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【完結】 次期聖女として育てられて来ましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!  作者: 林 真帆
第三章

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第63話 エピローグ①

 私はある決意をもって、この場所を訪れていた。


 私は鉄格子越しに見える白髪の女性の姿を見つめている。


 その女性というのは、私の母だ。


 国民議会の決定で、母は聖女の座から引きずり降ろされ、国民は私を次の聖女に選んだ。


 今、母は鉄格子の中にいる。


 母夫婦と夫の一族、そしてカタリナは、権力を濫用し、国民を苦しめたとされた。


 母の夫とその一族は、国外へ追放されたが、母とカタリナは囚われた。


 なぜなら、母もカタリナも聖女の血を継ぐ者だからである。私は追放でも構わないのではないかと思ったが、トーマスが反対したのだ。


 よからぬ考えを抱く者が、母やカタリナに近づくことを危惧したからである。


 私は異議を唱えることをしなかった。


 思えば母は弱い人間だったのだろう。偉大なる聖女であった祖母の期待に応えられず、聖女として必要最低限のことしか求められなかった。


 そのため、祖母の期待は、全て孫である私に向けられた。私が生まれてからというものの、祖母は私を自分の手元に置き、英才教育を施した。


 運悪くと言うべきか、私には祖母の期待に応えられるだけの資質があった。


 自分からやりたいと言ったわけでもなく、適性もない、聖女という立場を無理やり押し付けられた上、好きでもない男の子を産まされ、さらにその子が母親からの愛情を奪っていた。自分は単なる中継ぎとしての存在でしかない――それが母を歪めていった。


「カタリナ!」


 私の姿を認めると、母は私の前に飛び出してきた。


「……」


 私は無言で母を見つめる。カタリナは母とは別の場所に囚われており、二人はもう二度と会うことはない。


 囚われてからというものの、母は一気に老け込み、老婆のような見た目となった。そして、それと同時に心も壊れていった。


 私だろうが使用人だろうが、年頃の若い女性の姿を見ると、誰かれ構わず〈カタリナ〉と呼びかける。


 最初の内は私も、自分はカタリナではなく、マリアだと訂正をした。しかし、何度言っても直らなかった。


 私は毎日欠かさず母の元を訪れている。今日も母は私の姿を見つけると、


「カタリナ!」


 と呼びかけた。


 そこで私の心は決まった。


「もうここへは来ません。母のことをよろしくお願いします」


 私は看守にそう伝えた。


 母の娘はカタリナだけだったのだ。

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