Episode 021
カクヨムでもこの作品を投稿することにしました。
やっとログインできたので。
基本的に同じ内容ですが、場合によってはカクヨムの方を改訂する予定です。
『わたくしたちは恋人同士だった関係です』
ホントに知られたくなかったことを元カノに暴露され、窮地に陥っている彼女の元カレこと俺はこの状況に唖然とし思考も停止していた。
「センパイ!どういうことですか!?あたし聞いてませんよ!」
そりゃ言ってないからな。
それよりも早くどいてもらわなければ。
「えーっと、翔子さん?できればどいてほしいんですが……」
「嫌です」
え、なんで?
「嫌と言われましても、ほら、この状況は不味いといいますか……」
「…………」
彼女は顔を俺の胸元でうずめたまま動こうとしない。
「おい、いい加減にしろ」
「ぐすっ、酷いです……」
おい、それは……
「センパイ元カノ泣かせたー」
おい、テメェこの尼!覚えてろ後輩!
クソ!周りの視線が痛い、痛すぎる!
「せっかく、また会えましたのに……」
「できれば俺は会いたくなかったよ。俺にそんな資格はなかった。だってのに」
「未亜、諦めなよ。未亜が思ってる以上に翔子はまだ君のことを想ってたんだから」
怜のやつ、急に入ってきたと思えば……
「事態をこれ以上ややこしくしないでくれ。頼むから」
「別れるときにちゃんと彼女を納得させないから」
「それを本人の前でよく言えるな」
「そうです。わたくしはまだ納得してませんからね」
「顔をうずめながら言うな。てか泣いてないよね、絶対」
この2人を同時に相手するなんてごめんだ。
「グスグスっ、元カレがいじめてきます」
おい元カノ、マジでいい加減にしてくれ。
「さっきまでの高貴な印象が台無しだ」
「翔子は元々こんな感じでしょ?」
さっき連絡先交換した本郷か。
「おかしいな。もっとお淑やかだった気もしなくはない」
「それはキミが変えたからだろうね」
「ホント、本郷さんみたいなタイプが一番怖い」
「あはは、よく言われる」
いや、よく言われるのかよ。
全く、俺の周りは何考えてるか分からないやつが多くて困る。
「あー、どうしてこうなったかなー。とりあえず後輩は後で覚えていろ」
「ひっ!」
三方は素早く怜の後ろに隠れる。
「むっ、これはいけませんね」
「何が?てか、あのー、そろそろ本当にどいていただけないでしょうか?この空気に耐えられそうにない」
「あなたのメンタルなら大丈夫ですよ。ですが浮気は良くありませんね」
意味わかんねー。
「いや、浮気って。俺たち別れたよね?納得してないって言ったけど、あのときちゃんと了承してたよね?」
「記憶にございません」
どこぞの政治家かお前は!
「ならいっそのこと付き合ってたことも……んっ!?」
それは突然だった。
どうやら俺は彼女の唇で口を塞がれたらしい。
「「「キャーーーーーーッ!!」」」
「「「えぇ〜〜〜〜〜ッ!!」」」
よくわからんラブコメ展開に狂喜乱舞する者たちとただ単純に驚いた者たちが同時に声を上げる。
「あちゃー」
これにはうちの実行委員長も口を開けたまま唖然とし、
「これはなんとも、まぁ、うん、未亜が悪い」
イケメンな親友はなぜか俺が悪いといい、
「最後のはたしかにデリカシーなかったよね」
彼女の友達にもそう言われ、
「センパイの、バカ」
後輩からは今まで見たことない目で蔑まれながらシンプルに罵倒された。
いや、これが一番ショック。てかその目怖っ。
「〜〜〜〜!?」
俺は突然の出来事に冷静さを失い、更には口を塞がれ息ができず、危険を感じて床をバンバン叩く。
おい、マジでヤバいから!
だれか助けろ!
あ、これヤバい。
そして俺の意識は飛んだ。
………
…………………
………………………………
………
…………………………
「あれ、もしかしてこれヤバいかんじかな?」
本郷さんがそこで気付いた。
「仕方ない。彼女を未亜から引き剥がそう」
僕も未亜の状態に気付き、2人で急いで翔子を引き剥がした。
「あんた相変わらずどこからそんな力が……って、彼ホントに気絶しちゃったよ」
「未亜も動揺して鼻で呼吸することを忘れてたみたいだね」
未亜らしい、といえばらしいけど。
「翔子、急にその、キスはダメだって。それもこんな人がいる前で、しかも元カレに」
「だって〜、彼ったらいっそのこと付き合ってたことも忘れろ的なこと言いそうだったんだもの」
間違いなく言ってただろう。
未亜はそういうところがある。
しかも分かっていてわざと言うから余計にタチが悪い。
「だからって、キスで口封じしなくても」
「それは、その、せっかくですから」
彼女は悪びれず屈託のない笑顔を浮かべた。
彼女は相変わらずだ。
その笑顔にきっと…………いや、今はともかく未亜のことをなんとかしないと。
「うん、今はちゃんと息してるし。すぐに目もさめると思うよ」
「それはよかった。翔子、あとで彼に謝罪」
「えぇ、流石にやりすぎました」
「あんた偶に暴走するんだから」
暴走してしまうのは相変わらずみたいだ。
こんなところも未亜に影響されたのかもしれない。
「ともかく僕は未亜を保健室に運んでくるよ。誰か他に手伝ってくれるとありがたいんだけど」
たしか2年3組の中山君に手伝ってもらい、2人で未亜を保健室まで運んだ。
保健室の浅見先生に事情を訊かれたときは中山君と2人してなんて話そうかと困った。
「まぁ、いいわ。今は寝てるだけみたいだし、このままベッドに寝させてあげましょう。目が覚めたらそのま帰宅させるわ」
「ありがとうございます。それでは」
僕たちが保健室から戻る頃には姫ヶ崎女学園の生徒たちは帰っていた。
生徒会長の一也が言うには時間も少し過ぎてたので、僕たちが未亜を保健室に運んでいる間にお開きにしたとのこと。
「神坂、あの2人のことは頼む」
「一也、それは難しいよ。一也も知ってるよね?」
「それは、まあ。個人的にあの2人にはよりを戻してほしかったりするんけど」
「翔子はともかく、未亜の方がなかなか難しいところだね」
「それもそうだな。いやぁ、それにしても荒らしてくれたなぁ本当に」
「それについては翔子に言ってくれないと。未亜はこうならないようにしてたんだから」
「まぁ、おかげでうちも立場的に強く出れるようになったので良しとするけど」
一也からすればスケジュールからあちらに合わせてきたというのもあるのだろう。
だからこそ多少は自分たちの意見も通したい思いがあるのかもしれない。
「一也も相変わらずだね」
「そんなもんだよ。意外と皆んな変わってない。強いて言うなら、未亜は変わったかな」
「そうかもしれない」
今となっては違和感ないけれど、高校生になっから未亜は随分と鳴りを潜めた気がする。
「ところで未亜は本当に気絶してたと思う?」
「……僕もそんな気はしてたんだよね」
「未亜なりにあのカオスな状態を収拾しようとしたわけか。たしかにおかげで助かったけど」
「はぁ」
「神坂もため息つくんだね」
まぁ、ね。
「一也が今一番つきたいじゃないかな?」
「そうでもないよ。あっちの生徒会長が聖川さんで、未亜が文化祭実行委員なのも知ってたからそれなりに覚悟してた」
「なるほど、すでに深いため息はついてたんだね」
「まぁ、なんとかなるとは思ってる。神坂もいるし」
「あまり期待しないでくれると助かるんだけど。……精一杯頑張るよ」
「助かる。じゃあ片付けて帰ろうか」
「そうだね。今日は寄り道して未亜にファミレスで奢ってもらうのはどうかな?」
「賛成だ」
今年の文化祭はまだまだ波乱が起きそうだ。
成人式の日に急に伸びてて驚いた作者です。
おかげでブークマーク6000件、そして総合PV150万回を突破しました!ありがとうございます!
そして文化祭編なんですけど文章量はおそらく体育祭編とは比にならないと思います。
その体育祭編なんですが、もしかしたら加筆するかもしれないです。
それともうそろそろ作者自身が登場人物を整理したいのもあるので登場人物紹介なるものも予定しています。
そこで登場人物の名前がダブってたり変わってたりしたら教えてください。(やらかしてる可能性大なので)
長くなりましたが今後もよろしくお願いします。




