【あとがき】第一章 プロットが整えば運命も整う!③みるみるミーミル!
本編「オレ、オーディンになったらしい。〜ラグナロク不可避⁈ もうすぐフェンリルに食われることになってるんだがどうすりゃ回避できるんだ?〜」(N7288LN)の各エピソードで使用したネタとその解釈なんかを書いています。
まずは本編をお読みください。
■ミーミルについて
先に今回のツッコミどころ。
「生首ミーミルはミーミルの泉にいない」
これはどういうことかと言いますと、まずミーミルというのは知の巨人で、ミーミルの泉のほとりに住んでいました。ところがアース神族とヴァン神族との間で戦争が起こり(この戦争には原典上名前が付いていないので、便宜上『アース=ヴァン戦争』と呼んでいきます)、戦後の人質としてヘーニルと主にヴァン神族へ渡されました。ヘーニルについてはいずれ。ともかくミーミルはヴァン神族へ渡されたのですが、ヴァン神族はミーミルをお気に召さなかった模様。斬首されて生首だけアースガルズへ返品されました。この生首をオーディンはめっちゃ治療して、一命(?)を取り留めたそうで。で、以来生首ミーミルはオーディンの元にいる(ある?)そうです。そういうわけで、オレオー本編のミーミル描写は原典的に「ウソ」となるのですが…いや、これがね、生首ミーミルが泉にいないって、知ったのはもう最後の方のエピソード書いてる頃だったのですよ。えー、先言ってよ…と思わなくもないのですが、ストーリーを振り返ってみますと…ミーミルがオーディンの元にいない方がおもしろくね?ということで、そのまんまにすることにしました。まぁ、東雲オーディンが北欧神話世界にやってきたことで歴史が変わってしまった、とかそういう扱いで、ひとつ。
さてミーミルですが、なぜだか分かりませんが、まだ首と胴が繋がってる頃、オーディンが「いろいろ教えて!」って来ると「片目をよこせ」と言ってきたそうで。…何考えてんの? 目玉もらってうれしいか? さすが神話、こういう謎ムーブがあるわけですが、オーディンは気前よくハイよ!っと片目をあげちゃったそうです。…目玉から胴体生えてお椀のお風呂に入ってたりしないよね?
で、ミーミルは物知りで、世界の行く末、未来のことまで知っているとのこと。なのでオーディンはミーミルから未来のこと、すなわち「ラグナロク」について教わるわけです。で、ミーミルがすごいのは、その未来の事柄について詳しく説明してくれる点。巫女(ヴォルヴァ)やノルン三姉妹の未来の供述が詩的であいまいなのに対して、ミーミルはその事象を具体的に説明してくれると。あれですよ、ノストラダムスの予言詩を解読した五島勉(敬称略)みたいな。違いは「とんでも本」だったか、「実際にラグナロクが来ちゃった!」のかにありますが。ただしミーミルの未来の知識には限界があって、本編にもあるとおりラグナロクが起こるところまで。ラグナログ後の世界はご存じないそうです。これは…ミーミルもラグナログに巻き込まれるから、なのでしょうか?
ときに原典では、ミーミルは生首になってオーディンの元で世話になることになるわけですが、それでもオーディンが質問すると気前よく答えてくれると。これって…AIじゃね? しかも泉のほとりまで行かなくても済む。持ち運び可能。モバイルAIだこれ⁉ 皆様の手元にあるであろうスマホ。それ、ミーミルですよ。
ところでミーミルのイメージなんですが、なぜだろう、私の中の生首ミーミルはこんな姿をしています。
どうしてこんなことに…
ときに先日コンビニで買い物をしているとき、ミーミルがいました。ああ、これ、カントリーマアムのまみれさんだ。よかった、これでうっかり知らずにお出しして不二家からお叱りを受けずに済む…
■ヴァルキュリアについて
本編でちょっと触れたヴァルキュリアについて。これは私的にもかなり衝撃だったので、本編にも入れ解説にも入れることにしました。
まずヴァルキュリアの仕事というのがほぼ戦闘ではなく、戦場では戦士を鼓舞することがあるそうで。チアガール…? そして本命の仕事というのが戦場で死んでいく者を選り分けることだそうです。のちのち戦場の死者はフレイヤとオーディンで折半、オーディンサイドの選抜をクリアするとヴァルハラ行き、見事エインヘリャルの一員という栄冠を手にすることに。エインヘリャルになると、戦闘訓練はあるもののヴァルハラでの飲み食いはタダ、しかもヴァルキュリアのお酌付き! コンパニオンか⁈ 言ってみればヴァルキュリアの仕事というのが地方球場まで足を運ぶ、プロ野球球団のスカウトみたいなもので、入団後の生活まで面倒見ますよ、ってとこでしょうか。
ヴァルキュリアの構成員は種族問わずで多岐に渡ります。国境なき医師団? ヴァルキュリアになるには本編でも述べましたがオーディンのオーディションをクリアする必要があるそうです。しかも自薦ではなくスカウトらしい。なかなかに狭き門の模様。そして一説には、本編でも触れた通り、スクルドがヴァルキュリア、という設定があるそうですよ。末っ子だけがスカウトされたのか、上二人は断ったのか。それとも兵役のように上二人はすでにヴァルキュリアを引退済みなのか。なんなんだろうな、ノルン三姉妹。
さて、ここまでのヴァルキュリアの説明、違和感を持った方も多いでしょう。私もそうです。「戦乙女」と呼ばれているのに…なぜ? で、その戦場を華麗に舞い、戦う姿というのが創作の影響が強く、その始祖ともいえるのがワーグナーの『ニーベルングの指環』。フランシス=コッポラの『地獄の黙示録』で有名な『ワルキューレの騎行』のアレです。さらにそのイメージを受け継ぎ、アメコミのキャラで「戦うヴァルキュリア」が描かれ、そのイメージが、特に日本では広まったことが原因だそうです。こっちの方がカッコイイもんね。チアガールだったりコンパニオンだったりするのは嬉しいのですけど。ヴァルハラに行けそうにない私には無関係な話ですが…




