戦いに飢えるおに 9
木々が吹き飛び、岩が砕け小石になり空に舞った。
大地は抉れ、雲は消し飛んだ。
そして、忘れていたものを思い出したかのように、突然と衝撃波と爆音がさらに襲った。
その周辺には何も残らなかった。
あらゆる生物が死滅しただろう。
痛みも感じずに・・・。
ローの全力は世界を崩壊させる力だと認めるほど強大だった。
本気を出せば一瞬にして大陸を、世界を破壊できる力を備えた肉体。
拳一つでこの破壊力。
それが両手なら・・・
さらに右足・・・
左足・・・
四肢すべてを使ったなら、
世界は何日で?
いや、何時間で?
・・・もしくは何分で破壊されるのだろうか・・・。
それほどに思わせるほどの一撃だった。
・・・だが・・・、
「・・・・・・リヴァ・・・」
カルロは目を疑った。
自分は夢を見ているのか?
これは現実なのか?
幻ではないのか?
そう思うのも無理もなかった。
「・・・・・・」
それがリヴァの後ろで起こった世界だったのだから。
リヴァは立っていた。
膝を着くことなく。
揺れることなく。
後ずさることなく。
その場を微動だにせずに・・・。
まるでリヴァとその地面が強力な磁石でくっついているかと思えたほど・・・。
静かに立っていた。
「おいおい。お前だけが何でいる?お前だけを抹消するために放った一撃が何で通り抜けたみたいになってるんだ?」
ローは驚いていた。
自身の放った渾身の一撃が全く効いていなかった。
手ごたえは十二分にあった。
リヴァに触れた感触もした。
なのに無傷でたたずんている。
「・・・・・・ハハ」
驚きの表情から口元が緩み頬を吊り上げていく。
「ハーハッハッハッハッハ!!!」
ローは笑い出した。
「すまなかったリヴァ!俺は勘違いをしていた。お前さんはまだこんな力を持っていたんだな!!許してくれ!!」
リヴァに謝罪をした。
それに対してリヴァは何も反応を示さなかった。
ただ、
無言で手を動かし
『かかってこい』
とアピールをした。
それを見たローはより嬉しくなりリヴァを殴りかかった。
リヴァはローの攻撃を受け続ける。
「(・・・まだ・・)」
殴られ、蹴られながらも
「(・・・まだ・・ま・・だ・・・)」
何かを狙っていた。
ローは先ほどの破壊的な攻撃はしなくなったものの、
触れれば即死亡級の威力で攻撃している。
その威力はリヴァの周りの地形にも影響していた。
「(まだ・・・たえれ・・る)」
あいつを・・・たおすには・・・まだ・・・。
痛みを堪えローの攻撃を受け続ける。
レヴィアタンの力を手に入れたリヴァはより頑強になった。
魔法も使えるようになった。
水の魔法だが、場所関係なく唱える事が出来るようになった。
・・・だが強くなったといってもリヴァは人・・・。
レヴィアタンのように強く大きく頑丈な化け物ではない。
ローの攻撃をすべて受けきることは不可能。
だけど・・・
「(でき・・る・・・やれる・・・)」
リヴァはある一つの事に賭けていた。
それは成功するかどうかもわからない。
レヴィアタンにも聞いていない。
だけど、あの時体験はした・・・。
それだけの為にリヴァは受け続ける。
受けたダメージを蓄積している。
自分の限界の更なる限界まで、肉体が耐えられなくなっても精神力・気力で受け続ける。
「オラァ!!」
また凄まじい音と衝撃波が広がる。
「どうしたリヴァ!さっきから防戦一方だな」
「・・・・・・」
「おいおい足元がふらついてるぞ。やれんのか?」
「・・・・・・」
「どうした?戦う気力もなくなったか?」
「・・・・・・」
リヴァは無言で手でアピールをした。
「・・・やるんだな?続けるんだな?」
その問いにリヴァは頷く。
「わかった。ならいくぜ!!」
ローの右の拳がリヴァの頬に直撃。
「・・・・・・う・・・」
「・・・いまなんつった?」
殴られたリヴァは
「・・・かん・・りょう・・」
リヴァは軽くローの腹を殴った。
次の瞬間
「ガハッ!!」
ローはよろめき後ずさりした。
「・・・なにをし・・・ゴフッ!?」
腹を押さえ口からは血が零れている。
リヴァはその問いに応えることなく近づき腕を掴む。
巨体のローを軽々と持ち上げ投げ飛ばす。
水辺で石跳ねをしているかのように地面触れれば跳びまた触れたら跳ぶを繰り返していく。
跳ばなくなり倒れているローの足を持ち、空に上げる。
高く高く上がり、そして、落ちていく。
落ちてきたタイミングを見計らい、殴り飛ばす事はせず、下に・・・地面へと殴りつけた。
地面には深い穴ができ、ローは埋もれた。
「・・・・・・」
リヴァは体に纏っている水の鎧を大蛇に変化させ、地中に埋まっているローに放つ。
蛇は地中に潜りしばらくしてローの右腕に噛み付いた状態で出てきた。
「やるじゃねぇか。リヴァ」
ローは噛み付いている蛇に拳を放ち引き剥がす。
だが・・・
「・・・何で消えないんだ?」
放った拳は蛇を確かに粉砕した。
しかし、粉砕し飛び散った水はすぐに集まり、腕に噛み付いた状態で再生される。
何度も何度も繰り返すが結果は変わらない。
いや、
変わってはいる。
蛇はローの攻撃を受けるたびに徐々に大きくなり、禍々しい姿に変化していく。
「・・・中々つえぇ力じゃねぇか」
ローの腕から血が滴り始めたのだ。
蛇の噛む力が強くなっていっている。
あの頑丈な体にどれほどの魔力を注いでいるのか・・・。
―――ベキ!!―――
鈍い音が響き渡った。
それは、ローの腕の骨が折れた音だった。
その折れた音の直後、蛇は噛み付いたままローを吹き飛ばした。
ローは再び跳ねながら吹っ飛んだ。
・・・右腕を捥がれたまま。
次話は来週の土曜日AM9:00頃に投稿させて頂きます。




