第9章 剣術?魔法はダメなの?
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決闘の宣言を受けた翌日、リークとアリアは再び門の前にした。
門を潜ると現実世界では見たこともない綺麗な花や、精緻な彫刻の施された噴水などが見受けられたが、昨日と同様に景観を楽しむ余裕はまったく無かった。
今日はここへ来て二度目の決闘をする。
三日で二回とは、この世界の戦闘狂ぶりが窺われる。
リークは昨日の宣告から幾度となく土下座をし決闘の中止を申し立てたが、最後はギルドのためにと押しきられてしまう。
よくよく考えるとギルドに入っていたなぁと気づいてからは、何ですんなり返事をしたんだ、俺のバカとまた幾度となく自らを卑下した。
今日になってようやく現実を認めてからは、大人しくファンベルトの情報を集めることにした。
集会所や街で聞くところによると、“アトラス一の筋肉男”“決闘では負けなし”等々リークを震えあがらせるには十分すぎるほどの情報が集まってしまった。
決闘に関して無知なリークが立てる作戦は、とりあえず自分の周りにウィンデル・ガードを展開させて、その後は成り行きでやられるというものだ。
アリアには悪いが、もともと勝ち目のない闘いだ。
例えリークがボロ負けしても責めることはないだろう。
「そういえばどういう作戦なんだ?」
門から決闘場まではかなりの距離があるため、先ほどから無言でアリアの後ろをついていたのだが、綺麗なガーデニングにも飽きたようで、振り返って尋ねてくる。
たった今その事について考えていたところだったので、心の内がバレたかと思ったが幸いそうでもなかったので、自分の考えた魔法防御作戦を披露する。
「......という作戦なんですが」
「......」
な、なんだこの沈黙は。アリアはそれまで軽やかに進めていた歩みを止め、茫然とこちらを見る。
「じょ、冗談だよな?」
「いえ、本気ですよ?」
さらにアリアは数回瞬きをしたが、やがてこれまでの比ではないほど肩を落とす。
「しょ、しょうがないな、うん、しょうがない」
どうしたんだ?何か笑ってるし。あ、よだれまで垂れてる。え、何か変なことでも言いました?
「リーク、よくよく聞いてくれ!!」
「は、はい!?」
リークの両肩に手を置き、アリアの落胆の原因を口にする。
「正式な決闘では魔法が使えない」
「??ワンモアプリーズ」
「正式な決闘では魔法がつ・か・え・な・い」
ええぇ~!ま、マジか。お、俺の最強防御作戦が!!
あぁ、神様!仏様!アリアぁ!!
【リークに死亡フラグが立ちました!!】
鳴りやまぬ歓声、高まる鼓動。
リークは決闘場の中にいた。
360度を観客席に囲まれ、いわゆるドーナツ型のコロシアムですでに席はすべて埋まっていた。
ここに来て、王様の狙いが少しわかったような気がする。
恐らくリークとファンベルトの決闘を出汁にしてイベントを開き、儲かろうという魂胆だ。
自分で言うのも何だが、大蛇を一撃で倒したというリークとアトラス最強といわれるファンベルトとの一騎討ちとなれば、興味が湧くのも自然の理であろう。
元に万単位で入るであろう観客席は満席だ。
そして目の前で佇む大男、ファンベルトは2メートルはあろうかという巨剣をつまようじの如く振り回していた。
一方リークも、ファンベルト比べればおもちゃ程度の両手剣を震える手で支えていた。
ファンベルトの顔に浮かぶのは嘲笑。ある意味当たり前かもしれない。目の前の決闘相手がもやし男なのだから。
「手加減頼めますかね?」
「ふん、せえぜえしなないようにがんばれや」
あ、こいつ絶対俺殺す。や、やばい。漏れたかも。
「さあさあ、皆様お待たせしました。今日の一大イベント、大蛇を一撃で倒したと言われている規格外の放浪者リークVSアトラス最強と揶揄されている王家軍事部長ファンベルトの一騎討ちが始まります。ルールは簡単。どちらかが魔癒院で回復できるまで闘い続け、魔法以外ならなんでもありです」
準備はいいですか?という確認アナウンスが流れ、ファンベルトがうむと頷く。
リークも動こうとしない首を無理やり動かし、ようやくこくりと頷く。
コロシアム中が異様な静けさに包まれる。
観客の呼吸まで聞こえたように錯覚した。
「では......決闘開始!!」
次回決闘です!!