二十五話:真実
------「ねぇ、ゼリル。」
「どうしたんだいパレット姉さん。」
「一瞬だけマリィと部屋に入ってきた男の人、恋仲と思わしき人さ、大昔にどっかで見たことない?」
「うん。俺も思った。多分アソコで見たんだよほら、≪隠し書庫≫」
「あー、アソコね…」
「どうしたの二人とも?」
アノールとゼリル、パレットは3人でお茶をしている。
そんな中、ふと出たディーの話題だった。
「いやね、あのマリィと一緒に来た男だけど、まだ私とゼリルが若くてマリィを探していたころに見たかもってね。」
「一時期、偉大な魔法使いに捜索をお願いできないかと書物をあさっていてね、その時に見た似顔絵にどこか彼は似ていたんだよ。」
そんな2人の話を聞いた後、ナタリアとアノールはすぐ様『王室図書館』その中でも王家や重役職でしか入れない≪隠し書庫≫へ足を踏み入れ、本を探し始めた。
「あー、君たちもここにたどり着いた感じ?俺もそうなんだよ。」
厳重な仕掛けのはずの≪隠し書庫≫の中には何事もないようにブラッドが居た。
大魔法使いのブラッドがそこにいることを気にも留めず、「ブラッド君も調べもの?」とアノールは聞く。
「たぶん調べることは一緒だと思うよ?ディーのことでしょ?最初から変だと思ってたんだけどさ、行きつけの居酒屋さんの話しや色々調べてたらここが一番情報がありそうでさ。そっちは?」
「私も、ディーさんを見た時からどこかで見たことがあると思ったんです。それで、今回王子のおばあさまたちの話からここへ…」
「なるほどね…そんじゃあまぁ…探しましょうか。」
3人は一週間の自由な時間全てをかけてディーと思われる者の記述を探した。
そしてついに、3人は見つけた。
似顔絵は、髭を生やしていなかったこの前のディーにソックリな少年。
その名前は…
「『ローレンス・デゥループ』?」
「名前にディーが入るね…それだけじゃわからないけど…」
「何々…『ローレンス・デゥループは幼いころから神童として城に仕える魔法使いだった。彼が一番力を入れていたのは吸血人の研究、彼がしたためた吸血人の本は数知れず、しかし彼が…』」
「まさか伝記がまだ残ってるなんてな…」
「ディー!?」3人はすぐに伝記を閉じ、戸棚へ戻す。
「そこまで俺のことが気になるとはね…俺も人気者になったものだ。だが、オイタはそこまでだ。」
「ディー…ここに書いてあることが本当なら、お前は王族を恨んでいるんじゃないのか?」
ディーは嘲笑する。
「恨んでいたら今この国は無いだろうな。」
ディーは今まで見たこともないような冷たい目で3人を見ている。
3人の背筋には冷たい汗がにじんでいた。
全員見世物小屋でのゲームを思い出し、命の危機を覚えていたのだ。
ゲームの勝利を確信していたとしても架空とはいえ迷いなく自分らを殺した人物には変わりないからだ。
「別に表に出せない歴史として葬られることにも不満は無いし、今の生活にも大いに満足している。」
「でも、僕は謝るよ。王族を代表して、すまない。先人たちが本当にすまないことをした…」
アノールは深々と頭を垂れる。
「よせよ、俺はお前ら王族に謝って欲しいわけじゃないし、王族を代表って…どれだけ傲慢なんだお前は…ただ、この話しから手を引け。そうして欲しいだけだ。わかるだろ?俺の口から直接言わないってことは知ってはいけないってことなんだよ。これ以上詮索するならお前らを消し…マリィの記憶からもお前らを抹消する…」
ディーの瞳は冷たいまま細められ、口には微笑を浮かべていた。
3人は唾を一度飲み、一目散にその場を去った。




