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桜色のコンタクト

僕は今日盲目の少女に出会った。

僕は彼女をめにしたとたん自らの目を疑った。

彼女の瞳は見ることが出来なかったけど、僕は彼女に言葉を目を何もかも奪われてしまった。

バスが来た…彼女もバスを待っているようだ、それはそうだバス停に居るのだから、バスに乗るためにまっているのだし、あのバスに彼女も乗るかも知れない…そう思ったら僕は彼女に話し掛けていた。

「あの、バス来ましたよ…何処行きのバスに乗るんですか?」

「え?はい、麻緋ヶ丘公園迄です」

それが、『彼女との最初の出会いだった。』


彼女は僕の質問に答えてくれた。そう、確かに彼女は僕に麻緋ヶ丘公園迄と答えてくれた。

「そうですか、それじゃあ僕と同じで、あのバスに乗るんですね」

「そうなんですか?うふふそれは素敵な偶然ですね」一瞬僕は自分の心臓が止まっているのではないかという錯覚陥ってしまった。

盲目であろう彼女が僕に向けた笑顔と声…その他全ての動作を見ているだけでも僕の心の臓を止めるには、十分すぎた。(まぁ、止まってはいないのだが)

そう…彼女の全ては僕にとって魅力的すぎた。

「そっ、そうですね。こんな偶然もたまには良いかも知れませんね。貴女のような綺麗な人と巡り合えるなんて…」

我ながらとんでもない事を言ってしまった、でも彼女は僕にこう返してくれた

「ウフフ、お上手ですね。私も貴女のような素敵な人に会えるなんて、思ってませんでした」

不意打ちだった、その言葉は僕の心に止めをさした。完全に一目惚れだ…。僕は、そう、確信した。

「そっ、そんな…僕なんて全然…貴女こそお上手ですよ、それより公園には何をなさいに?」バスに乗り込みながら、僕は照れ臭さを隠すための意味もこめて質問してみた。

「そうですね…バスに乗って行くのは変かも知れませんが、お散歩です。そういう、貴方は何をなさりに行くんですか?」

彼女は不意にそんなことを尋ねてきた、僕は少し焦ったが彼女の問いにたいして答えることにした。

「僕は絵を描きに……これでも画家なんですよ、あそこの景色は日に日に変わって1日として同じじゃない…、そんな景色がとてもいとおしい、と言っても景色が毎日変わっていくのは、あそこだけじゃないんですけどね。でも、世界の広さを知らない僕には特別な場所なんですか。だから、そんな景色を絵として残したい、そんなところです」

彼女はそんな僕の返答に少し驚いたみたいだ、少しだけ驚いた後に嬉しそうに答えた。

「私もあの公園が好きなんです。あそこは季節によって色んな音を聞かせてくれるので…、好きな場所が同じなんて素敵なことだと思いません?」

そんな彼女の返答にまた心臓が止まるんじゃないかと思ってしまった、それでも今度はあまり焦らずに彼女の問に答えることが出来た。

「そうですね…、僕もそういう偶然は好きですね」

『次は麻緋ヶ丘公園前、麻緋ヶ丘公園前』とアナウンスが流れた、彼女と話していたからだろうか、いつもより早く着いたように思えた。

「着きますね…。良かったら公園を一緒に歩きませんか?あっ、良かったらでいいので良かったらで…」

自分の言ったことにすごくドキドキした、もちろん断られたらどうしようという不安からだ。だけど彼女から返ってきた返答はそんな僕の不安を杞憂に終わらせてくれた。

「もちろん、良いですよ。1人でお散歩するよりずっと楽しそうですもの」

「本当ですか!?断られたらどうしようとか思ってたので、凄く嬉しいです!……すっ、すいませいません…1人で舞い上がってしまって……」

僕は嬉しさのあまりに、ついはしゃぎ過ぎてしまった、彼女はそんな僕を見てクスクス笑っていた。……かなり恥ずかしい。

「クスクス、そんな素敵なことをお断わりする訳ないじゃないですか」彼女がそう言い切った直後にバスは停車した。その後僕と彼女はバスを下り公園向かった。

「ウフフ、相変わらずここは賑やかですね」

「…………」

「ん?どうしました?さっきから黙っていますけど…やっぱり私なんかと話していても退屈ですよね……」「いっ、いえ!?違うんです!!僕、女性とこんなふうにするの、その…初めてで何を話していいか分からなくて……」

僕はそんな女性経験なさを暴露してどうするつもりなんだと、自問自答してみても話題なんて一つも浮かぶ訳もなく……だが彼女はそんな僕に優しく言ってくれた。

「お気になさらないで下さい。その、私もこうやって男の人とお話するのは、父以外初めてなので…。その何と言いますか、あれです!私は、こうやって話をしているだけでも楽しくて、嬉しいんです!」

そっ、そうか、彼女も異性と話すのは、初めてなんだと僕は公園に来ていた他の男性陣に対して少しだけ優越感に浸っていた。

「こうやって出会ったのも何かの縁です。貴方に私の大切な所…見てほしいです」彼女が何を言ってるのか、一瞬僕は理解できなかった。おそらく彼女の言葉によって思考が麻痺していたのだろう。そして、その麻痺した思考である一つの結論に達した。

「えっ!?ぃや、その……僕なんかで良いんですか」

「はい、貴方になら見てもらいたいと思うので」

「えっと、それには、心の準備が必要と言いますか…ゴニョゴニョ」

「さぁ、こちらです。着いてきてくださいね」

僕は彼女の「着いてきてくださいね」と言われて、頭に「?」のマークをあげた。そこで、要約自分がとんでもない勘違いをしているのに気付いた。

その勘違いに気付いた途端顔から瞬間湯沸器のように湯気を出す勢いで赤面した。

「どうかしましたか?」

不意に彼女から慌てながら「何でもないです」「さぁ、行きましょう」と受け答えをした。

そんなやりとりをした後に僕は、彼女が案内してくれると言った、彼女の大切な所へ向って、公園の奥にある林へ歩きだした。


しばらく林の中を歩いているとだんだん林が開けてきた。

そして、林を抜けたその先の光景を目にした。

「……凄い。麻緋ヶ丘公園の奥にこんな…こんな綺麗な場所があるなんて……」僕が林を抜け、目にした光景は、これまで絵の作品でしか見たことの無い、とても神秘的な大きな桜の木だった。

「ふふっ、気に入って頂けましたか?私はここの景色を見ることは出来ませんがこの桜の匂いと雰囲気が好きなんです」

「雰囲気?………確かに、この桜は何か……こう、人を引き付ける不思議な感じがします」

そう、そこには人の心を掴んで離さない確かなものがあった。そして、その桜の木をバックに名前も知らない彼女を描きたい衝動に駆られた。

ん?名前……何だろう…、名前という単語について何か引っ掛かるものがあるような……。

でも今の僕にはそんな疑問は小さなものに過ぎない。そう、僕にとって今重要なのは、彼女とそのバックにある桜を描きたいという自分の衝動の方だ。

だから僕は……。

「あの、変なこと言うかもしれませんけど、絵を……貴女の絵を描かせてくれませんか?」

自分の持っていたスケッチブックを強く握りながら自分の衝動に素直になってみた。

「えっ?私を…ですか?」彼女は、少し困った顔をしていたけど、僕はもう引き返すことが出来ない。

「はい、描かせてください。僕は、ここにいる貴女を描かなければ、きっと、後悔してしまう。だから…描かせてください」

彼女は少しの間、沈黙してから口を開いた。

「……はい。描いてください……。あっ、でもヌードは流石に勘弁してくださいね、やっぱり恥ずかしいので」

………彼女は何を言っているのだろうか?

僕は、彼女の言っていることが一瞬分からなかった。たが一泊置いて、彼女の言っていることを理解した。「なっ!?何を言ってるんですか!そんな、ヌッ、ヌードなんて描く訳無いじゃないですか!」

僕は顔を朱に染めながら、必死に否定した。

「ふふっ、冗談です。そんなに慌てた声をだしてどうしたんですか?」

彼女は悪戯っぽいえみをしながらそう、言ってきた。「冗談?…そうか、冗談か…冗談……って、からかわないでください!」

「ごめんなさい。でも、『絵を描かせてください』なんて言われたのは、初めてなので、つい照れ隠しで冗談を……」

とたんに彼女の顔は真っ赤に染まっていった。

お互いしばらく顔を真っ赤にしながら黙り混んでいた。僕はその空気に耐え切れずに彼女に「絵を描いていいですか?」と尋ね、彼女はコクンと無言でうなずいた。

そして、僕は彼女をスケッチブックに描き始めた。

最初はただ無言で描いていたけど、僕も彼女も次第に落ち着きを取り戻し、途中からは会話を交え描きすすめていき、描き終えた頃には、気付いたら辺りは夕焼けの朱色に染まっていた。「すいません。僕のわがままで描かせてもらったのに、こんな時間まで付き合って貰っちゃって……」

「いえ、構いませんよ。私も貴方とお話していて楽しかったですし」

僕たちは、そんな他愛もない話をしながらまた一緒のバスに乗り、今日出会ったバス停に戻ってきた。

「今日は本当にありがとうございました。出来れば、また貴女を描かせてもらいたいです」

「構いませんよ、私も貴方とはまたお話したいですから。……そう言えば、まだ貴方のお名前を訊いていませんでした」

彼女のその言葉に昼間、思った疑問の問がようやくわかった。

そういば、僕も彼女の名前を訊いていなかった。

「そう言えば、そうですね。それでは改めて、僕は桜庭 春都。春の都と書いて春都と言います。貴女は?」

「はい、私は桜木 春香。春の香りと書いて春香です。苗字と名前、どちらも桜と春という字が同なんて、運命的な何かを感じますね?」

顔少し赤らめた彼女が言った言葉は、またしても僕の心臓を鷲掴んだ。

そして、お互い少しの間、無言になって呼吸を整えてから、同じタイミングで同じ事を言った。

「また明日あの桜の場所で…」お互い少し驚いたかおをしてから笑顔になってから、「また明日あの場所で」と言ってお互いの帰路を辿った。

それが、『僕と彼女の最初の出会いだった。』


「春香さん、何かいい事でもあったんですか?」

「えっ?」

「あらあら、春香さんったら口元が緩んでいますよ。春香さん、何かいい事でもあったんですか?」 私はとっさに自分の口元に手をやった。

「自分では気付かないなんて、よっぽどいい事があったんですね」

お母さんが言った通り私の口元は緩んでいたみたいだった。

きっと、彼とのやりとりの余韻に無意識に浸っていたんだと思う。

…今日は久しぶりに楽しい1日でした。彼は…彼は初対面の私の絵を描いていて楽しいと思ってくれていたのかなと、少しだけ…ほん少しだけ、そんな事を考えている自分に驚いていた。「春香さん、良かったら今日何があったのかお話を聞かせてもらえるかしら?」 無言のまま今日の事を考えていたら、お母さんが興味を持ってしまったみたいだった。

「えっと、お父さんには内緒にしてくれるなら…その、話しても大丈夫」

私は消え入りそうな声で今日彼と会った事を話そうとしていた。

「あら、本当にいいんですか?なら遠慮せずに聞けますね」

お母さんが少し驚いていた。私だってそうだ、自分からそんな事を話そうとするなんて、生まれて初めてだ。

「お母さん、あのね今日私……」

彼女は何をしているのだろうか…。不意にそう思ってしまった。

考えると自分の作品に集中する事が出来なくなってしまっていた。

「ふぅ、詣ったな…今日はもう少し描けると思ったんだけどな…。まぁ、しょうがない…今日は詰めにしようかな」

僕は自分のアトリエに鍵をかけて母家に戻る事にした。

「お帰りなさいませ、春都様」「鈴璃さん、ただいま」

彼女は、東谷 鈴璃さん。学者である父とピアニストである母が、僕の身の回りの世話をさせる為に雇ったメイドさんである。僕が画家として絵だけ描いていられるのは、全て鈴璃さんのおかげと言ってもいいくらいだ。

因みに年齢は僕より2つ上の24歳だ。

「春都様、お食事がまだでしたらご用意致しますが、いかがなさいますか」

「それじゃあ、お願いしますね。とりあえず僕は先に着替えて来ますね」

そう言って、僕は二階にある自分の部屋に向かった。

着替えている途中に何度か今日会った事を思い返していた。

「春香さん…奇麗だったな。明日……また明日あの場所で会えるといいな」

そんな事を考えながら着替えを終わらせ、食事をとるため一階の食堂に向かった。

「春都様、申し訳ありませんが、もうしばらくお待ちして貰ってもよろしいでしょうか」

「別に気にしなくてもいいよ鈴璃さん。八重もまだかえって来ていない事だし。なんなら、僕も手伝いますし」

何時もだったら八重がお腹を空かせる時間帯だが、最近は高校生活最後の部活動に力を出しているのか、家に帰る時間が遅くなっているので食事の準備が多少おそくなっても問題はない。「そうですか、ではせっかくですし一緒に作りましょうか。何かいい事があったようですし、その事を聞きながらでも」うっ……鈴璃さんは、相変わらず鋭いな…まぁ、確かにいい事はあったけど…なんで分かるんだろう?

その後、僕は八重が帰って来るまで今日あった出来事を鈴璃さんに話し続けた。

どうも今回初めて投稿させてもらいました。

お見苦しい部分があれば何かアドバイスを下さい、出来る範囲で直して行きたいと思います。

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