二十一話:本音
「あれぇ?ディー、ここどこぉ?」
今の私が舌っ足らずなことは分かってはいるのだが、頭に霧がかかったように上手く言葉が出てこない。
「見ればわかるだろ?森だ。起きたなら自分の足で歩いてくれ、いい加減疲れた…」
「んー」と、マリィは嫌々というように手を首に回し、固定するのでやれやれとため息をつく。
「ディーカッコよくなるのやら~」
マリィの発言に首をかしげるディー。
「カッコよくしろって言ったのはマリィだろ。」
「こんなはうじゃなかったのぉ~町の女のひと、みんなディーを見てたのぉ~私、やら~」
マリィは肩を揺らしてメソメソと泣き始める。
どうやら酔うと泣き上戸になるタイプらしい。
「パーティー終わったらいつものディーになるのぉ~今だけなんだからぁ~お前たちなんかに渡さないんらからなぁ~」
「はいはい。」
泣きながら、しかも酔っているがマリィに「渡さない」と言われて俺の心は満たされていた。
家へ戻って来たので、マリィをリビングのソファーに寝かせる。
マリィはスース―と寝息を立てている。
ったく…人の気も知らないで…ディーは寝ているマリィの唇をなぞる。
「むにゅ…ディーは…」起きたのかとびっくりしたが、マリィが夢うつつで俺の名を口にする。
そこまで俺のことを考えてくれているのかと思うと、それ程うれしいことは無い。
「ディーは…私のなんだよ…私が…お嫁さんに…」
そこまで言うとマリィはまた寝息を立ててしまった。
夢うつつとはいえ、マリィの言葉に心臓が一回ドクリと鳴る。
頭にまで血が上り、寝ているマリィの髪を梳く。
マリィに聞かれない今だったら言える…俺はお前の心が分かってなお起きてからでは言えない。
まだ正気の時に聞いたわけじゃないと足踏みしてしまう…男として情けない奴だ。
「…マリィ。情けない俺だが少し聞いていてくれ。今の、聞いてたぞ。言っておくが、今日イライラしたのはお前だけじゃないからな。通り過ぎる男はみんなマリィを見やがって…殴ってやろうとすら思った。だが、さっきのを聞いて俺は安心した。だから、お前も安心してくれ…俺はお前から離れない。離さない。」
ディーはそう告げるとマリィの唇にキスを落とす。
「…愛してる…マリィ。」
-----マリィはとても素敵な夢を見た。
王子の恰好をしたいつものディーが、森で眠る私にキスをする夢だ。
気だるげな王子は触れるだけの優しいキスをしてくれた。
王子はキスをした後に「愛してるマリィ。」と微笑んでくれる。
私はすぐに目覚めてディーの首に抱き着き、返事として頬にキスをした。
そんな、誰でも見るような幸せな夢だった。
翌日、目が覚めたマリィは鏡の前で叫んだ。




