第二話
一度ステータスを確認した後、兵士がきて王がお呼びだという事で謁見の間へ移動する事になった
「よくぞ召還に応じてくれた。感謝するぞ」
謁見の間の玉座に座る王曰く
・ここはフォルムスティアという世界にある国の一つで人間の住むギルティー王国の王城
・今この世界は魔王の手で滅亡の危機に瀕している
・各国の力自慢達が幾人も魔王の討伐に向かったが誰一人戻らない
「それ故我が国に古くから伝わる勇者召還の魔術を用いたのじゃ」
「てことは俺達がその勇者って事ですか?」
勇者召還で現れたのは自分と高倉の二人なのだから二人とも勇者なのか。そう聞いた久遠に王は困ったような顔を浮かべた
「それが伝承では勇者は一人らしいのじゃ」
「という事は私か彼のどちらかが勇者でどちらかが巻き添えになった者という事ですね」
「そうなるの」
「先ほど一度確認いただいたステータスの項目の一つに《称号》というものがあると思いますので其処をご覧下さい」
再びステータスを確認してみる意外と素早さが高かった。のだと思う(何せ比較対象がないのだから不明だ)
そして称号は・・・
「あっ!確かに《勇者》ってあります」
「私もしっかり《巻き込まれた者》とあった」
巻き込まれた者か・・・完全にこいつのとばっちりって事か・・・面倒な
「つまり・・・」
「私はこいつが此処に連れてこられた時に偶々廊下ですれ違ったから巻き添えになって連れてこられたって事?」
「そう言う事なのだろう・・・すまない」
謝罪なんかされた所で事態は変わらないんだが・・・
「まぁ私は勇者でない以上城を出させて貰うが構わんな?まさかそちらも勇者ですらない女を力自慢でさえ帰らなかったような魔王討伐に駆り出したりはしないだろ?」
「うっうむ、しかしこの件はこちらの不手際なのだ。せめてこの位はさせてくれ」
高倉は堂々と『協力拒否』と宣言したがそれに久遠が声を上げた
「おい!この世界の人達が困っているというのに助けようという気持ちはないのか!!」
「無いな」
声を荒げた久遠など一瞥もせず高倉は切って捨てた
「なっ!?」
「そもそも何故わざわざこの国のためになど戦わなければならない?この国・・・いや、この世界に何の思い入れも無ければ大切な者が居る訳でもない。寧ろ強制的に引き離した奴らの為になんか戦う気など私は一切無い」
それからもきゃんきゃん喚いていたが一切シカトし、王から幾ばくかの金の入った袋を受け取ると早々に城を後にした
「(やっぱりああいう偽善者が一番嫌いだ)早々に離れられて僥倖だな」
「?何か仰られましたか」
「いや、何でもない」
「然様ですか・・・ここからまっすぐ行って二つ目の大通りを右に曲がると冒険者ギルドや宿の並ぶ区画ですのでよろしければ一度足を運んでみては如何でしょう」
「助言感謝する」