Extra episode 01
ここは姫ヶ崎女学園の生徒会室。
姫ヶ崎女学園は中高一貫の全寮制の女子校であり、かなりのお嬢様学校として周辺地域では誰もが知っている。
そんな姫ヶ崎女学園において高校編入学でありながらも生徒会長を務めるのが聖川翔子である。
「ハァ」
翔子は一枚の紙を見ながら、深いため息をつく。
「翔子、最近ため息が多いよ」
同じく生徒会に所属し、文化祭では姫ヶ崎側の合同企画の班長である本郷咲奈もいた。
「もしかしてだけど、彼のこと?」
「えぇ、早く次の打ち合わせの日にならないかしら……」
「何を見てるのかと思ったけど、文化祭のスケジュールかぁ。夏休みも近いし、これから本腰入れて準備に取りかかる時期だね」
「そんなことより聞いてください!」
翔子はダンッと両手を生徒会長用の机に勢いよくつきながら立ち上がる。
「彼ったらメッセージ送っても無視するんですよ!?」
「一応、連絡先は交換できたんだ。それとも元々持ってはいたのかな?」
「そんなことはいいのです!せっかく交換したのにあまりに素気なくありませんか!?」
「翔子、あんた最近本当に暴走気味……」
「わたくしはいたって普通です!」
「いつものお淑やかさはどこへやら。あんたをこんなにさせる桑田くんってホント何者?」
「咲奈、あなたでも彼はダメよ」
翔子らその容姿からはとても想像できないほど物凄い威嚇するような視線を咲奈に向けた。
「取らないって。そもそもあんた今は桑田くんと付き合ってるわけじゃないんでしょ?」
「グス……」
翔子は膝を曲げてかかとを椅子の上に乗せてくるまり、咲奈に背を向けて泣きべそをかきはじめた。
「えー、ウソー……」
まさかここまでとは思っていなかった咲奈の視線はもはや呆れだった。
「翔子って意外とナイーブなのね」
「そんなことないです……未亜君関係だけです……」
「拗らせてるなぁ、桑田くんも大変だったんだね」
「そんな、わたくしが重い女みたいじゃないですか!」
「え、違うの?」
翔子はさらに落ち込んだ。
「今まで自覚なかったの?てかどんだけ好きなの……」
「世界で一番愛してます」
「重いっ」
「重くありません!これは一途な愛です!」
「それを世間一般では重いっていうんだよ……」
「ふん!重くて結構ですー。未亜君にそれが伝わればいいんですー」
もはや開き直る翔子。
「でも別れちゃったんだよね?」
強烈なカウンターをくらい、翔子はついに床に膝と手をついた。
「ホント、あんたたちに一体何があったの?」
すると翔子の表情は一変、とても暗い表情を浮かべる。
「ごめん……もしかして訊いちゃダメだった?」
「いえ、知らないと思いますし教えてもないので当然の疑問だと思うわ。ただ今はまだ話したくないの。未亜君の周りにいた、いやそれだけじゃなくて大林中の皆んなも言えないことになってますし」
「言えないことになってる?」
「ともかく言えないのです。だからあちらの高校で彼の変な噂が出回ってしまってるらしいのですけど」
「ちなみにですけど、本郷家の力を使って調べてもらってもかまいませんが調査する方は恐らく帰ってきませんよ?」
「え、急に怖いんだけど!」
「それは半分冗談ですけど、あまり詮索して欲しくありませんわ。もう今更ですし、知ったところで良い気持ちにはならないでしょうから」
「分かった。じゃあ翔子が話してくれるのを待ってる。ところで半分冗談ってことは半分本当ってこと?」
「調査する方が優秀であればあるほどその危険性がありますね」
「ホントに一体何があったのよ……」
咲奈は気になりつつもこちらからは詮索しないと決めたのだった。




