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大切な人の声ほど傷残す

 地面に下ろされ、うつむいているリエに御空は近づいた。そうして、視線を合わせるように彼女の前で膝をつく。

 

「貴女の『理由』を、話してはくれないか。何かは、わかってやれるやもしれぬ」

 

 御空のその言葉に、リエがぴくりと反応した。キッとその深い朱の瞳で睨みつける。

 

「あなたに、私の何がわかるって言うの!?」

「話してくれねば、それすらわからぬ」

 

 声を荒げるリエに対して、御空はただまっすぐに見つめ返すだけだ。責めているわけではない金の瞳に、なぜだか抗えない。

 しかしリエは、反論せずにはいられないようだった。

 

「だったら、安易に聞かせろなんて最低よ……っ」

「確かに、感じることは違う。一人ひとり心が違うのだから、当然だ。だが、だからこそ誰かと繋がり、想いに共感しようとするのではないか?」

「御空……」

 

 こう言える御空に、リオは助けられたのだ。他人だから違って当然。だけど、繋がることができる。

 御空はそれを、今度はリエに伝えようとしている。

 

「わかってくれたらなんて、何度も望んだわよ! でも……っ」

「ならば、聴かせてくれ」

 

 リエも、誰かに自分の想いを知ってほしかったのだ。リオでは気づけなかった。

 せめて今知ることで、姉の力になりたい。

 

「リオのことが、ずっとうらやましかった」

「え……?」

 

 唐突な告白から始まったのは、リエがリオに色々なことをしてきた理由の一つでもあった。

 

「私はスカーレットの……お父様とお母様の、本当の娘じゃないから」

 

 リエの親は、リオの父親の妹だった。彼らは、まだリエとそう変わらない歳のリオも生まれていない頃に亡くなり、行き場のなくなったリエを、リオの両親が引き取った。

 自分はスカーレットの直系ではない。リエがそれを知ったのは今から三年前。ちょうどリオの話とも合う。

 

「私なりに、お父様とお母様に失望されたくなくて努力したわ。スカーレットの名に、恥じない存在でいられるように」

 

 その考え方は、血筋を重んじる吸血鬼ならではのものだ。直系か、そうでないか。少しの違いだが、吸血鬼にとっては重要なことだった。

 

 リオには、よくわかった。

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