でもここは"ベリアンテ"の"ナンブル橋"停留所なの..
"ナニシ"って所は聞いたことないけど、少し先の街まで行けば分かるかもなの!」
怒りを込めて疑問符を投げつけてやろうかと思うほど衝撃だった。
この人がよほどの無知でない限り、ここは俺の知る日本ではないということになる、やはり"あの世"に近い場所なのだろうか。
そもそも俺は誰に攻撃されたんだ、疑問は深まっていくばかりだ。
街があるとも言っていた、とりあえず、この後の目的地はそこだろうか。
今はただ、自分が死んでいないことを祈るばかりだ。。
「...そうですか、わざわざありがとうございます。とりあえず街の方まで行ってみます。」
そう挨拶をして新たな目的地に歩みを進める。