おにと呼んでくれ
「・・・・・・・・・んぁ?」
「おはよう」
目を開けるとシシスが笑顔で覗き込んでいた。
「ファ~・・・ア・・・っと」
寝ていた体を起こし軽く体を動かす。
「目は覚めたかな?」
「ああ。ばっちりだ。どれくらい寝てたんだ?」
「そうだね・・・。あの太陽があっちにあった時くらいだね」
「なんだ。あんま寝てないのか」
男は硬くなった体をほぐしている。
「かな。一周した位だからあまり寝てないね」
「ファ~・・・あっと。最近寝れてないんだよなぁ~。それよりも、俺の部下はどこ行った?」
「それなら先に向かわせたよ。今頃は始まってるんじゃないかな?」
「おいおい。俺より先に楽しむなんてずるいぞ」
「なら速く行きなよ。君ならすぐに追いつくでしょ?」
「そりゃそうだな。お前はどうするんだよ?乗ってくか?」
「いや僕はゆっくり行かせてもらうよ」
「そっか。なら先行って待ってるぜ」
「はいはい」
男はしゃがみ込み、力一杯大地を蹴り上げ飛んでいった。
蹴られた大地は隕石が落ちたかのように小さなクレーターが出来ていた。
「相変わらずの力だね」
シシスは飛んでいった男の方向を眺めゆっくりと歩いて行った。
「押せーーー!!!」
ゼルの合図で兵達は構えていた盾に押し寄せていた魔物共を一斉に押し返し。
「刺せーーー!!!」
バランスを崩した魔物に槍を突き刺し。
「構えーーー!!!」
守りの陣形に戻る。
この繰り返しで情報にあった魔物の大軍を次々と倒していっている。
「へぇ~結構いい感じだね・・・よっと」
「珍しいな。お前が褒めるのは」
「そっかぁ?まぁいいと思うぜあのやり方は。シンプルで的確。効率良く敵を倒し仲間の負傷を出さない。連携がしっかりしてないと出来ない事だけど、出来たら結果を出せる」
「ほう。しっかりと見るべき所は見ているのだな」
「自分の性格上、仕方ないんだよ。見たくなくても見てしまうからな・・・」
別の所から戦闘を眺めているカルロとルシだが、二人も戦闘中であった。
互いに背を預け、囲んでいる魔物を倒していく。
だが、
「おいルシ。俺の背中に今触れただろ!!」
「仕方ないだろ」
「仕方ないじゃない!汚れるだろ!」
ルシが自身の背中に触れるのを嫌うカルロ。
「もっとうまく立ち向かえば余裕だろ」
「お前と一緒にするな。こちらも可能な限りしているが、動ける範囲が狭いんだ。我慢しろ」
「5回だぞ。お前が触れてきているのは。もう我慢できないんだ」
「ならこの囲いをさっさと切り抜ければいいだろ」
「こんな奴等に俺の本気を使って汗をかきたくない」
「かいたことないだろうが。いいから早く一掃してくれ。お前もこの状況は嫌だろ」
「・・・・・・わかったよ。ルシ。少しだけこいつらの動きを止めてくれ」
「わかった」
ルシは剣に雷を纏わせる魔法を唱え魔物を斬りつける。
「ウガッ!?」
斬られた魔物から近くにいた魔物達へと電撃が走っていき、瞬く間にすべての魔物が感電し動けなくなった。
「ナイス~♪」
上機嫌で言ったカルロは剣を地面に刺した。
「水よ不純な物質を俺の前から消し去れ」
すると、地面が膨張して膨らんだ。
土の中にある水分を膨張させた。
水分で膨張した地面は逃げ場を失い勢よく水を飛び出していく。
飛び出している水は一つとなって大きな大蛇と姿を変え、魔物を飲み込んでいった。
「うむ。綺麗になったな」
剣を抜き土がついた所を念入りに手入れをする。
二人を囲んでいた魔物は大蛇によって一瞬で飲み込まれ地面の中へと消えていった。
「まったくもっと早くそれをやっていればいいものを・・・」
「そうブツブツ言うなよ。皺が増える・・・すみません。何でもないです」
カルロの喉元に突きたてていた剣を収める。
「私達も加勢に行くぞ」
「へ~い・・・ルシ!!衝撃に備えろ!」
「!!」
カルロの言葉通りに魔法で障壁を張った。
その瞬間、空から何かが落ち、辺りに衝撃波が生じた。
「・・・隊長・・・怪我・・してな・・・い?」
「ああ。リヴァよ。助かった」
大きな円形の盾でゼルを守っていた。
「・・・よかった」
「部下はどうなったんだ」
リヴァは無言で指を示した。
「・・・・・・馬鹿な・・・」
先ほどの衝撃波によって部下は全員吹き飛ばされて倒れていた。
「息は・・・ある・・・」
「敵はどうなんだ」
「おな・・・じ・・・」
魔物も吹き飛ばされ動けないでいた。
「へぇ~・・・嬉しいねぇ~・・・」
煙の中に何者かがいる。
ゼルとリヴァは身構える。
「まだ立っていられる人間に出会えるとはね」
煙の中からオークが現れた。
「オーガか・・・」
ジルの呟き声がオーガの耳に入った。
「おいおい。そんな言い方はないだろ?」
意外にもそのオーガはいきなり襲って来なかった。
「俺はオーガって言葉が嫌いなんだよ。出来れば訂正してほしいな」
「・・・では、どう呼べばいい」
「そうだな・・・確か、遠くの国では俺たちと似ているやからを『おに』って呼んでいるって聞いたからな。今度からはそう呼んでくれ」
「おによ・・・この町への進行は許さん」
「ちょっと待った。おにって呼んでくれて嬉しいが、一纏めされたみたいでちょいっと感じが悪い。俺の名前を呼んでくれ」
「貴様の名前は知らん」
「あ?・・・・・・あ~そうだったな。じゃあ自己紹介だ。俺の名前はローだ。この軍勢の親玉ってところだ。皆伸びちまっているがな」
「ローよ。私の名はゼル。白騎士第六部隊隊長だ」
「副・・・隊長・・・・・リヴァ」
「なるほど。ゼルにリヴァね。覚えておくわ」
「ローよ。この町にお前を入れるわけにはいかん」
「あ~侵攻はどうでもいいんだよ。ってか如何でも良くなった」
ローは嬉しそうに侵攻をしないことを断言した。
「・・・だってよ・・・。久しぶりに丈夫な人間に出会えたんだ。最近体が鈍ってたからな。・・・なぁあんたたちは簡単に壊れないよな?」




