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うわさばなし⑦
本当に恐怖を感じた時、人は動けなくなると聞く。
冒険者でさえ、それに抗えるものは少ない。
彼が生き残ったのは奇跡だと私には思える。
それは彼の実力に不相応だったからとか、被害の割合を考えると全滅でもおかしくなかったからではない。
「アレは少しすると、街に向かって動き出したんだ」
自分が涙を流していることに気がついて、少し苦笑いをして、ぬぐいながらそう続けた。
「俺たちは…どうしたらいいかわからなかった。だが、まともに、いや何も出来なかった。それは周りにいてかろうじて生きているやつらもそうだったよら」
「だが、知っての通りそこであんたの探してるヤツが現れたんだ。それこそ文字通り突然な」
私が探してるのは彼の言うところのヤツである。
この世界で何かのために、誰かのために戦い続ける者。
彼を天からの使いだとする声や人類の希望だと語る者すらいる。
しかし、彼がどこで生まれ、今何をしているか私もギルドも、そして国さえも知らない。
だから、私は知りたいと思ったのだ。




