妖怪と好きのイロハ
おはようございます。鳩打どあのぶです。初投稿です。
書きたかった妖怪モノで自分の思っている、伝えたいことを書かせて頂きます。拙い文章ではありますが、なにか思って頂ければ幸いです。
※「鳩打」は「はとうち」と読みます。理由は気が向いたら話しますね。(面白くもない話なのにね
「妖怪研究部を!!作りたいのです!!!」
言い放ち、机に手を叩きつけた一人の少女。その衝撃で、かけていた大きめの眼鏡が傾いた。
季節は夏。窓の外では蝉がうるさく鳴き、太陽の光をじりじりと肌に感じるような日。汗で体にへばりついたワイシャツか鬱陶しく、叩きつけた手のひらの汗が机に跡を残した。そんな夏のなんでもない昼下がりのある高校。その校内の相談室で机を挟んだ教師とその女子生徒の二人は、睨み合っていた。
「…あのねぇ、何度言ったらわかるの?部活を新しく作るには条件が揃わないって。オカルト研究部あるでしょ?妖怪も同じようなもんなんだから、そっち入りなさい。」
少女の向かいで腕を組み、その教師は扇子で顔をゆっくりとあおいだ。もう何回と同じやりとりをしているのであろう。言動には覇気がなく、疲れと若干の呆れが見える
「同じじゃないです!断じて!妖怪はオカルトとは違う魅力が」
「わかったわかった…じゃあ聞くけど、顧問は?」
「こっ…これから探して…」
「部員は?」
「それも…これから…」
教師はまくし立てて、少女はそれに気圧された。確かに部活を作る条件はまったくと言っていいほど揃ってない。そもそも『妖怪研究部』などという名前を掲げた部活の顧問になるモノ好きの教師などそうそういない。同様にそんな生徒も。
それでも、少女は
「でも…」
少女は
「でも…私…妖怪が好きなんです…!」
その少女の眼鏡の奥の薄茶色の目はまっすぐと、向かいに座る教師の目を射抜き、妖怪というものに対してのまっすぐな愛を伝えていた。
「はぁ…もういい…俺も折れたよ」
教師はため息混じりに言った。少女はパッと表情を明るくした。部活が作れる…!
「…!じゃあいいんですね!?」
「ただし、条件がある」
ギョッとしたが、希望があるのならと、話を黙って聞いた。
「あと一週間。その期間中に部員をあと2名まで見つけられたら、俺が顧問を引き受けよう。それまでに集まらなかったら、もう二度とこの話はしない。分かったね?」
あと、一週間。あと、二人。それが難しいことなのかどうかを、考えることはしなかった。
「…はい!本当にいいんですね!?絶対ですよ!」
「はいはい、そうと決まったら行った行った」
少女は興奮気味に言って、用事が済んだので部屋を出ようと扉に向かい、立ち止まった。
「…?どうした?反町」
「約束…守ってくださいね」
その少女…反町色葉は振り返ってそう言い残し、部屋を出た。廊下をパタパタと走り去る音がする。一人部屋に残されたこの教師は、扇子で顔をあおぐ手をとめ、窓の外を見た。色濃い、夏の色。
「妖怪が好き…か…」
一人呟き、遠い目線を外に向けたまま、目を閉じた。
何かに対する「好き」という感情はとても面白いものだ。それは事を起こすきっかけとなる。あるいは障害ともなろう。好きと公言することは、簡単ではない。人間という中途半端に頭の良くなってしまった生き物の間柄だと、反発は必ず起こるものだ。でもなぜ、なにかを好きと言うのか。簡単だ。そうでもしないと、自分は自分ではなくなるからだ。そのことを、反町色葉は知っている。
ありがとうございました。
書いてみて思いましたが、雰囲気を何より大事にしたいですね。読んでいて、夏のあの暑さとか感覚が湧き出るような…てか今まさに夏じゃんなに言ってんだ。
というわけで(なにがじゃ)不定期になると思いますが、
何卒、宜しくお願い致します。