第15章 リークの覚醒
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頭には山羊のような強靭な角を持ち、口には山羊には絶対に生えないであろう鋭利な牙。
上半身は人型で肩や腕などが堅牢な筋肉で盛り上がっていた。
下半身に目を移すと、上とは対称的にあまり筋肉は付いていないが、角と同じく山羊のような蹄が生え、赤黒い毛に包まれていた。
体長はゆうに10メートルは越えているだろう。
「あれが......小型!?」
アルベルトの要請を受けて駆けつけたのだが、魔神の恐ろしさはリークの予想を遥かに上回っていた。
悪魔の様な巨体が一度叫ぶと、魔神のまわりに数個の魔法陣が展開し、黒い雷が放たれる。
黒い雷が当たった建物はひとたまりもなく粉砕し、原型をとどめない。
魔神が街を襲い始めてしばらく経っていたため、その被害は甚大だった。
魔神が通った道のりは荒野の様に荒れ果て、かつてそこに街があったのかと想像するのと難しい。
「あ、あれ、どつやって倒すんですか?」
目の前でこうも破壊行動をし続ける魔神に、完全に圧倒される。
「うむ。まず術師が高等魔法で動きを牽制しつつ、弓や剣士が攻撃を加える。今回リークには剣士をやってもらう」
見ればアリアの顔も少し恐怖に......?
今何て言った?
剣士?ってことは......
あぁ~!!俺の、魔法で遠くからちょくちょく攻撃する作戦がぁ~。おもいっきり肉弾戦じゃねぇか。
「おい、顔が死んでいるぞ?ほれ、姫様からの贈り物だ」
「こ、これは!?」
アリアがリークに差し出したのは、それは美しい両刃剣だった。
剣自体が流水のように滑らかな水色で、一点の曇りも無かった。
柄の部分にも同じ色の見事に精緻なドラゴンが彫られており、目の部分には何かルビーの様な紅い宝石が埋め込まれていた。
剣を持った瞬間剣が金色の光りを帯び、リークの体内に暖かいエネルギーのようなものが送られる。
「魔法によって鍛えられた魔剣だ。国でも優秀な鍛冶がつくった最高傑作だ。姫様の思い、汲み取ってやれよ?」
剣から伝わってくるエネルギーは、リークに自信と希望を与えた。
「はい!!」
いっそう強く剣を握ると、金色の光りがそれに応えるかの様に爛々と光った。
おかしい、何かがおかしい。
いや、これは単なるリークの夢想に過ぎないかもしれない。
「おりゃゃゃ~!!」
思い切り振り払った剣が魔神の爪と重なり、激しく火花が散る。
続けて襲ってきた噛みつきをしゃがんで避けると、バックステップして一端距離を取る。
魔神との闘いはまさしく激闘と呼ばれるものだったが、リークはその小さな異変に気付いていた。
使ってこない?
あの、必殺魔法で魔神の最大の特徴であるはずの暗黒魔素を。
使おうと思えばいつでも使えたはずだ。
それによって大きな被害が出ることも予想される。
なのに、なぜ?
考えろ。何かつじつまがある答えがあるはずだ。
ーアトラスの隣国であるアルベルトに魔神が襲来。
ー暗黒魔素を連発し、アトラスに救援を要請。
ーアトラスから強力な戦士が応援。
ー魔神がわざと闘いを長引かせ、リーク達を足止め。
ーその間に手薄なアトラスに魔神が襲来したとすれば......
「こ、これはマジでやばいことになるかもっ!!」
リークは無理矢理魔神の攻撃を弾くと、弓で応戦していたアリアの元に走る。
「アリアさん!!」




