ゴブリン退治
気配察知に魔物のようなものを感知した。
近づいて来る魔物に、一瞬で警戒態勢をとる神莉。
そしてそこには……
「グギャギャ!グギャ!(何でこんなところに人間がいるんだよ!)」
そこに居たのは、緑色の体に、妙に盛り上がった筋肉を見せつける人型の何かだった。
「これは…ゴブリンか?」
ゴブリンといえば雑魚モンスターの定番。だが、ここのダンジョンは最難関ダンジョンなので、雑魚でも強いはず…どうしようか。よし、こういう時は鑑定してみよう。
「【鑑定】」
――ステータス――
名前 ゴブリン 性別 ♂ レベル650
HP 2000
MP 0
物攻1200
物耐 1000
スキル
身体強化lv.5 縮地lv.5
称号
最弱から最強へ ゴブリン最強
――――
なかなかに厄介そうだな…
そう思った途端、ゴブリンは数メートル程離れていたのに、すぐ近くまで迫っていた。
チッ…!縮地か!
そう思い神莉も慌てて縮地を使い移動をした。
「グギャギャ!ギャギャ!(逃げ回ってんじゃねぇよ!)」
ちなみに、なぜ言葉がわかるのかというと、あの、言語理解(EX)のおかげだ。
なんか魔物の言葉が聞こえるって嫌だな。聞きたくないことまで聞き取ってしまいそうだ。どうやら任意でオンオフが可能らしい。今はオフにしておこう。どうせこれから沢山の魔物とエンカウントするだろうし、そいつらの会話内容を進んで聞きたいとも思わない。
ところでこいつはどうやって仕留めようか。最初は厄介かと思っていたがやはりというかこの世界でステータスはほぼ絶対的なもののようで気を抜かなければ負ける気がしない。戦闘中にこんなことを考える余裕ができる程度には。
「取り敢えずは魔法を使ってみるか…」
そう独り言を発して使えるかどうかを確認する神莉。
…やはり使えそうだ。使い勝手が変わってなくて安心した。
「グギャギャギャギャーー!」
なんか喚いてるな。さっさと片付けよう。
「魔力を多めに込めて…いくぞ!【ウィンドカッター!】」
シンリがそう叫ぶと同時に、見えない刃がゴブリン目掛けて発射される。
当然魔法を使うことのできないゴブリン如きが反応できる訳もなく首から上があっさりと刈り取られる。
ズルッ…ボトリ
神莉が使った魔法の後に残ったのは、断末魔を叫ぶことすら出来ず首から上が綺麗に切り取られてしまったゴブリン。そしてなぜかダンジョンの床までえぐり取られている。え、威力強すぎない…?オーバーキルしちゃった?
(レベルがアップしました)
自分が打った魔法の威力があまりにも強すぎて呆然としていると、聞き覚えのない無機質な声が神莉の頭の中でレベルアップを告げたのだった。