Monologue 02
夢を見ていた。
過去の出来事がそのまま映った夢だ。
これは約2年前の出来事だ。
今でも、いやきっとこれからも鮮明に残るだろう記憶。
僕は街にある廃工場に全力で走ってかけつけた。
かけつけた場所には親友が1人立っている。
来たと同時に何人もの人たちが恐怖から逃げるように出て来た。
僕のことなんか見もせずに走って逃げていった。
親友はボロボロだった。傷だらけだった。額からは少し血が垂れていた。
幸い、少し切っていただけみたいだ。
僕はすぐに駆け寄った。
まさか中学生1人であの人数の高校生たちを相手にしていたなんて。
しかも見る限り鉄パイプや金属バットも落ちていた。
『大丈夫!?』
彼は僕の手を無言で振り払った。
『いつまでこんなこと続けるつもりなんだい……』
親友は答えない。
立っているのだってやっとなはずなのに、彼はまたどこかへと歩き出す。
そして、彼の目は言うならば虚だった。
まるで呪われているかのようだ。
親友がこうなってしまったのは僕たちのせいだ。
そして彼を止められないのは僕たちの力不足だった。
そして、確信したんだ。これ以上はダメだと……
僕は彼の前に立ちはだかる。
このままでは本当に死んでしまいかねない。
そうでなくとも、彼の人生が、未来が壊れてしまう。
『そこをどけ』
『今のキミをこのまま行かせるわけにはいかない』
『頼むからどいてくれないか?お前を傷つけたくはない』
『どんな手を使っても今ここでキミを止める』
『こちとら疲れてんのに……手間かけさせてんじゃねぇ!』
親友同士なのに、馬鹿みたいに殴り合った。
とても痛かった。
殴ったときも、殴られたときも。
お互いその場に倒れ、誰が呼んだのか救急車の音が最後に聞こえてきたことを覚えている。
ここで夢から覚める。
「…………はぁ、またこの夢か」
分かってる。
この日に親友を完全に止められなかったことが、僕の今現在における一番の後悔なのだから。




