【あとがき】第三章「結び留める者」③④シギュンとアングルボザの窓②夏至祭、その前日
本編「オレ、オーディンになったらしい。〜ラグナロク不可避⁈ もうすぐフェンリルに食われることになってるんだがどうすりゃ回避できるんだ?〜」(N7288LN)の各エピソードで使用したネタとその解釈なんかを書いています。
まずは本編をお楽しみください。
■夏至祭について
神話そのものから少し離れ、「夏至祭」の設定について。そもそも北欧世界では夏至と冬至にお祭りが開かれます。特に夏至祭は盛大に開かれるそうで
- 特徴:
- メイポール(花や緑で飾った柱)の周りで踊る
- 花冠をかぶる習慣(恋愛運や幸運を願う)
- 焚火(かがり火)を焚いて悪霊を追い払う
- サマーコテージで家族や友人と過ごし、バーベキューや湖畔でのピクニック
- 食卓には酢漬けニシン、新じゃが、ベリーケーキなど
夏至祭は「長く暗い冬を耐え抜いた人々が太陽を祝う日」として、北欧の人々にとって特別な意味を持っています。
だそうですよ(Copilot調べ)
冬至祭は現在ではクリスマスに吸収されているそうで…北欧神話を検索してるとこれが結構多いのよね。これってキリスト教の影響なんじゃないかな?っていう。
とはいえ冬至は冬至でちょっと素敵なイベントというか風習があって
- クリスマスキャット:新しい服を着ていない子供を食べてしまうという巨大な黒猫の伝承。
アイスランドでは冬に新しい衣服をもらえなかった子供は黒い猫に食べられてしまう、という伝承。なんだか怖いような気もしますが…以下、私とCopilotの会話。
◆
あー、クリスマスキャットはこれいい風習だな。これって、要は厳しい冬を乗り越えるために、子供たちに新しい冬服を着せてやろうってことでしょ?
そう、その解釈はとても核心を突いています。
アイスランドの クリスマスキャット(Jólakötturinn) は「新しい服をもらえなかった子供を食べてしまう」という恐ろしい伝承ですが、実際には 「子供に新しい冬服を用意してあげる」ための社会的な圧力や励ましの役割を果たしていたと考えられています。
風習の背景
- 厳しい冬の備え:アイスランドの冬は極寒で暗く長いため、衣服は命を守る必需品でした。
- 労働とご褒美:羊毛を紡ぎ、布を織る作業を怠けずにやることで家族に新しい服が行き渡る。怠け者には「クリスマスキャットが来るぞ」と脅す。
- 子供へのメッセージ:新しい服を着ることは「冬を安全に過ごせる証」であり、同時に「家族がちゃんと働いている証」でもあった。
◆
そういうことですよ。古くからある伝承や習慣って割と甘くみてはイカンやつで、その地に住まう人々の生活の知恵、しかも時として命にかかわるような、そういうやつなんですよ。
■踊りと歌について
本編中では焚火を囲って踊りを踊るという設定になっていますが、実はこれ、夏至祭のイベントとしては限定的なもの。
- フィンランドやスウェーデンの夏至祭では、焚火(フィンランドでは「コッコ」)を囲んで踊る習慣がありました。
- アイスランドでも夏至の夜に焚火を焚くことはあり、そこに音楽や踊りが加わることもあります。ただし、スウェーデンの「メイポールの周りで踊る」ほど体系化されたダンスではなく、自然発生的な踊りや歌に近い。
- 夏至は「白夜」の季節なので、焚火の炎は象徴的な意味を持ち、踊りは「悪霊を追い払う」「健康や縁結びを祈る」といった民間信仰と結びついていました。
キャンプファイヤー的な、焚火をぐるっと囲んで踊るというのはなさそう。なので本編中の踊りは創作のものと思ってください。ストーリー的にダンスパーティー的なものが欲しいな、と思って入れたものですので。
そして歌ですが、こちらも古の歌が残っているわけでもないので創作物です。楽器としては打楽器のみの原始的な伴奏になるので歌の方もシンプルなメロディを何度も繰り返すような形式になるとCopilotは言ってました。ただ大事な要素として「コールアンドレスポンス」がある、と。雰囲気的には労働歌みたいになるのかな? ちなみに労働歌というと、まだ奴隷制の残っていたアメリカで、綿摘みをしていた黒人たちの間で労働歌が生まれ、それが後々ジャズにつながっていったそうですよ。なので原初に近いスタイルのジャズはその労働歌に入っていたコールアンドレスポンスの要素を強く持っているそうです。
さて今回は本編中の歌『夏至の火の回り』の歌詞を載せてみましょう。
♪昇れ太陽 燃える火よ
♪踊れ歌え 今日の日を
♪花咲き乱れ(花咲き乱れ)
♪小鳥は歌い(小鳥は歌い)
♪大地の恵み 感謝せん
( )内がコールアンドレスポンス。シンプルな構造の曲ということで2部形式。あれですよ、『浜辺の歌』とか『夏の思い出』などの中学校で習ったやつ。詩の方はね、適当です…どういう風につくったかな…たしかCopilotが出したアイディアに、夏至祭なので「太陽」は必須要素、夏の到来と収穫に感謝するという、そんな内容になるだろうということで肉付けして、とかそんなだったかな? こんな感じで10番まであるという…もちろんこんな歌、存在しませんよ???
さて、本編でも触れられていますが、オレオー世界の夏至祭は「集団お見合い」の要素を持っています。夏至祭の頃に結ばれたカップルが出産まで行くと、出産時期は3月ごろ。北欧、特にアイスランドを舞台に考えてますんで、冬の食糧事情は厳しいですが、食べ物が豊富に獲れるようになる春に子供たちはこの世界に産声を上げることになるので、子育てには適しているのではないかな。なので、先ほど紹介した「クリスマスキャット」のように、先人からの知恵として、子孫を絶やさぬ工夫をしていた、という考察の元、そんなイベントを考えてみたのです。なのでお母さん方は娘の相手に素敵な人が見つかるようにと大張り切り。お父さんは…まぁいつの時代も同じかなって(笑)
それで、シギュンとアングルボザも夏至祭に合わせて衣装を用意してもらうわけですが、どちらのお母さんも張り切っているんですけどね。本人たちとの温度差があるというか。この辺もいつの時代でも同じだろうと。ちなみに当時の北欧には、当然のことながら綿はなかったので夏服の生地なると麻になります。麻は染めにくいのですよ。なのでシギュンの言う通り、(当時としては)鮮やかな赤に染めるには、何度も何度も染め直して色を定着させるという、骨の折れる作業を繰り返さねばならないのです。一方アングルボザの青ですが、こちらは単なる青というより濃紺って感じの色でイメージしています。前回載せたイラスト、衣装の色指定を考える前に生成したのでその辺がズレてますが、どんまい。で、実は暗がりだと黒よりも青の方がより黒く見える、という傾向があります。黒は微かな光を拾ってグレーがかって見えるそうですよ。プラモデルの塗料で「ミッドナイトブルー」という名の色がありますが、あれ、どう見ても黒。でもより黒く見えるように微かに青を入れてるのでしょうね。で、アングルボザの指定がそういう色なので、たぶん人工光のない、焚火の明かりだけの環境だとかなり黒っぽく、グッと引き締まって見えるとも思います。白い肌も映えます。で、そこに焚火の炎の赤が微かに乗る。かなり大人びた衣服になるでしょう。もちろんアングルボザが見せたい相手は一人だけ。もちろん彼女が望むのはその先の…ということ。
ちなみに彼女たちの色には意味を忍ばせてあり、本編全体を通して読んでいくと分かるという仕掛けを施してあります。




