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眠る姫君と古城の主  作者: 雷炎
FORGET THE PAST.TO LIVE IN THE FUTUR.
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二十話:嫉妬

マリィはいつものようにフードを被り町を歩く。

フードを被っていると悪目立ちし、コソコソと何か言われているのは知っているのだが、

今日は更に隣にイケメンが居るということで余計に目立っている。

紳士服屋に行く道の先々で2人はヒソヒソと何かを言われている。

いつものような私の事ならばいいのだが、

今日のディーが十歩に一人の割合で女性に話しかけられるのを見ると

私の事を噂しているようには見えなかった。

段々とイラついてきたマリィは突如人気のない路地裏に入りフードを取る。

「オイッ!マリィ!!」


「黙って!!」

金切り声で叫ぶマリィに黙るディー。

「ディーの隣には私が居るのに女性が話しかけてくるのは耐えられなかったの…今日だけだから…」


そうモゴモゴと告げるマリィは必至で、ディーはそれ以上は何も言えなかった。

フードを取ったマリィは再び紳士服屋までの石畳の道を歩く。

すると、周囲の視線は先ほどとは明らかに変わっていた。

ヒソヒソコソコソと話しているのは変わらないが、

内容はホゥというため息や「お似合いね」という言葉であった。


ディーの隣が私でいいと周囲に認められたのがとても嬉しく、

目的地である紳士服屋へ上機嫌で入っていった。

早速マリィはイケメンになったディーにタキシードを合わせる。

「今のディーならどんなものだって似合うけど白は駄目ね。目立ちすぎちゃう。目立ったら私にもしもがあったら庇えないと思うわ。だからといって黒だと悪目立ちするし…」

黙って服を合わせられるディーにあれでもないこれでもないと何着も服を充てるマリィ。


「このデザイン好きなんだけどフリフリが最低。私、フリルが着いたタキシード好きじゃないわ。」

悩んでいると一人の男性店員が頬を赤らめながらマリィに話しかけてくる。

「何をお探しですか?よろしければご一緒にお探しいたしましょうか?」


「イヤ、結構。俺の服を選んでくれているだけだからな。俺は彼女の選んだ服にしか興味が無い。」

私が返事をする前に今まで黙っていたディーが出張る。

ディーは何故か不機嫌のようで片手で肩を揉むような仕草をしている。

威圧された店員は少ししょげながら去って行ってしまった。

「?どうして追い返しちゃったのよ、店員さんの意見も聞きたかったのに。」


「言っただろ。マリィが選んだ服以外に興味が無いと。」

ディーはため息交じりで先ほどの言葉を繰り返した。

その言葉は今の私の心臓をギュッと掴んだように苦しくさせる。

…どうしてそんな恥ずかしいことをサラリと言うのだろうディーは…。

「あっそ」と気のないふりをして赤い顔を隠す様にまた服を選び始めた。

その後、何着か試着させたのちにマリィは藍色のノーマルなタキシードに決めた。

ゴテゴテとした装飾は無いが、決して地味というわけでもない、夜会で着ていくのにふさわしい服だ。

もちろんディーによく似合っていた。

特注でなく町で買ったんだもの、こんなものでしょ。

マリィは自分の采配に大満足していた。

日もすっかり暮れていたので、今日は外食にしようとディーが珍しいことを言う。

ディーを一刻も早く女狐共の目の届かない家へ帰りたかったが、一瞬不満げな顔をしただけですぐに笑って「もちろん。」と告げた。

ディーは慣れた様子で町の居酒屋へ入り、カウンターに座る。

私も恐る恐るディーの隣に座り周囲を見渡す。

周りには女将さん以外女性はおらず、お客さんの男の人たちも各々で楽しみこちらに気づく様子はない。

一先ずホッと胸をなでおろす。


ディーは私のために適当に飲み物と軽食を頼んでくれた。

料理は美味しいしお酒も美味しい。

皆が笑いあうこのお店の雰囲気も気に入った。

気分がふわふわとして顔に笑みがあふれる。

「お嬢ちゃんディーの恋人かい?えらい別嬪さんを捕まえたねあの男!!」

女将さんが笑って褒めてくれるので私も笑って褒め返す。

「これおばちゃんからのサービス。ちょっと度数が高いけど甘くて美味しいよ。」

ディーは今お手洗いで席をはずしているので勝手に飲んでもいいモノかどうか戸惑っていたが、

「お代は取らないから遠慮しないで。」と女将さんが言うので出されたお酒を一口飲む。

そのお酒は甘く、口の中で色々なフルーツの味が広がってとても美味しかったが、言っていた通りとても強いお酒であった。

熱かった身体が更に熱くなるのを感じて顔を手で仰ぐ。

女将さんがまた笑って何かを言っているので私も控えめに笑い返す。

ディーが歩いて来るのが見えるが、かすんで揺れている。

次第にディーは逆さになり居なくなってしまった。


気づいた時にはディーにお姫様抱っこされながら森を進んでいた。


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