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和髪の使い魔 (くろのつかいま)  作者: 多趣味ちゃん
一章、出会い・そして別れ。
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6話 アーサーエンド

それはトゥーファンにも見覚えのある紙だった。


「それは…なんで…」


トゥーファンは少し感ずく。まさか…そう思った。婆さんは続ける。


「言ったじゃろ…この魔法陣は何を取るかなど決まってなどおらぬと」


トゥーファンの嫌な予感が強まっていく。婆さんは何を言おうとしているのか。


「だから、これにお前の呪いを取ってもらう。」


嫌な予感が的中した。確かにそれで助かるかもしれない。


しかし何を取るかは決まっていない。

そんなものに自分の人生を預けてもいいのだろうか。


例え助かっても、自分がまともに生きれる保証などない。ダメ元で婆さんにたずねる。


「そんなことができるのか?」


「普通の人間には無理じゃろう。」


普通の人間には、という言葉が引っかかる。


何だか外が騒がしい、だが今のトゥーファンには聞こえないのも当然であった。


婆さんにたずねる。


「普通の人間?俺は普通の人間じゃないのか?」


「そうじゃお前は…」


そう言いかけて婆さんの顔が険悪になる。


それと同時に自信のような振動が全身に伝わる。


「なっなんだ!?」


トゥーファンは急いで婆さんの家を出る。


そこにあったのは。


見上げても顔が見えない程大きなものが街を襲っている。


全身を漆黒の鱗で埋め尽くし、体よりも大きいのでは無いかというほど大きい翼。…ドラゴンである。


「なっなんで。こんな時に」


婆さんは悔しそうにトゥーファンに告げる。


「強く願え、それにあの魔法陣は応えてくれる。」


「どうしたんだ婆さん!何をする気だ!」


婆さんの様子がおかしい。


何かとんでも無いことをしようとしていると、トゥーファンは感じ取った。婆さんは詠唱を始める。


「我の血を吸え我の身を食え我と共に生涯を共にし我と共に死ね。魔法陣開放。召喚開始。我の呪いを汝に捧げる。我の声に応えよ。星に編まれし鎧よ!」


婆さんが光で包まれる。しっかりと見ていた。目がどうにかなってしまいそうだったがずっと目を閉じなかった。


光が弱まるとそこには婆さんの影はなく。見たこともない綺麗な女性がたたずんでいた。髪は風に揺れ星のように光る。瞳は空の色よりも青く澄んでいる。


「だっ誰だ!!」


トゥーファンは婆さんを生贄にこの女が出てきたと思った。その女が真っ直ぐこっちを見てニッコリと笑い、喋り出す。


「あー坊、それはひどいよぉ」


聞いたこともない声だがその女は婆さんや村の皆んなしか呼ばない呼びかたで呼ぶ。


「お前は誰だ!!婆さんをどこへやった!殺したのか!!」


その女はびっくりしたような顔で、だが嬉しそうにゆっくりと口を開く。


「…アリサ。私よ」


その名は婆さんしか知らないものだった。その名は婆さんがつけたのだが、自分自信その女のような名前が嫌いだった。


だからその名前はトゥーファン本人と婆さんしか知らないはずなのだ。


「なっなんでその名を…婆さんなのか…?」


その女は、もうっ!、と頬を膨らませ。それに答える。


「だ、か、ら!そう言ってるじゃない!」


話し方などがまるで違う。婆さんというより姉さんである。


「婆さんはそんな話し方はしない。」


まだ疑っていた。それを聞いて、その女は呆れた顔をする。深呼吸をして話始める。


「私は正真正銘婆さんです!それに婆さんって名前でもない!」


トゥーファンはずっと婆さんと呼んできた。婆さんの名前を知るものなどこの村には存在しなかった。


「私の名前はアレラ・ツヴァイ・カメイーラ。元女王の妹よ。」


知らなかった。


婆さんが王家の人間だったと。アレラは続ける。


「私は姉さんを今の女王に殺されて。姉さんっ子だった私は今の女王を殺そうと、赤い魔法陣を使って使い魔を呼び出したの。」


トゥーファンはもうその言葉に嘘はないと信じれていた。


なぜなら、婆さんが真剣な話をしている時と同じ目だったからだ。アレラは続ける。


「そして出てきたのはこの鎧、正直がっかりしたのよね。魔獣でもないし人型でもない。気がついたら私はお婆ちゃんになってたわ。私は年を魔法陣に食われたの」


「その鎧は強いのか?」


トゥーファンはたずねる。赤い魔法陣から出てきたものがどれだけ強いのか気になる気持ちがトゥーファンにはあった。


「あら、気づいてなかったの?後ろを見て見なさい」


そこには凄い勢いでこちらを殴ったり引っ掻いたり炎を吐いたりしているドラゴンがいた。


「結界。この鎧の能力よ!攻撃型というより防御型ね」


そういえばさっきから全く音もしていなかった。赤い魔法陣の強さを実感する。アレラはドラゴンを完全に無視して続きを話始める。


「急激に体つきも喋りかたも変わったせいで、女王に見つかることなくこの村にたどり着いた。私も多少魔法が使えたからね。村人の記憶を変えて村長にしてもらったわ。」


喋り終わったそのとき…嫌な音がした。


「ピキッ…」


ヒビが入っていた。それはこの結界がもうすぐ解けることを示していた。


「あらら…もうお別れの時間みたいね…」


「私はあのドラゴンを道ずれにするわ。」


トゥーファンはアレラがドラゴンを道ずれに死ぬつもりだという事を理解した。だが納得したくはなかった。


「やめろ…やめてくれ…死なないでくれ…婆さん。」


急いで止めようと近寄ろうとするがアレラは自分の周りにも結界を張っていた。


「ごめんね…。こうするしかないの。それに婆さんじゃないってば。アレラよ」


そう言ったアレラの目には涙が浮かんでいた。


「やめてくれぇ!あんなドラゴンぐらい俺が倒すから!」


いつかにみたような子供を見るような目でアレラは話す。


「あんたにはまだ無理よ。トゥーファン…強くなりなさい。」


「あの魔法陣はあなたにきっと応えてくれる。私が探し出した最高の一枚だから」


トゥーファンは泣きじゃくる。もう嗚咽で何も喋れない。アレラの周りには魔法陣が出来ている。


アレラの瞳の色と同じ青い色の魔法陣である。アレラの体が宙に浮く。ドラゴンの猛攻によって結界が弱まる。


アレラの目から涙がこぼれ落ちる。何粒も何粒も…。アレラは泣きながら、トゥーファンに話しかける。


「あー坊…」


その言葉と同時に結界が破られる。


「できることなら貴女の真の姿を見たかった…。」


「私の可愛い娘…。アリサ・トゥーファン・レイドキー。貴女のことを私は…」


「これからもずっと愛してる。」


そう告げるとアレラは魔法を発動させる。

「アーサーエンド…」


アレラが魔法を発動させると、無数の光の剣現れ、剣がドラゴンに突き刺さる。剣は全てドラゴンの急所に当たりドラゴンは動けなくなる。


そして、今までの剣とは明らかに違う二つの剣が現れる。


一つはドラゴンの心臓を貫く。


そしてそれと同時にアレラの心臓を貫く。


ドラゴンの心臓から血が噴き出す。


アレラの心臓からも血が噴き出す。あたりは血の海のように赤く染まる。


アレラが光に包まれる。アレラは笑っていた…トゥーファンを見つめながら。天使のような笑顔で消えていく。


空から血の雨が降る。


トゥーファンは震えながら叫ぶ。


「くっそぉぉぉぉぉぉぉお!!!!」


その叫び声は誰もいない村中に響きわたった。
































最近は書くのが疲れてきました笑

いやぁー頭の中にはあるんですよね?

それを起こすのが難しい!笑

毎日更新がいいって感じの方はコメント頂けると気合いで書きやす!!

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