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譲らぬ想いであなたの隣

 リエは一度、家族の元へ帰ると言った。今なら、これまでとは違う形で家族に向き合えるだろう。

 そんなリエに、御空は最後に一つだけ、と告げた。

 

「貴女の名……聞いただけでリオと姉妹だとわかる。リは同じで、オはエののちの音だろう。貴女とリオは、間違いなく姉妹だ。御両親もそれを承知でリオと名付けたのだと、俺は思う」

「……ありがとう、御空さん。そんなこと、考えもしなかった」

 

 名前もつながりの一つだ。リオはリエとつながっていられることを、誇りに思う。

 

 お礼にと、リエは忠告を残していった。

 

「御空さん。鬼の一族からあなたの名前を聞いたのだけど、彼らはあなたを追ってここに向かっているらしいわよ」

 

 スカーレットの名は彼らの出身地であるヨーロッパだけでなく、移り住んだ日本でもよく知られている。そのため、妖事情にも通じているのだ。

 

「忠告、感謝する」

 

 そこで御空はリオを見た。言葉がなくとも、何が言いたいかはこれまでの付き合いから察することができた。

 事情も訳もリオにはさっぱりわからないが、どうせまた、いらない心配をしてくれているのだろう。

 

「わたしはついてくよ。今度はお礼だけじゃなく、わたしの意思でも」

「だが……」

「心配ムヨウ! わたしが強いのは、御空だって知ってるでしょ。置いていくなんて言わせないよ」

 

 置いていかれるのは嫌いだ。あんなことは、一度だけで充分なのだ。

 

「しかし、危険だ。姉上と共に往こうと、俺は責めぬぞ」

 

 知っている。けれど遠くでただ守られているより、近くで一緒に戦っている方が性に合っている。

 リオがそんなことを選択をするわけがない。

 まったく、それなりの付き合いのくせに、御空はすぐこうだ。自分より、他人を優先する。美点ではあるがリオにとっては厄介なところでもある。

 

 リエはそんなリオの性格をわかっているから、口は出さず答えもリオにまかせるつもりのようだ。

 

「御空といて、危なくないことなんてあったっけ?」

 

 戦いにおいて、これまでリオが不利になることなどほとんどなかったのだが、御空を説得するためにあえてそういうことにしておく。

 

「御空さん。今のリオには、何を言っても意味がないわよ。この子、こう見えて頑固なの」

 

 私もさんざん手を焼いたわ、とリエは付け足した。姉がそこまで言うのなら、そうとうな頑固さなのだろう。

 そしてそう言ったときのリエの表情は、まぎれもなく姉らしいものだった。こちらが本来の顔だろう。

 

「……後悔しても、知らぬぞ?」

「ジョウトウ! 後悔なんて、しないけどね!」

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