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Episode 031

耳障りになるほどにセミか鳴く季節。

曲輪田高校では球技大会も終わり、この日は期末テストの返却期間のようなものに差し掛かっていた。


「数学の平均点はちょうど62点、よって赤点は31点だな。このクラスには幸いというか奇跡的にいなかったわけだがギリギリだったやつは夏休みにでも復習するように」


2年1組では担任である杉野先生の数学が返却された。


「採点ミスあるやつはいるか?……ないみたいだな。解説も終わってるし、そうだな。残りの時間は自由にしていいぞ。それこそ文化祭で話し合いたいことあるなら、その時間にしてもいい」


クラスの皆は赤点はなく安心した様子でおしゃべりをし始めた。


「あ、そうそう。桑田、お前ちょっと来い」


「えっ、俺赤点じゃないっすよ」


「テストとは別関係だ」


「……?分かりました」


未亜は面倒だなと思いながらも杉田先生のあとについて行った。

   

進路指導室にて。


「ここ最近、女子生徒がいかにも不良みたいなやつらからしつこく声をかけられるってことが何件か起きてるんだよ」


「えーっと、話が見えないんですが」


「単刀直入に訊くが、お前何か知ってるか?」


「……心当たりはなくはないです」


「というと?」


「実は最近、3組の葛西が怪しい男2人にしつこく絡まれてたところを助けたんですよ」


「なんとなくだが、穏便にはいかなかったみたいだな」


「先生、俺の勘が正しければ学校が取り上げたその問題と葛西の件は無関係ではないと思います。そしてことに当たるならなるべく早くしないと手遅れになると思いますよ」


「そんなにヤバい案件か、これは」


「先生もこの街の治安がそんなに良くないのは知ってるでしょ?」


「再開発の影響だな。かなりマシになったみたいだがな」


「……そうっすね。ともかく、本当に何かあってからじゃ遅いですよ」


「分かった。できることだけでもやってみるさ」


「じゃあ自分はこれで」


未亜は話が終わると立ち上がった。


「……ところで桑田」


「?」


「お前、数学のテストあれはわざとか?」


「なんのことですか?」


「あまり教師をバカにするなよ。得点を調整してるのがバレバレなんだよ。なんでそんなことしたんだ?」


「先生の気のせいですよ。俺はそんなに勉強できません」


「かつて『神童』と呼ばれてたお前がか?」


「それは俺のことじゃありませんよ。それに俺に才能がないって言ったのは先生自身じゃないですか」


「あー、中間テストのときのことか。あれは言い過ぎたな。それにお前のことを詳しく知らなかった」


「事実なのでお構いなく」


未亜はそれだけ言い、進路指導室を出た。


「……動揺すらしないか。あの肝の据わりようは高校生とは思えないな」


そして小さく呟く。


「諸々含めて教師失格もいいとこだな、全く。教え子に何もしてやれないとか情け無いにもほどがある」


その扉の向こう、実は静かに聞き耳を立てていた者も小さく呟く。


「……そんなことないですよ、先生」


足音を立てないように廊下を歩き始める。


「いずれにしても、俺がケジメをつけることですから」


彼はどこか意を決した表情を浮かべる。


「さーて、久しぶりに頑張りますか」


「何を頑張るんですか?センパイ」


ふいに彼は話しかけられた。


「ん?あぁ、三方か」


「何か久しぶりにですね」


「俺もそんな感じが、いや文化祭実行委員の集まりでここ最近も何度も会ってるだろうが」


「そういえばそうでしたね。ところでセンパイが珍しく何を頑張るんですか?」


「珍しくとはなんだ、俺はかなりの努力家だぞ」


「そんなキャラには見えないのですが」


「失敬な」


「そうそう!バスケ部との試合観ましたよ、大活躍じゃないですか」


「活躍したのは怜と諒平だよ」


「それはそうですけど、センパイも凄かったですよ」


「さては柏原先輩もそこにいたな」


「えっ」


「なるほど、そういうことか」


「何で分かったんですか!?」


「俺からすれば何で2人が仲良いかの方が不思議だ」


「中学が一緒だったんですよ」


「それにしてもだ。組み合わせが意外でしかない」


「そうですか?でも夕美センパイ優しいですし、イジると可愛いんですよ!」


「先輩も苦労してるんだな……」


「ところでセンパイは何を頑張るんですか?」


「まだ聞きたいのか?やり残したゲームだよ、テスト終わったし」


「そうは見えなかったですよ?」


「……嫌なところでするどいやつめ」


「聞こえてますよ〜」


「ま、いつか話すよ。ところで三方はこんなところにいていいのか?」


「あたしのクラスは早めに終わったので次の時間までは自由時間です」


「そうか。そんじゃまた文化祭の集まりのときな」


「えぇ〜結局意味深でお預けですか〜」


「聞いたところで面白くないんだよ。そんじゃあな」


「いいじゃないですか〜教えてくださいよ〜」


「あーもう、しつこいぞ後輩」


駆け足で三方と別れ、教室へ戻る。

その途中、彼は溜め息をつきながら思う。


(あいつにはどうにも嘘がつけないんだよな。困った後輩だよ)


「センパイ、あんな反応されたら何か変な隠し事してるって分かっちゃうじゃないですか。何もなければいいんですけど」


後日、未亜は連日学校へは来なかった。





いつのまにか、いいね機能ついてたんですね、、、

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― 新着の感想 ―
[一言] 意味深なところでお預けですか?更新はよ頼む。続きが気になって夜も眠れません。よろしくお願いします
[良い点] 主人公に謎がおおい!!(魅力的な意味で) [気になる点] 三方ちゃんが目立ちすぎて他の天使の出番が少ない様な… [一言] 今後の更新を非常に楽しみにしています。 大変かと思いますが、頑張…
[一言] 以前似たようなの読んだ気がします 主人公がクソムシ呼ばわりされてそれに怒った親友が親友に好意を寄せてる女の子を呼び出してもらって『親友をクソムシって呼ぶ女の子なんて好きになるわけない』みたい…
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