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リヨク、食べる

「リヨクー、お腹空いたねー」


寝起きの頭に容赦なく降りかかる間延びした声。

僕は別に朝が弱い訳では無いけれど、望んで回らない思考を人のために使おうとは思えないタイプだ。


「はよ」


だからたった2文字とはいえ、言葉を発したことを褒めて貰いたい。


「うん。おはよー。ご飯もうすぐ出来るから顔洗ってきてね」


無言で頷きだけを返して、リビングに続きになっている洗面所で顔を洗う。

あー、うん。

若干だけど頭が冴えたように思えた。


改めましておはようございます。

僕はリヨク、朝よりも夜の方が苦手です。

具体的に言うと、眠い時は何時もの2倍面倒臭がりになります。


適当に髪を直しながら椅子に座れば、丁度良く目の前にカップが置かれた。

中身は僕好みの塩梅で入れられたコーヒー。

ちなみにミルクや砂糖入りの奴はコーヒーとは認めない系男子です。

そもそも飲み物が甘い事には何となく納得出来ないのだ。

異論は認める。


ずずずっと啜っているうちに机には未だに慣れないラインナップの食事が並ぶ。

いや、味は好きなんだ。

だけどどうにも付け合わせという印象が大きい米が主食扱いなのには違和感がある。

でも塩っけが多く感じる焼魚もこれに合わせればとてもフォークとナイフが進むし、この味噌とかいう調味料も独特の匂いは有るが汁にすると身体が温まって良い。

茹でたほうれん草がほぼそのまま出てきた時には驚いたが、大豆から作ったというこれまた塩っぽい醤油によって一つの料理として完成されている。


「いただきます」


聞きなれない祈りを捧げる遅れて机に付いた少年を見ながら、なんとなく今日の夢を思い出した。






あの時、扉を開けた先に居たこの少年はどういう訳か能力に耐性があるらしく、不可侵の力をものともせずズタボロの姿で助けを求めて来た。

聞けば突然襲われただけで身に覚えは無いと言うので仕方なく中に入れてやれば、礼だと言って鞄から出した弁当を渡され、まぁなんやかんやでそのまま彼が居候している。


良いんだ。

だってこいつのご飯美味しいし。


ちなみに彼の名前はヨル。今日で彼との生活もひと月だ。

そこで今日は今まで先延ばしにしていたこいつの身の上について知る努力をしたいと思う。


だって彼は情報屋ねか僕に常に知らないものを示してくれる続ける存在なのだ。

これはとても素敵な事だと思わないか?


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