【あとがき】第三章「結び留める者」⑦⑧シギュンとアングルボザの窓④アースガルズ、小さな始まり
本編「オレ、オーディンになったらしい。〜ラグナロク不可避⁈ もうすぐフェンリルに食われることになってるんだがどうすりゃ回避できるんだ?〜」(N7288LN)の各エピソードで使用したネタとその解釈なんかを書いています。
まずは本編をお読みください。
■ロキとアース神族の関わり
以前、「北欧神話は分かり切っていることは省略する傾向にある」と書きましたが、もう一つ、「過程を省略して結果だけを提示する傾向にある」と思っています。北欧神話はアニメの総集編みたいなもの、というのも以前書きましたが、つまりそういうことで、ネロとパトラッシュがルーベンスの絵の前で天へと召されるシーン、あまりにも有名ですが、でもそこに至るまでの過程は知られていない、というのと同じ。そういう細けぇのは要らねぇんだ、なのか、単にめんどくさかったのか。いずれにしても、原典だとロキは突然アースガルズへ来てオーディンと血の盟約=義兄弟、となります。なんかスナックで飲んでるところへヤクザの親分がやって来て話している内に意気投合、そのままヤクザ入りみたいなノリになってますが…ロキならやりかねないですが…そんなわけねぇだろ!と。なのでオレオーでは、偶然の接点から徐々にロキがアース組へ飲み込まれていくという構造にしました。微妙にリアル。
で、ロキがアースガルズへ迷い込んだ時、はじめに会った人物がヘイムダル。「神族会議」でも触れてますが、原典のラグナロクではロキとヘイムダルが相打ちになるところが一つのクライマックスになっています。創作なので、せっかくですからドラマチックに盛り上げようと、ロキが初めて接したアース神族がヘイムダルだった、としました。念のため。もちろん創作ですよ?
この、ロキとアース神族あるいはオーディンとの初接点はいつ頃か?というのは若干ボカしてあります。Copilotに聞いたところ、オーディンとロキの血の盟約はアース=ヴァン戦争の後ということは間違いなさそうなんですが。ただ、原典では戦後のイベントでロキがあちこちに顔を出すので、これらはアングルボザと同棲中にアースガルズへ行っていたという時期と重ねるといろいろ逃げ道が作れそうなので、その辺のロジックには冗長性を持たせてあります。
それから、シギュンを救ったロキ。あれ、間違いなく何人か殺っちゃってますよね…いいのかそれ、って思わなくもないですが、キレるとヤバいロキの人間性と、それが噂としてはかなりヨトゥンヘイムでは広がっていたという演出からそのようにしています。同時に。これは割と大事なことだと思うのですが、原典的にはスルーされてる内容で、原典のラグナロクで、ロキはヨトゥンの軍勢を率いていきます。これおかしくないですか? ロキってヨトゥンヘイムでそれほどの地位とか人脈があったの? このあたりの補強として、「幼いころからガキ大将、人望があった」「キレるとヤバいがそれで救われた人もいるだろう、そこからロキ個人への信頼もあった」とし、いざというときに「兵隊」を集められる土壌があった、という設定、すなわち北欧神話のプロットの穴埋めをしています。
さて『小さな始まり』で、ロキとシギュンの繋がりが強くなりました。でもまた二人の関係は静かにゆっくり育っている状況。アングルボザ関連のイベントが消化しきれていないので、ここから胃の痛い展開が始まります。心の準備はいいですか?




