言の葉に紛れて突き刺す言の刃は
現れた吸血鬼の、リオとは似ていて違う赤の瞳が、鋭く輝く。どこか刃のような印象を与えるそれは、まっすぐにリオを射抜いていた。
「どうしてあなたみたいなのが、私の妹なのかしら」
言葉までもが攻撃的だ。そしてその冷たさを、リオにぶつけてくる。
リオの性格上、言われっ放しでいるわけがなかった。
御空を拒否した雪女には、かなり腹を立てていた。今度は直接リオに向けられた敵意だ。
「ごめんなさい……リエ姉さま」
それなのにリオは、うつむいて謝っただけだった。髪に隠れて、御空にその表情は見えない。
「せっかくチャンスまであげたのに、あなたあっさり負けたわね? それでもスカーレットの名を持つ者なの?」
「……ごめんなさい」
「謝れば済むと思わないでちょうだい。本当にどうしようもない子。半端者といるってだけで最悪なのに」
リエ姉さまと呼んだ彼女の言うことに、リオは一切反論しない。悔しそうにするわけでもなく、むしろ寂しげだった。
確かに互いに姉妹だと呼び合っているのに、それは歪な関係に見えた。
「リエ姉さま……」
「姉だなんて呼ばないで! そこの半端者を殺せたら見逃そうと思ったけれど、あなたそんなこともできないんだもの」
言葉の刃はリオを貫き、御空まで傷つけにくる。端々から、御空という『半端者』への嫌悪感がにじんでいた。
「違う! 御空は、誰かを助けられる優しい妖なの!」
思わずといった様子で、リオが反論してみせた。しかし口にした後、はっとして罪悪感を浮かべ、またうつむく。
自分が言われていたことへの反論ではない。リオの言った言葉は、御空のためのものだった。
「だから半端者なのよ、そこの彼は」
「でも、御空はわたしを助けてくれたから。だから……」
だから、一緒にいることでリオが何か返せるなら、そうしていたいのだ。
「そう……。なら、半端者と一緒にあなたも私の前から消えてもらうわ!」
リエが細身の剣で、リオに斬りかかってきた。
「刃桜!」
前に飛び出した御空が、日本刀でその攻撃を防ぐ。
「幻霧。……逃げるぞ、リオ」
答えず、リオは御空に手を引かれるまま、 霧立ち込める森の中を走った。




