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うわさばなし④
悲劇だった。
彼のパーティーは何を誤ったのだろうか。
「俺たちはあの日は慎重に行動していた。いや…、そう思いたいだけかもしれない」
特殊な依頼、いわゆるダンジョンの攻略や大規模な群れと化したモンスターの集団の討伐となればパーティーの規模は大きくなる。
こういった場合、統率や戦闘効率からパーティーを分けることが一般的である。
「あの嵐の後ではギルドの情報も不確かなものが多かった。だから、俺たちはあえて…」
彼のパーティーは約30名に膨らんでいたらしい。
だが、危険に対する警戒から彼らはパーティーを分けることを良しとしなかった。
「なのに…どうしてだろうな」
彼の視線は下がったまま、言葉の勢いも弱くなった。
「俺たちは…出来ることをした…と今でも思っているよ」
彼らは敗北した。
崇高な志も、義理や優しさは、魔物には通じない。
死亡19名、彼らが最後に残ったモノからの推測でしかなく人数に関しても曖昧だと言われている。
引退8名、心が砕かれた者や身体の一部を失った者。
彼は右目を失い、この世を去る時まで足の不自由さと向き合うことになった。
彼がこの冒険から得たものは以上だ。




