表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/41

陽が昇る前に

 体勢を低くした狼が、リオと御空に向かってうなり声を上げる。

 すぐに襲いかかってこないのは、先程御空が繰り出したような遠距離攻撃を警戒しているからだ。

 

「手荒な真似は好まぬが……自我より本能が勝っている状態ならば、仕方あるまい」

 

 この前のリオが、まさにそうだった。御空が呼び戻してくれなかったらと思うと、今さらながらぞっとした。

 

 張り詰めた空気の中、一瞬の隙をついて御空が仕掛けた。

 

「……銀鎖結星」

 

 銀色に鈍く輝く鎖が、狼の身体を拘束した。逃れようと狼は暴れるが、星を紡いだような鎖は、金属音をたてるばかりだ。

 

「リオ。狼男が狼に変化へんげするのは、満月の夜だったな?」

「うん。満月がスイッチになってたはず」

 

 それぐらいなら、日本はもちろん西洋の妖の知識もないリオでもわかる。それほどまでに有名で、妖は当然だが、人間にもその存在を知られている妖魔なのだ。

 本当に力を持っているのは、そういう人によく知られた妖だ。

 

「夜が明ければ?」

「元に戻るよ。確か、次の満月まで」

 

 しかし今はまだ真夜中で、朝になるのはもっと先の話だ。丸い月が、木々の隙間から真上に見えている。

 

 それでも、御空なら何かの策があるのかもしれない。これまで何度も、リオは考えもしなかった方法で、御空は誰かを助けてきた。

 

「そうか。煌陽昇刻こうようしょうこく

 

 御空の手の中に、ふわりと丸い光が生まれた。人間が造ったライトとかいうものより柔らかい光で、月明かりよりもっと眩しい。

 明るく辺りを照らす光が、狼まで届く。狼は目を逸らそうともがくも、鎖に捕らえられていてほとんど身動きがとれない。

 

「目を覚ませ!」

 

 ぎゅんと御空の手から離れ飛んだ光は、狼の頭上で輝きを放った。

 

 あまりの眩しさに、リオも御空の後ろに回って着物のすそかどこかを掴む。

 太陽にも似た明るさは、吸血鬼であるリオには眩しすぎる。御空の陰に一時避難だ。

 

 ぎゅっと目を閉じていたら、む、すまぬなどと言われた。あれだけ、日光は嫌いだと言っていたのに。

 もし一言断ってくれれば、リオとて何らかの対策はした。

 

「……う、ここは?」

 

 光が収まりまわりに闇が戻ってきた頃、狼のいた場所から少年の声がした。どうやら、彼は人間の姿に戻ったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ