化物
「ここは・・・どこ・・・?」
目が覚めると真っ暗だった。
夜だと思ったが、星も月もでていなく、それよりも暗く何もない感じがした。
「私は・・・一体・・・」
寝ていた体を起こす。
「あれ・・・?」
「実感が・・・ない・・・?」
暗くて見えない性で立っているのがわからないのもあるが感触も感じ取れないでいた。
「・・・出口・・・」
リヴァは出口を探して見えない空間を歩く。
自身の足音もしない無音の空間。
静寂しきっている。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
一歩、また一歩と進むたびに前に進んでいるのかわからなくなってくる感じがした。
そして、それは徐々にリヴァの心を侵食していった。
緊張。
焦り。
不安。
恐怖。
絶望。
心は少しずつ蝕まれ・・・
「・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・!」
いつしかリヴァは走っていた。
進んでいるのかわからないこの暗い空間の中を。
ただひたすら、前へ前と・・・。
何かから逃れようとしているかのように。
「・・・光」
暗い空間の中、何かが一瞬だが光った。
リヴァはそれを頼りに走った。
侵食されていた心は徐々に落ち着きを取り戻していった。
そして、先ほど光っていた場所ら辺にたどり着く。
「・・・・・・・・・」
辺りを見渡すが先ほどの光はなく、ただ暗い空間だけがある。
「・・・見間違い・・・」
『そこにいるのは誰だ?』
「!?」
どこ・・・?
『誰だと聞いている』
どこから・・・声が・・・。
『お前の上だ』
「・・・え・・・?」
リヴァは上を見上げた。
「・・・・・・」
言葉が出なかった。
いや、言葉を思いつかなかった。
リヴァが見上げた先にいた人物・・・ではなく。
・・・いたのは、
城よりも山よりも天にまで届きそうなくらい高くて長い蛇?がリヴァを見下ろしていた。
『お前は何者だ』
蛇のような生物がリヴァに再び問いかけた。
「・・・・・・」
『どうした?吾の問いに応えられぬか?』
「・・・・・・」
『それとも声がだせぬのか?』
「・・・・・・バケモノ」
『・・・ほう。吾のことを化物と呼ぶか』
リヴァが言った化物は頭を彼女の間近まで近づいてきた。
小山くらいの大きさの頭で蒼く光る海のような目でリヴァをじっと見つめた。
「・・・・・・」
『・・・・・・ほう』
化物は呟いた。
何かをわかったかのように。
そして、再び頭を上げた。
こいつは・・・敵・・・?
『敵ではない』
「!!?」
なぜ・・・思った事が・・・
『吾はお前であり、お前は吾でもある。考えていることは筒抜けだ』
何を・・・
『何を言ってるのかわかってないようだな。』
・・・・・・。
『そう動揺するな。頭に響く。まずは落ち着くがいい』
・・・。
・・・・・・。
『落ち着いたな』
「・・・お前は・・・何者・・・」
『先も言ったはず。吾はお前でありお前は吾でもある・・・と』
「答に・・・なって・・ない」
『・・・なら返答を変えよう』
「・・・・・・」
『ここがどこかわかるか』
その問いを聞き、周りを見渡す。
左右上下、四方八方どこを見ても暗い暗い闇。
ここがどこだかわかるはずもなく首を左右に振った。
『・・・さらに聞く。お前にはどう見えている』
「・・・闇・・・」
『なるほど。・・・そうであるが違う』
「どういう・・・こと・・」
『ここは水底だ。深い深く光も届かぬ音も響かぬ水底。・・・感じぬか』
「!!」
化物に言われた瞬間リヴァの体全体に冷たい感触が一気に伝わり始めた。
そして息苦しさも。
『何をもがいている』
化物は落ち着いた口調でもがくリヴァに言った。
『お前が感じているそれは本物ではない』
リヴァはその返答を出来ないでいた。
もがき。苦しみ。助けを、酸素を求めていた。
『・・・仕方ない』
化物は再びリヴァへと顔を近づけた。
『吾の目を見よ。さすれば助かる』
その言葉を聞き、リヴァは必死に化物の蒼く光る目を見た。
「・・・・・・・・・」
「ゲホ・・・ゲホ・・・カハッ」
酸素を求め幾度も大きく息を吸い、そして吐く。
『気分はどうだ』
「・・・・・・」
無言で頷く。
化物は言う。
『ここはお前の心の中だ』
「私の・・・心?」
「そうだ」
リヴァは混乱していた。
先ほどは水底と言っていたのに
今度は今心の中にいる。
それはなぜか・・・。
そして、この化物がなぜ私の中に居るのか・・・。
「・・・・・・・・・」
『・・・混乱しているようだな』
「お前は・・・何者・・・」
『言った筈だ。吾はお前でお前は吾だと』
「違う・・・名を言え」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
『・・・いいだろう』
化物はゆっくりと自身の名を言った。
『吾の名はレヴィアタン。またはリヴァイアサンと呼ばれている』
「・・・・・・」
名前が・・・。
『そうだ。お前・・・いやリヴァ。吾はリヴァであり、リヴァは吾である』
次話は来週の土曜日AM9:00頃に投稿させて頂きます。
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