似て非なるものに向かうのは
見上げた空は一面の灰色で、今にも雨が降りだしそうなほどだった。
ここは森である分、もともと光が届きにくいが、それでもリオが本来の力を発揮できるかは五分五分といったところだろう。
隣で横たわった御空は気を失っていて、太陽と同じように、あの金色の目は閉ざされている。
あの鬼たちもまた、御空と同じ種族なら気配には聡い可能性が高い。リオたちがみつかるのも時間の問題だった。
「お前、スカーレットを名乗ったな?」
「っ!」
いつのまにか、近くに鬼の一人が迫っていた。正面から向かってくるのは、リオの反応をうかがうためだろうか。
「それでいて、半端者の味方をするのか?」
スカーレットの名は、妖たちのコミュニティ内でよく知られている。
「吸血鬼は、他種族よりさらに血筋を重んじると耳にしたが」
確かにそうだ。だからリエもその名を強く意識し、道を誤った。吸血鬼なのだから、良くも悪くも、相手さえ問わず血には固執する者が多く存在するのは事実だ。
今までの鬼の発言から考えるに、御空は純血の鬼ではないらしい。それはけしてありふれたことではないが、珍しいというほどでもない。
人間から妖魔になる者もいるし、人間と子を為す妖もいる。
どちらにしても、それが御空が自らを『一応』鬼だとし、他の妖からは『半端者』と呼ばれる理由だった。
しかしそれだけにしては、事が大きすぎる。そう思うのは、リオの気のせいだろうか。
「わたしはわたしの意思で、御空のそばにいることを選んだ。あんたに文句つけられるスジアイないよ!」
「ならば、そいつと共に消え去れ。スカーレットの名を持つ吸血鬼」
わずかな光に、鬼の大太刀が煌めいた。




