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現実より、異世界生活⁉︎  作者: ちゃぐ
13/40

1–12:気になる


「はい、そうですけど……」


後ろを振り向くと声の主が立っていた。野太い声とは裏腹に若い…どちらかというと爽やかな青年がこちらを見て、話しかけていた。


「俺は明日からお前の指導を担当する下僕のカルファだ。よろしくな」


声だけならおじさん。しかし、見た目は青年。見た目と声が合っていなくて違和感を感じてしまう。


「あ、笹森拓真です。よろしくお願いします」


明日から働く下僕という仕事だが、実際何をするのかは僕自身、全く知らない。

カルファさんは今も下僕としての仕事中なのだろう。白いシャツに蝶ネクタイ、その上に丈の長くない黒いジャケットを羽織っている。それに手にはピッタリの白い手袋をして、丸いトレイに載せた飲み物を持っている。僕たちが先ほど乾杯する為に取った飲み物と同じ物だろう。きっと、仕事の合間に少し話しかけてきたのだろう。


「明日から指導するので、明日の朝七時に二階一号室の私の部屋の前に集合だ。わかったな」


「ああ…はい。あのー、何か持っていくものはありますか」


「いや、こちらで用意しておくので、遅刻だけしないように。それでは…」


それだけを言って、彼は元の飲み物を配る仕事に戻った。


「はい!わかりました」


明日の朝7時かー、今日は早めに寝なきゃな。もう夜の9時を回る頃だ。気づくとこんな時間だ。外は真っ暗だろう。城の中にいると外の景色は滅多に見れない。

そろそろ引き上げようか…お腹の方もいっぱいになってきたし…。ただ、勝手に帰る訳にはいかない、ましてやマリーと合流することになっている為、帰れない。そういえば帰ると言っても、最初に案内された部屋に行けばいいのだろうか、それとも別の部屋になるのだろうか、その辺も聞いてみなければならない。

ええーっと誰に聞けば……。すると、僕の視界にこの城の執事のシルヴァさんが見えた。よし、シルヴァさんに聞こう!

たくさんいる人の群れを縫うようにしてシルヴァさんのところまで来た。


「あの〜、シルヴァさん」

「ううん?」


彼はこの広場で働いている大勢の人たちに指示を出していた。この人がこの城で働く使用人を統率しているのだろう。僕が話しかけるとそれまで使用人に指示を出していたのを中断して、こちらの話に耳を貸してくれた。


「さっきはお世話になりました。拓真です」

「おお〜、拓真様ですか。どうなされましたか?」


どうやら、覚えてくれているらしい。まあ、話したのは数時間前だし、これで忘れられてたらびっくりする所だ……。


「いや〜、話は国王様に聞いているかもしれませんが、ここでお世話になることになったんですが……、部屋の方は最初に案内された部屋に行けばいいのか、それとも違う部屋なのかどっちなんだろうと思いまして…」


彼は僕の話を聞き、少し考えて、答えが出たのだろう、話を始めた。


「そのことは存じ上げています。そうですね……部屋の方は私が案内した部屋とは違い、二階の方にしましょう。何しろ、明日から拓真様はここの使用人なりますから…。二階が使用人達の部屋になっていますのでそちらの方にしましょう。少し、ここで待っていて頂けますか?」


「そうですか……、わかりました。ここで待ってます」


僕が承知の意を示すと、彼は周りにいた使用人に何かを説明し、元の仕事に戻らせて、後から来た僕の件を先に済ましてくれるみたいだ。


「では、私は少し二階に行って、確認して来ますのでこちらでゆっくりして待っていて下さい……おや?後ろにいるのはヒルデか。元気にしてるか?」


ヒルデは僕の後ろで見張りをしている。そのヒルデとシルヴァは知り合いみたいだ。ヒルデは彼に話しかけられると軽く会釈をして、僕の後ろから隣まで来て、挨拶をしている。


「お久しぶりです、シルヴァさん。体調の方はそれなりに……」


「城で会うことがめっきり無くなってしまって……心配していたんだ。でも、そうか…それなりか、それは何よりと言っておくべきかな?それにこの感じからして、お前が拓真様の見張りなのだろう」


僕の隣に並ぶヒルデを見て、見張りだと気づいたらしい。ヒルデは少し緊張した面持ちだ。普段から感情を表に出すわけではないので、何を思っているのかわからないが、今ははっきり分かる、ヒルデは緊張している。いや、たぶん……そうだと思う。


「は、はい。私が見張りとして任命され、現在に至ります。あの頃はお世話になったきりで、ご挨拶もせず、申し訳ありませんでした」


「いいや、気にすることはない。あの時は君も忙しかったからな、仕方なかろう…。元気でいてくれればそれで良い。それはそれとして、そろそろ確認して来ようか。また、時間がある時にゆっくり話そう」


シルヴァはそう言って、二階の方へと階段をのぼって行った。それなりに年を重ねているように思うが、その足取りは軽やかだった。

一方、ヒルデはシルヴァが行ったことを確認すると、元の仕事に戻ったのか、僕の後ろ3メートルぐらいの距離まで離れて僕のことを何事も無かったかのように見張っている。切り替えが早過ぎる。

一体、ヒルデとシルヴァにどんな関係があるのだろうか、少し気になる。気になって、先ほどまで話しかけるのを怖がっていた事を忘れて、聞いていた。


「ヒルデさん、シルヴァさんとはどういった関係なんですか?」


恐る、恐る、怒らせないように…いや、この人は感情を表に出さないから怒らないのか…?まあ、用心するに越したことはない……はず。


「前にお世話になった。それだけだ」


ヒルデは顔色一つ変えずに答えていた。その回答だと何があったのか、何もわからないが短い回答。答えたくないのかもしれない。又はめんどくさいだけかもしれないが、あまりしつこく聞くのもあれなので「ふーん」と流して、それきりにすることにした。


その後のヒルデとの会話は何一つなかった。

お読み頂き、ありがとうございます。

人物が結構出てくるので、その内に人物紹介なんかも出したいなと思います。

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