プレゼント幻想
学校の帰り、僕は変な事を考えた。
家に帰ったら、リビングのテーブルの上にプレゼントが置いてある。それも大きなプレゼントで、プレゼントボックスに入っている。綺麗なリボンで装丁されていて、その中には、僕があっと驚く、それでいて大好きになれるプレゼントが入っている。歩きながら、そんな事を考えていた。
そんな事を考えるのは、人生が退屈だったからだと思う。学校じゃあ居場所もないし、友達もいない。だからそんな事をつい考えてしまうんだと思う。
田んぼの横の道を歩きながら、そんな妄想を膨らませ続けた。家に帰ったら、絶対にプレゼントがあるに違いない。間違いなくある。帰ったら、それに狂喜するんだ。そう思って道を歩いた。
道は平坦だった。いつもの道。うきうきした気持ちで歩いた。
鍵を使って扉を開けて、靴を脱いで玄関を上がり、真っ先にリビングに向かった。リビングの上の机。見た時、僕はとてもがっかりした。机の上には何も置いていなかった。置いてあるはずの、プレゼントなんてなかった。
がっかりした気持ちになって、ソファに座り込んだ。「あーあ」とつぶやく。…もちろん、プレゼントがない事は知っていたけど、あると仮定して、想像を膨らませると、ない事の方が変だ。そっちの方がおかしい。僕は、心底がっかりした。
がっかりした気持ちのまま、なんとなく、テレビをつけた。ニュースをやっていた。どこかで悲惨な事件が起きたらしい。三人死んだという。キャスターが言っていた。
「こんな事件は起こってなりません。こんな事は決しては起こってはなりません」
僕は、再びテーブルの上を見た。キャスターの真似をして言った。
「こんな事は起こってはなりません。こんな事は決して起こってはなりません。テーブルの上にはプレゼントは載っていなければならないのです」
そう言うと、馬鹿馬鹿しくて、僕はプッと笑い出した。でも、色々な事は、キャスターや僕の言っているような風になっているのかもしれない。そんな風に思うから、現実はそうなっているのかもしれない。そんな事を考えた。
またテーブルの上を見た。そこにプレゼントはなかった。
「こんな事は起こってはなりません」




