働く潔癖勇者
「・・・どうするんだよ」
俺達は一旦店の外に出て話し合った。
「正直に話すしかないだろう」
「話して負けてくれると思うのか?」
「じゃあわたしが魔法で精神操作したら・・・」
『するな』
「え~・・・」
「何かいい案がないものか・・・」
「そうだなー・・・。武器があれば素材狩りをして売却出来るんだけどな・・・。武器がないし」
「やはり、かりるしかないか」
仮にも白騎士の第一部隊隊長が金貸屋で金をかりるとはな・・・。
想像するとすごく嫌だな~。
「じゃあわたしが店の人を篭絡するね」
『するな』
「え~・・・」
「釈然としないがやっぱりかりるしかないか」
「そうだな」
「じゃあさ、働けばいいんじゃないの?」
「・・・働く?」
「そうそう。期限は一週間なんだから働けばどうにかなるでしょ」
「しかし、一週間で割りのいい仕事そうそうないぞ」
「フッフッフ。いい店知ってますよ~♪」
「・・・・・・」
「うわぁ~似合ってますよルシさん!」
「どうして私がこんな服を着なくてはならんのだ」
「でも働くならこの服じゃないと駄目なんですよ~」
「しかしだな・・・」
「お金、ほしくないんですか?」
「・・・・・・」
「大丈夫ですよ。わたしも一緒ですから♪頑張りましょうね。メイドのルシさん」
「・・・・・・屈辱だ」
「お~着替えてきたかルシ」
「カルロ。その格好は・・・」
「ああ、これか?」
俺の格好は三角頭巾に割烹着を着衣してた。
「どうだ。似合ってるかな?」
「・・・似合いすぎだ」
「カルロさん素敵です♪」
「ワン!」
皆が俺を褒めてくれている。
「なら今後はこの姿でやっていくか!」
「いいですね♪」
「それは駄目だ」
『え~・・・』
「割烹着姿の勇者などどこにいる。それに防御性もないし使えない。お前は何がしたいんだ?」
「掃除」
「・・・・・・他には?」
「ない」
「・・・あのウィップ中々良かったな」
「すいません。冗談です」
「ルシさんこわいです~」
「まったく・・・頭が痛くなる」
「あら~皆似合うじゃない♪」
「あ!店長さん」
大柄で屈強な男が奥の部屋から出てきた。
「アンナちゃんの頼みだもの。聞かないわけにはいかないわ。・・・それに」
うっ・・・寒気が・・・。
「こんないい男を連れてきたものね♪」
ゆっくりとカルロの方へと歩み寄る。
「確か・・・カルロちゃんだったわね」
ちゃん付けはやめてほしいな。
「あ、ああ・・・」
「色々大変だけどヨロシクネ♪」
色々ってなんだ・・・。
調理と掃除以外にする事があるのか。
・・・怖いです。
「・・・・・・」
「どうかしたのルシちゃん?」
「そうだぞ。さっきから店長をじっと見つめて」
まさか惚れたのか?
こんな男というかオカマが好みだったのか。
「カルロ。今失礼な事考えただろ」
馬鹿な・・・。
読唇術が使える・・・だと!?
「まあいい。それよりも店長」
「なにかしら?」
「前に会わなかったか?」
会ったことあるのかよ・・・。
「そうかしら?」
「ああ。確かニフルの町で風呂屋を営んでいなかったか?」
「店長。そうなのですか?」
「い~え。私はずっとこの店を営んでいるわ」
「しかし、顔が瓜二つだ」
「それはそうよ。双子なんだから」
「双子?」
「そうよ。ニフルにいる方は私の弟よ♪」
「そうだったのか」
「あの子ったら鍛え抜かれた肉体を見るのが好きだったから・・・。風呂屋で夢を叶えたのね」
それって変態じゃないか!
よかった。あの時風呂屋に行かなくて・・・。
「なるほど。私も鍛錬が好きだからその気持ちはよくわかります。よかったですね」
よくねぇよ!
お前とその男まったく共感する所ないだろ!
やっぱりルシは抜けてる所があるよな・・・。
「ちなみに私はご奉仕が好きだからこのお店を営んでいるのよ。・・・特に、あなたみたいな男を・・・ね」
「・・・・・・・・・」
「おい。カルロどこに行く」
「カルロさ~ん。駄目ですよ勝手な行動したら」
「こんな所にいてたまるか!俺は宿屋に戻る!!」
俺の貞操が危ない。
「一体どうしたんだ急に、店長が何か変な事でも言ったか?」
わざと言っているのか?
それとも素か?
「大丈夫ですよ。わたしがいますから」
「・・・そうなのか?」
「はい♪優しくします」
「お前は俺に何する気だよ!?」
「ここでは言えません。キャ!」
「もうヤダ。宿屋に帰る!!」
「待てカルロ」
俺の肩を掴んだ。
「離してくれルシ!俺は自分の貞操を守りたいだけなんだ!!それに消毒もされてない手で触れられたら菌で汚れるだろ。さわるならせめて消毒するか手袋しろ」
「途中までの言葉は聞き流してやる。だが私達はやるべきことがあるだろ。我慢しろ」
「い・や・だ!!!」
「・・・仕方ない」
そっと肩から手を離す。
「・・・わかってくれたんだな」
「・・・稲妻よ目の前の敵を倒せ」
詠唱を唱え始めた。
「・・・ま、待て!」
「ライトイング。最小出力」
「!!?」
体が・・・動かない・・・!!
「これでいい。では店長。よろしくお願いする」
「おっねがいしま~す!!」
「ワン!」
「こちらこそよろしくね♪」




