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Episode 026

期末考査が終わり、続々と結果が返されてくる今日この頃。

今のところ赤点はないが油断はできない。


ちなみに誰かと勉強会なんていうありふれたイベントすらなかったとだけ伝えておく。


まぁ怜経由でもこのイベントがない理由は明確である。

いわゆる(ていうか俺が名付けた)四大天使は極めて遺憾なことに皆成績が良かったりする。

特に三方、お前が裏切るとは思わなかった。

当然怜は勉強もできるため、頭良いやつ同士においてお勉強会イベントなんて起きるはずもなかった。

あういうのってラブコメの主人公が大抵勉強があまりできないから起きるのだろう。


てかラブコメの主人公って何でモテるんだろうか?

怜ほどのスペックを持ってるなら分かる。

ぶっちゃけ平凡で性格が良いだけの奴がモテるわけない。


……まぁ、創作の世界に何言ってもしょうがないのだが。


そんなことはさておきだ。

期末考査が終わりテスト返却が進む中、球技大会が明日に迫った。

怜や快斗、諒平ともに部活動がないので、放課後に練習がてら体育館でバスケをして遊んでいた。

一応先生にはちゃんと許可を得ている。


「げっ、久しぶりにやったけど全然入らん」


バスケのシュートってこんな難しかったのか。

ちなみにその隣で怜がバンバンシュートを決めている。

こいつは何?マシーンか何かですか?

中学のときよりも上手くなってね?


「未亜はもう少し手首でスナップをきかせないと」


「アドバイスどーも」


なんとなく手首を意識してボールを放つ。

それは綺麗にゴールへと吸い込まれていった。


「さてはお前天才か」


ホント今更ながらに。


「すぐに修正した未亜の方が凄いよ」


「いや、今のところ一発も外してない怜はスゴイを通り越してもはや気持ち悪い」


「心外だなぁ」


ホントにこいつだけで優勝できるぞ。


ちなみに反対側のゴールからダーーーンッ!!という音が聞こえた。

何の音かは容易に想像できる。


「諒平、ダンクするのはいいけどゴールネット壊すなよ」


「久しぶりにやったら加減できなくてよ」


「球技大会でもほどほどにしろよ。諒平の場合、相手がケガしてもおかしくない」


「そんな危ないときにはやんねーって」


多分やるだろうが、一応釘を刺しておく必要がある。

テキトーにシュート練習してから2on2をやることになった。


「「「グーとパーで別れましょ」」」


俺と快斗がグー、怜と諒平がパーを出した。


「決まりだね」


「これ戦力差あるくね?」


「それについては同意」


快斗も流石に分が悪すぎると感じたようだ。

まぁ、当たり前か。


「やってみなきゃ分かんないだろ?」


いや、正直結果は目に見えているが仕方ない。


「とりあえずやってみるか」






……15分ほどやってみたが結果は27-8で惨敗だった。


「お前ら、手加減というものを知らないのか・・・」


ちなみに息切れしているのは俺だけだ。

こいつら、体力もバケモン級なんだよなぁ。


「おい未亜、体力落ちたんじゃねぇか?」


諒平にそう言われる。


「仕方ないだろ。ここしばらく大した運動はしてこなかったんだから」


「あれ?でもたまに夜とかランニングしてるよね?」


怜の発言に対して俺は呆れた口調で、


「なんでお前知ってんだよ」


と言った。


「せっかくなら部活入れりゃいいのに。もったいないぜ」


「遠慮しとく。もう今更入ろうとは思わん、面倒だしな」


とりあえずチーム替えしてもう1回だ。

こんな無様な結果のまま帰るわけにはいかない。


「チーム変えてもう1戦だ」


「相変わらず負けず嫌いだね」


「そんなんじゃねーよ。たださっきのは戦力差がおかしかったからな。納得はしてない」


「じゃあ僕と諒平、未亜と快斗でグーパーして分かれようか」


「そうだな」


俺はグーパーしようと快斗に歩み寄るが、快斗は体育館の奥端の方を見つめていた。


「どうした?」


「あっちから声が聞こえた気がするんだ」


「ん?体育館裏からってことか?」


「多分」


「あそこは人目につかないからな。告るときにも使えそうだし、もしかしたらそういうことかもな」


「いや、そうとは限らないよ」


怜も話に入ってくる。


「うちの体育館裏はむしろ溜まり場のようなものだからね」


「あー、もしかしてバスケ部の?」


「うん。だから基本的には誰も近寄ろうとも思わないんだよ」


うちの体育館裏も治安が悪いようだ。


「ちょっと興味本位で聞いてみようぜ」


「流石に趣味が悪いよ」


「別にいいだろ。それに快斗の気のせいかもしれないしな、一応の確認だよ」


俺は体育館の奥端の壁まで行き、聞き耳を立てた。


『羽山先輩っ!やめてください!』


悲痛な声が聞こえ、俺は顔をしかめ、怜たちにも聞くよう手振りでこっちに呼び寄せる。

3人とも俺の表情を見て、すぐにやって来る。


『奥寺よぅ、お前先輩に対して礼儀がなってねーんじゃねーの?なあっ!』


これは、恐らく人が蹴られた音。

これには俺たち4人全員が気付き、衝撃が走る。


『羽山、こいつの財布あったぜ』


『ほーん、結構入ってんじゃん』


『やめてください!』


『そう言われてやめるやつなんているわけねーだろ、バーカ』


俺たちはすぐさま走り出した。


「おい!早く止めねーと!」


「ったく胸糞悪い!最近よくこんなのに巻き込まれてばっかだ!」


「羽山って、この前言ってた人だよね」


「とりあえず早く行こう!」



体育館裏まではすぐだった。

後輩と思しき男子を複数人で取り囲んでいる。


「お前らなにしてやがるっ!」


諒平が先陣を切った。


「あ?こいつは驚いたな。武田に神坂に邸じゃねーか。エース様たちが揃いも揃って何のようだ?それに桑田、てめぇも」


「羽山、そいつから離れろ。財布も返してやれ」


諒平がドスの低い声で言う。


「ちっ、体育館で誰かいるなとは思っていたがオメーらかよ。帰るぞ」


羽山は財布を後ろに投げ捨て、取り巻きとともにここから離れようとする。


「待て、羽山。良いウワサは聞かないと思ったが、まさか後輩をカツアゲするほどのクズ野郎だったはな。バスケ部のエースが聞いて呆れる」


諒平は常々、羽山の言動にはムカついていたみたいだ。


「あ?誰のおかげでバスケ部が全国行けたと思ってる?この俺のおかげなんだよ。だからバスケ部の連中はむしろ俺に感謝しなきゃならねぇ」


たとえバスケはできても、ここまでバカだと滑稽だ。


「くだらねぇ、お前みたいなやつがエースだと?お前ごときがか?そんなお前がエースのバスケ部になら俺たちでも勝てるだろうさ」


おい、ちょっと待て。


「はっ、冗談じゃねぇ。いくらお前らでもバスケ素人に負けるはずねぇだろ」


「なら、やってみようじゃないか。丁度明日、球技大会がある。そこのエキシビジョンマッチでお前らぶっ倒してやる。負けたらお前、皆んなが観てる前で二度とこんなことしないと宣言しろ」


こいつ、勝手なことを……


「ならお前らが負けたときはどうするんだ?そっちがその気ならこっちだって何かねぇとフェアじゃない」


お前がフェアとか語るんじゃねーよ。


「……そうだな」


なぜか羽山は俺を見る。


「桑田、そういやお前の元カノって姫ヶ崎の生徒会長なんだろ?一回見かけたけどよ、いいよなーあの女。俺が勝ったらあの女くんねーか」


自然と拳を強く握りしめる。


「何言ってんだテメェ?元カノつってんだろ。まぁ、そもそもテメェみたいなバカと付き合うほど、あいつは愚かじゃねーが」


「オメーもいってくれるじゃねーか。じゃあ俺らが勝ったらお前ら一生俺の奴隷になれ」


「ガキかテメェは。言ってることが小学生以下なんだよ」


「この野郎!」


羽山はいかにも殴りかかってきそうな勢いでこちらに向かってきた。


ダァンッ!!!!


「未亜!」


俺が体育館の壁を拳で叩いた音で羽山は止まった。


「俺とやる気か?俺は今すぐにでもお前ら全員病院送りにしてやってもいいんだぞ?」


俺の言葉に羽山だけでなく、その取り巻きたちも怯えた表情で黙り込んだ。


「はっ、お前のは所詮ウワサだろ……」


「その割にはビビってんじゃねぇか」


強がりは一丁前だな。


「わかった。いいだろう、じゃあお前らが負けたときはすぐさまみんなが観てる前で土下座しろ」


「あ?そもそもやるとは……」


「それで決まりだ」


「諒平、お前」


そして怜が俺の右肩に手を乗せた。


「僕もいいよ。君たちの言動は目に余るしね。快斗もいいかな?」


「うん。どうせ、こんなやつに負けることはないからね」


揃いも揃って……


「分かったよ。羽山、それでやってやるよ」


まぁ、俺もムカついたことには変わりはないしこのバカにも良いクスリになるだろう。


「そもそもオメーらが優勝できるのか?」


当然の疑問、だが分かっていない。


「それはそれで土下座してやるよ。せいぜい、祈っておくんだな」


俺たちもこの場から離れることにする。


「これで優勝しなきゃならなくなったな」


諒平が楽しそうにそう言った。


「誰かさんのせいでな」


俺はため息をつく。


「巻き込んで悪いとは思ったが、ああいうやつはプライドごと叩き潰してやらねぇと治らんからな」


「あいつはもう手遅れだろ。それにしても怜、お前がやる気になるとは意外だった」


「さっきも言ったけど、彼の言動は目に余るからね。間接的に僕たちに害が及ぶ可能性だってある」


「なるほど。さてここまで啖呵を切った以上、必ず勝つぞ」


他の3人は笑みを浮かべた。

相手は腐っても全国出場のバスケ部と才能だけはあるバカエースだ、勝てる見込みは少ない。

なのに、楽しそうにしやがって。

稀に天才たちの考えてることが分からなくなる。


「あぁ、もちろん」


「やってやるぜ!」


「当然だね」


まさかバスケでこのようなことになるとは、これもまた運命の悪戯というやつなのだろう。






















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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い。 [一言] 更新お疲れさまです。 この物語を読ませて頂ける事に感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
[良い点] 更新ありがとうございます!! [一言] 未亜あたりなら動画とか撮って、確実な証拠を手に入れてから行きそうだと思ったんですが、意外とそのまま突っ込んで行きましたね。
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