4話変化
「あれは、俺がこのギルドにはいってちょっとぐらいの時だった。」
悲しそうな顔で続ける。
「このギルドに一枚の魔法陣が回ってきたんだ、その紙はドス黒い血が乾いたような色をしてた。」
その説明でトゥーファンは確信した。あの紙はそれだと。フウの話は続く。
「初めは皆んな興味本位だった、だがどんどんその紙の奪い合いはエスカレートしていって。使い魔で戦い始めた。そして最終的に勝ち取った1人が使い魔を召喚しようとしたんだ。
「自分の血を使ってな。そしたらそいつは使い魔を召喚出来た。」
フウは相当嫌な思い出なのだろう。顔がかなり怖い。
嫌そうに続きを話す。
「だがな…そいつは家族との思い出を完全に忘れちまってた。」
トゥーファンはその話を黙って聞いている。フウは続ける。
「その後も度胸試しのような感じでいろんな仲間が赤い魔法陣に手をつけた。その結果、召喚者にとって大切なものがなくなるんだ」
そう言ってフウは立ち上がる。
「それから、あの赤い紙の仮説が立てられた、それは、『その術者の1番の自信のあるものを奪う』ってな。」
術者にとって大切な者は人それぞれである。
ある者は金。ある者は恋人。そして時には術者の心をも奪うことがあるとフウは説明した。
フウは一度深呼吸をしてから。トゥーファンの目を見る。
「だから、お前はあれには手を出すなよ。」
そう言ってフウは壁に飾ってある剣を取る。それをトゥーファンに差し出す。重たい剣だった。
「な、なんだ?これは。」
ハンが笑って返す
「剣だよ剣」
当たり前の事を返してくる。その剣を鞘から抜こうとしたが抜けない。
「なんだこれ!抜けねえぞ!」
「ギルド入団祝いだ!もらってけ」
そう言って抜けない重たい剣を渡された。
「あぁそうだこれはつけとけ」
そう言って渡されたのはペンダントだ赤い宝石のついたものだった。
「こんなのもらっていいのか!?」
フウがそれの説明をする。
「それはこのギルドのメンバーだって証だ。」
「それに、お前の名前やら、こなした仕事が記録されていく」
トゥーファンはただで宝石がもらえたと思い。心の中で子供のように喜んでいた。
「それじゃあフウさん!またな!」
ギルドをあとにする。あたりはすっかり暗くなっていた。
「うーし。帰るかぁー」
「今日は大変な1日だった。婆さんは王都に行くし
ギルドを訪ねたら、なんか化け物と戦うし」
フウさんの言っていた、赤い魔法陣がトゥーファンの脳裏をよぎる。あれは一体なんなのか。
なんで婆さんはそんなものをもっているのか。謎が多すぎた。
だがそんな事を考えていたら村に着い
た。
婆さんの家に寄ろうと思ったがそれをせず。まっすぐ自分の家へと帰った。
その日はよく眠れた。
使い魔の存在を知ってから一ヶ月が経った。
昨日で雪かきの仕事は終わった。もうかく雪が無いのだ。
最近はギルドの仕事で生活を回している。戦う仕事ばかりかと思っていたが意外とそんなことはなく、お手伝い系がほとんどだった。
掃除に引っ越し。なんだか拍子抜けしていたその日の朝、やけに村が騒がしい。
トゥーファンは起きて村の広場へ向かう。
「朝から騒がしいなぁ。なんかあったのか?」
今日はゆっくり寝るつもりだったので、すこしいらついている。
「あー坊!!!たいへんだ!!」
血相を変えて一人の男が走ってくる。その男は酒場のマスターのテラ・ユウである。
「テラさん何があったんだ?」
男はおどおどしながら、そして小刻みに震えながら言葉にする。
「王都が…ぁ」
トゥーファンも理解した。婆さんの身に何かが起きたのだ。トゥーファンも動揺を隠せない。
「テラさんどうした!!婆さんに何があったんだ!婆さんは無事なのか」
男も動揺している。周りを見ても落ち着いている人などいない。
それほど村長は村の全員から信頼を寄せられていた。この村が平和に過ごせてきたのも村長のおかげなのだ。
テラを問い詰める。
「王都がどうしたんだ!」
テラは唇を震わせながら説明する。
「王都が…ドラゴンに襲われた。」
「なっ!!!!」
王都には今婆さんがいるはずなのだ。その張り紙のしてあるところへ走る。そしてその張り紙を読む張り紙には。
『今日、王都がドラゴンに襲撃された。腕に自信のある者は見つけしだい討伐するべし』
その下には。
『討伐した者には一億円の報酬を与える』
トゥーファンは絶句する。
「なっ!!!!一億だとぉ!」
それがどれだけなのかというと小さい国なら買い取れるレベルである。
村の男達を集めドラゴン討伐部隊を作る。ドラゴン討伐部隊と言ってっも武器はスコップやピッケルなどである。勝てるはずもない。自分の知る限り腕が立つ人物を思い浮かべる…。
「あっ」
思い浮かんだ。『ギャンブラー』のみんなである。彼らなら使い魔も持っているし。戦闘知識も豊富なはずだ。ドラゴン退治などそれこそ彼らの専門分野である。
フウさんに頼もうとギルドに向かおうとしたその時。
背後からこえがする。
「騒がしいのぉ。静かにせんかい!」
全員が言葉を失い。沈黙する。
そこにいたのは…