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・・・勇者なのにそんなんでいいのか、お前は・・・

「・・・・・・」


室内が静まり返る。


・・・すげー殺気だな。


甲冑の隙間から微かに見えるリヴァの赤い瞳が俺を睨み付けている。


これは生半可な勝負じゃないな・・・。


俺を殺しにきている。


「・・・どうした」


ボソリとリヴァは言った。


「何でお前と勝負しないといけないんだ?」


「私は、お前を、勇者だと・・・認めて、ない」


「それならそれでいいよ。俺を勇者じゃないと思ってくれても別に腹が立つことないしな」


「私が・・・怖い、のか」


「そうだね。そんな殺気だされてちゃ怖くておちおち掃除や手入れが出来ないな」


「・・・なめて、いるのか」


「なめてなんかない。大真面目だ」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


再び沈黙が訪れる。


先ほどよりも重く冷たく感じる。


リヴァは今にでも戦闘を始める気でいる。


「リヴァ。止めるんだ」


「・・・・・・」


沈黙を破ったのはルシだった。


「先ほどから黙って聞いていたが、一体何がしたいのだ」


「こいつ、と・・・勝負が・・・したい、だけ」


リヴァはルシの顔を見て言った。


「なぜ勝負をしたがる。理由を言うんだ」


「・・・・・・理由」


「そうだ。明確な理由がなければ勝負はさせない」


「おい!俺は勝負はしたくないぞ!!」


「お前は黙っていろ。話が進まなくなる」


「うわぁ・・・すっげ~理不尽・・・」


カルロの言葉を無視してリヴァに話しかける。


「で?どうなんだ。何かあるのか?」


「・・・・・・」


リヴァは黙ってルシを指差した。


「私に何かあるのか?」


ルシはそう言いカルロの方を見た。


だが、カルロも理解していなく両手を挙げ首を傾げた。


「リヴァ。どういう意味か説明してくれないか」


その問いにリヴァはゆっくりと話し始めた。


「私は、ルシ、様が勇・・・者に相応しい。い・・つも見て、いたから。ルシ様の、戦い・・・を」


ルシの顔を見ながら言っていたがカルロの方を向き。


「だけ、ど・・・お前、が勇、者・・・みとめ・・・ない。だから、勝・・・負する」


戦闘態勢に入るリヴァ。


「リヴァ。止めるんだ」


再びルシが止めに入る。


「お前が私を慕ってくれていたのは素直に嬉しいし、勇者に相応しいと感じてくれていた気持ちも感謝する。だがな、私はカルロに負けたんだ。カルロは私よりもずっと強い。いつもは掃除掃除掃除ばっかをしているし、それ以外の面倒な事はしたがらないがいざという時やり遂げる。そんな男だ。もし勝負する事になったとしてもリヴァが勝つ事はないぞ。負けた私が言うんだ。・・・それでもするのか?」


「・・・・・・・・・・・・」


ルシの言葉を聞き暫く黙り込んだリヴァ。


「(お~ルシも偶には言い事言ってくれるな。これで面倒な事から逃れられる)」


呑気そう思っていたカルロだったが。


「・・・・・・・・・する」


「・・・・・・え?」


何か今聞きたくない言葉が聞こえたような気がするんだけどな・・・。


「私は、自身で、感じ・・・とらないと・・気が・・・すま、ない」


・・・え~・・・。


何これ?超面倒なんだけど。


これってあれだよな・・・。


勝負しないと引き下がらないって事だよな・・・。


カルロはルシの方をチラリと見る。


「・・・・・・」


ルシは本を読んでいた。


あいつ!!逃げやがった!!


もう少し手助けしてくれてもいいだろうが!!


「勝負」


「ぐ・・・ぬぬぬ・・・」


やばい。


勝負なんてしたら折角綺麗にした武器防具をもう一度最初から手入れしないといけなくなる。


いくら掃除が好きな俺でも同じ事を二度するのはあまり乗り気じゃないんだよ。


ましてや睡眠時間が減る。


減ると肌が荒れてそのケアもしないといけなくなる!!


何か言い逃れが出来る方法を・・・。


・・・・・・・・・。


・・・・・・。


・・・。


!!?


「早く・・・しろ・・・」


「・・・・・・わかった」


カルロは閉ざしていた口を開き返事をした。


「カルロ。いいのか?」


カルロの思いがけない返答にルシは驚いた。


「ああ。ここまで言われたら仕方ないな」


「なら・・・場所、移す」


リヴァは部屋を出ようとした時。


「だけどいいのか?」


カルロは問いかけた。


「・・・・・・何、が」


ドアノブに触れていた手を離した。


「確か君は昼にも俺に勝負を挑もうとした時があったよね」


「・・・・・・それが・・・」


「あの時は隊長に止められたからしなかった。そうだよね?」


「・・・そう、だ」


「ふむふむ。なるほど」


一人で納得したかのように頷くカルロ。


「何・・・が、いい、たい」


「いやね。俺と君が勝負した事を知ったら隊長はどう思うのかなぁ~って思ってさ」


「・・・・・・」


その言葉を聞いて微かだがリヴァの鎧が不自然に動いた。


「君は隊長の言う事には素直に聞いてるから慕ってるんだよね。そんな君が隊長の言葉を無視したらきっと悲しむだろうなぁ~」


「・・・・・・・・・」


鎧が揺れて音が鳴る。


「信頼している君に裏切られた隊長。どんな罰を言いつけるのか。・・・もしかしたら除隊させられるかもな・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


音が激しくなった。


「まぁそんな事になってもいいなら全力でお相手しましょう」


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・どうする?」


勇者とは到底思えない満面のゲスイ笑顔をリヴァに向ける。


「・・・きょ・・・今日は・・・やめて、おく」


小声でしどろもどろと言うリヴァは動揺を隠しきれていなかった。


「そうだな。懸命な判断だ」


「だ・・・だから、隊長には・・・言わない・・・で・・・」


「それが人にお願いする言葉かな?」


「・・・・・・言わないで・・・・・下さい・・・お願い・・・しま、す・・・」


「よく出来ました。今日の所は忘れてあげるよ。早く自室に戻ってお休み♪」


「・・・・・・・・・」


リヴァは足早に部屋を去って行った。


「・・・・・・」


「あ~助かった・・・」


リヴァが去って一安心するカルロ。


「いや~思いのほか効き目が抜群でよかったよかった~」


「・・・カルロ」


「ん?どうした?」


「鎧の音で判りにくかったが、リヴァ泣いていたぞ」


「・・・・・・え?」


「・・・明日謝り行くんだな」


「・・・・・・はい・・・」


「それと後一つ」


「・・・何だよ・・・」


「お前は最低な勇者だな」


「・・・・・・」


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