そばにいるのは大切な
隠れていたらしい鬼たちが出てきた。御空が相手で、気配を消したままでいるのが難しいことだと知っているようだ。
全部で五人。リオがいても二人だけのこちらに対し、およそ二倍の人数だ。同族であることといい、やりすぎではないだろうか。
「なんで……?」
小さすぎる呟きは、誰にも聞こえることなく空中に散って消えていく。それでもリオは、声に出さずにはいられなかった。
ついこの前、リエとのわだかまりが解けたことを思えば、余計にだ。
「たあっ!」
先程もリオたちを襲った鬼の一人が、大きくハンマーの形をした武器を振りかぶる。
リオが気づいた時それは、すぐ近くまで迫っていた。
と、御空に抱え込まれる。
「冷固氷結壁!」
武器の攻撃が当たっても、氷の壁にはヒビが入る程度だ。御空自身の術である氷の壁の固さは、御空の任意で変えることができるのだ。
砕けた氷は森の深緑色の草の上で束の間煌めき、水となって地面に消える。
「ありがと……」
「礼には及ばぬ。彼らは……俺と同じ鬼一族の精鋭たちだ。これまでの妖たちより、さらに強いぞ」
今の一撃があの程度の威力だったのは、リオたちの戦力の様子見なのだ。相手の力量が、どれだけあるのか。そこから攻めを始めるのなら、確かにこれまでの妖たちとは違う。
だけど。
「それが何? 何のために、わたしがついてきてると思ってんの。早く、血」
御空が差し出した手首に咬みつく。相変わらず甘くて、やっぱり不思議な味だ。
しかしもう、必要以上に欲しいとは思わない。
この血を吸い尽くし独占するよりも、もっと長い時間御空のそばにいることの方が、リオにとって大事なことになったから。
ガーネットの瞳が輝き、指の先まで力が満ちる。ここからは反撃だ。
「やられっぱなしで、黙ってると思う?」
鬼たちがいる方に向け、リオは不敵に笑ってみせた。




