表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/96

17


「 私はこのまま独身でも構わないわ! だってラファエルと離れたくないんですもの! 」


ギュッと抱き着く王女様に、蛇男が唇を噛み締めて顔を俯かせる。 この王女は一体蛇男の事をどう思っているんだろう。 男として好きなのか、家族愛でそう言っているのか。 あぁ、可哀想な蛇男。 伝えたいのに伝えられない、そして無邪気な天使に振り回される。


「 ずっと皆と、貴方の側に居たいわ…ラファエルはずっと私の事を護ってくれるでしょう? 」


「 カミーリィヤ… 」



愛おしそうに名前を呼ぶ蛇男が、本当に可哀想だと思った。 無邪気な天使はきっとこんな事を言った事すら忘れて呆気なく飛び立つと何となく想像がつく。





ーーそんな天使が掌を返したのは、翌日の事だった。





ーーーーー

ーーー



「 カミーリィヤ王女、私は貴方と結ばれるか結ばれないかは分かりません、しかし無邪気な貴女と友人になりたい 」


そう言って美しい作法で王女様の手の甲に口付けを落とす王子様は、決して目を見張るほどの美貌では無かったけれど、上品で今まで見た中で一番誠実で優しい人に見えた。


それは、王女様も同じだったのかもしれない。


「 こんな遠くまでお越しいただき、ありがとうございます。 ユリアス王子殿下 」



あの天使が縁談相手の名前を呼ぶのは初めてだったからだ。 隣に立つ蛇男の顔は見れなかった、何となくどうしても、見れなかった。



ーー男と女なんて、いつどうなるかわからない。



王女様と王子様はそれはそれは、穏やかな微笑みで向かい合い話をしている。 時に驚いたり、お腹を抱えて笑ったり、王女様は見たことないほど素直に縁談相手にあの天使の無邪気さを見せつける。 何時もの様にわがままを言わず借りて来た猫のように恥ずかしそうにお澄ましをしている。 蛇男はそれをただ黙って見つめている。 どんな思いで見つめているのか、本当は教えて欲しいけど、流石の私でも言えなかった。 だって、握りしめた拳が震えて血の気が無くなっていたから。



ほらね、無邪気な女ほど残酷に人の思いを無下にへし折る。 ニコニコ笑って何てこと無いように、その人の羽根をもぎ取って微笑むんだ。


『 次に会う日取りも取り付けたよ、姉上が初めて名前を呼んだ王子だからね 』



エドワード王子は本当に食わせ者だと思う。 隅々まで探してあの王子を連れて来たのは間違いなくこのエドワード王子だ。 蛇男の味方が私しか居ないなんて、何だか腹立たしい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ